ポン・ジュノ作品には“絶対に言ってはいけない言葉”がある? 「母なる証明」「パラサイト」「ミッキー17」の“禁句”とは
2025年3月15日 11:00

「パラサイト 半地下の家族」を手掛けたポン・ジュノ監督の最新作「ミッキー17」が、3月28日に公開される。実はポン・ジュノ監督作品には“決して口にしてはならない言葉”が隠されていることがある。本記事では「母なる証明」「パラサイト 半地下の家族」から「ミッキー17」に至るまで、物語を加速させる“禁句”について紐解いていく。
“禁句”の代表例となるのが、サスペンスフルなエンタメ性と緻密な心理描写による芸術性を両立させた「母なる証明」だろう。溺愛する息子トジュン(ウォンビン)に殺人犯の容疑が懸けられ、無実を証明するために母(キム・ヘジャ)が奔走する。無謀なことも厭わぬ母の行動と、無垢でありながら時に全く別の顔を覗かせる息子、母子を通して人間の“業”を焙り出す――唯一無二の作家性が味わえる傑作だ。
同作で何度か繰り返されるのが、トジュンに対する「バカ」呼ばわり。馬鹿にする者には立ち向かえと母に教えられた息子は「バカ」という一言で豹変する。本編の随所にちりばめられた「バカ」という蔑みの言葉が蓄積されてやがて“爆発”する。ポン・ジュノ監督の映画術が冴え渡り、物語を大きく動かす原動力となっていた。
半地下に暮らす4人家族が高台のIT長者一家に寄生する「パラサイト 半地下の家族」にも禁句がある。それはソン・ガンホが演じた父ギテクを変貌させる「臭い」という言葉だ。主が不在の豪邸で半地下ファミリーが酒を酌み交わしていると、不意打ちするかのように家主一家が帰宅する。大慌てでその場を取り繕ったギテクたちはソファーの背後に身を隠す。その時、主が妻に「におい」の話をするのだ。数日後、ギテクが運転する車で匂いを気にして窓を開けるシーンが重ねられる。そして迎えた息子の誕生会、観客の想像を超えた大事件が巻き起こる。

では「ミッキー17」は? 同作は、人類発展を使命に掲げる巨大企業に雇われた主人公ミッキーの物語が描かれる。人生失敗だらけのミッキー(パティンソン)は、何度でも生まれ変われる“夢の仕事”を手に入れた。しかし、それは身勝手な権力者たちの過酷すぎる業務命令で次々と死んでは生き返る任務だった。
劇中では「死ぬってどんな気分だ」という問いが何度も繰り返される。17号と18号、2人のミッキーを繊細かつ大胆に演じ分けたロバート・パティンソンは、「それはミッキーが一番嫌う質問です。みんなから聞かれるので、ミッキーはその質問を避けようとします。それでも、どんな感じなのか説明しようとするシーンがあり、僕はちょっと感動します」と、どこまでもお人好しなミッキーに愛情を感じた。

続けて「一度死にかかったら、みんなが『それはどんな体験だった?』と聞きたがりますが、それは説明できないことなのではないでしょうか。この質問は『生まれる前はどうだった?』と聞かれるのと同じ。それをみんなから常に聞かれるのだとしたら、すごく奇妙なことでしょう」とコメント。相手の気持ちをほったらかしに好奇心丸出しで「死ぬってどんな気分だ」と問いかける人々のデリカシーのなさを強調し、ミッキーの個性をより際ただせるポン・ジュノ監督の脚本力が際立っている。
なお「ミッキー17」は、全世界に先駆けて公開された韓国では、公開4日間で観客動員数が100万人を超え、興行収入も13億円を突破。これは韓国国内での2025年公開作品No.1のオープニング記録となっており、動員100万人突破のペースは、クリストファー・ノーラン監督作「オッペンハイマー」よりも早くなっていた。
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