「ゼロ・グラビティ」アルフォンソ・キュアロン、次期007映画の監督交渉を認める
2025年4月7日 19:00
Photo by Jeff Spicer/Getty Images「ゼロ・グラビティ」と「ROMA ローマ」でアカデミー賞監督賞に2度輝いた巨匠アルフォンソ・キュアロン監督が、パリでのマスタークラスで次期ジェームズ・ボンド映画の監督就任について協議中であることを事実上認めた。「実際にこのプロジェクトは協議中であり、実現すれば自分なりの方法でこの物語を再訪したいという願望がある」という言葉に、長年のボンドファンの期待が高まっている。
キュアロン監督の発言は、アマゾンMGMスタジオが「007」シリーズの新章を担うプロデューサーとしてエイミー・パスカルとデビッド・ヘイマンを正式に起用発表の直後に行われた。「スパイダーマン」シリーズと「ハリー・ポッター」フランチャイズという二大ブロックバスターを成功に導いた敏腕プロデューサーコンビが、60年以上にわたりジェームズ・ボンドの世界観を守り育ててきたブロッコリ家から歴史的なバトンを受け取る形となる。
メキシコ出身のキュアロン監督は「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」で緻密な演出力を示し、「ゼロ・グラビティ」では革新的な映像技術と緊張感あふれる演出で観客を魅了。「トゥモロー・ワールド」では近未来ディストピアを鮮烈に描き、「ROMA ローマ」ではモノクロの美しい映像美で自身の原点に回帰するなど、ジャンルを超えた多彩な作品で高い評価を得ている。2014年には「ゼロ・グラビティ」、19年には「ROMA ローマ」で監督賞を含む複数のアカデミー賞を受賞。10回ものオスカー受賞歴を持つ名匠の参加は、アマゾンにとって新生ボンドシリーズの芸術的価値を大いに高めることになりそうだ。
キュアロン監督とヘイマン氏の関係は、04年の「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」にまでさかのぼる。この作品は多くの批評家やファンからシリーズ最高傑作のひとつと評されており、両者はその後も「ゼロ・グラビティ」などで実りある協力関係を続けてきた。関係者によれば、ふたりは「長年の信頼関係で結ばれた創造的パートナー」だという。
興味深いことに、キュアロン監督は過去にもボンド映画の監督オファーを受けていた。昨年のマラケシュ映画祭での発言によると、会話シーンは自身が監督するものの、アクションシーンは別チームが担当するという分業制に違和感を覚え辞退したという経緯がある。当時、盟友ジョエル・コーエンとの対話から「観たい映画と作りたい映画は別」という創作哲学を再認識したと米バラエティに語っている。
21年にMGMを85億ドルで買収したアマゾンは、長年シリーズを統括してきたマイケル・G・ウィルソンの引退表明を機に、完全な創造的決定権を獲得。同社は27年までに新作ボンド映画を公開したい意向で、脚本家はすでに決定しているとの情報も伝わっている。キュアロン監督は2018年の「ROMA ローマ」以来、長編映画の監督から遠ざかっており、昨年のApple TV+シリーズ「ディスクレーマー 夏の沈黙」は期待された反響を得られなかったとされる。
新たなジェームズ・ボンド役の俳優選定はまだ発表されていないが、アマゾン内部ではボンドをイギリス人男性俳優が演じる伝統は維持されるという。「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」から約6年を経て再始動する新シリーズは、ダニエル・クレイグ後の時代をどう描くのか。革新的な映像表現と人間ドラマの融合で知られるキュアロン監督が、伝説的スパイ映画をどう再解釈するのか注目が集まっている。
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