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オダギリジョー×髙石あかり×松たか子×満島ひかり、豪華共演 玉田真也監督が傑作戯曲を映画化「夏の砂の上」7月4日公開

2025年2月26日 07:00

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オダギリジョーは共同プロデューサーも務める
オダギリジョーは共同プロデューサーも務める
(C) 2025 映画『夏の砂の上』製作委員会

オダギリジョーが主演と共同プロデューサーを務め、髙石あかり松たか子満島ひかり森山直太朗高橋文哉光石研が共演する映画「夏の砂の上」が、7月4日に公開されることが決定した。

本作は、読売文学賞で戯曲・シナリオ賞を受賞した松田正隆による傑作戯曲を、気鋭の演出家・玉田真也監督のメガホンで映画化するもの。物語の舞台は、雨が一滴も降らない、からからに乾いた夏の長崎。5歳の息子を亡くした喪失感から妻・恵子と別居中の小浦治は、働いていた造船所が潰れても新しい職を探さず、ふらふらしていた。そんな彼の前に、妹の阿佐子が娘の優子を連れて訪ねてくる。阿佐子は1人で福岡の男の元へ行くため、しばらく優子を預かってくれという。こうして突然、治と姪の優子との同居生活が始まる。

オダギリが演じるのは、息子を亡くした喪失感から人生の時間が止まり、妻に見限られた小浦治役。撮影前から玉田監督と会話を続けてきたオダギリは、「脚本を読んだ瞬間『これは良い作品になる!』と感じた僕は、すぐにプロデューサーを買って出ることにしました。俳優としては勿論、様々な面で役に立てれば、という思いからでした」と明かす。そして、「松さんや満島さんを始め、信頼できるキャスト、最高のスタッフが共鳴してくれ、真夏の長崎にこの上ない土俵が用意されました。あくまで玉田監督の補佐的な立場を守りつつ、隠し味程度に自分の経験値を注ぎ込めたと思います。昨今の日本映画には珍しい『何か』を感じて頂ける作品になったと信じています」と自信をにじませた。

治の姪で、父親の愛を知らずに育った優子を演じるのは、「ベイビーわるきゅーれ」シリーズで人気を博し、25年度後期のNHK連続テレビ小説のヒロインにも抜擢された髙石。撮影後に「人間としても俳優としても、宝もののような大切な時間だった」と語っていた髙石は、「長崎での撮影は、優子が過ごしたあの時間のように、自分にとってとてもかけがえの無いものとなりました」と振り返った。

治の妻・小浦恵子役は、「ファーストキス 1ST KISS」が現在公開中の松。悲しみを共有し共に再スタートすることができない夫・治への「静かな怒り」を秘めた女性を演じる。長崎弁にも初挑戦した松は、「小浦家への道のりは、特に機材を運ぶスタッフの皆さんは本当に大変だったと思います」と労い、「でも、全員が汗だくになりながら、この映画の世界に向かって歩いていたように思います」とコメントを寄せた。

父親のいない優子を兄の治に預け、男の元へはしる奔放な妹・阿佐子役は、「ラストマイル」で第48回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞した満島。そのほか、髙石演じる優子のバイト先の先輩で、優子へ好意を寄せる立山役を高橋が演じ、治が働いていた造船所の同僚・陣野役で森山、光石が出演する。

玉田真也監督
玉田真也監督
(C) 2025 映画『夏の砂の上』製作委員会

原作となった戯曲は、平田オリザが1998年に舞台化して以降、幾度となく舞台で上演され、22年には田中圭主演、栗山民也演出で上演された。玉田監督にとっても自身の劇団「玉田企画」で上演した思い入れの深い作品であり、「素晴らしい俳優たちに集まっていただきました。演出するにあたり、皆さんとても協力的にアイデアを出してくださり、何一つストレスなく撮影をすることができただけでなく、何度見ても芝居が面白く、最前列で観るお客さんのように彼ら彼女らの芝居をただ楽しんでいる瞬間もたくさんありました。皆さんの芝居に、この映画を想定の何倍も上に引っ張ってもらえたと思います。とても贅沢な時間でした」と感謝を述べた。

原作の松田も完成した作品を鑑賞し、「私は、戯曲が消え去り映画に生まれ変わることを望んでいた。この映画を観て、何よりも映画らしい経験を得たことがとても嬉しかった」と讃えた。

キャストと製作陣のコメント全文は以下の通り。


オダギリジョー(共同プロデューサー/主演・小浦治役)】
脚本を読んだ瞬間『これは良い作品になる!』と感じた僕は、すぐにプロデューサーを買って出ることにしました。俳優としては勿論、様々な面で役に立てれば、という思いからでした。
松さんや満島さんを始め、信頼できるキャスト、最高のスタッフが共鳴してくれ、真夏の長崎にこの上ない土俵が用意されました。あくまで玉田監督の補佐的な立場を守りつつ、隠し味程度に自分の経験値を注ぎ込めたと思います。 昨今の日本映画には珍しい『何か』を感じて頂ける作品になったと信じています。

髙石あかり(治の姪・優子役)】
長崎での撮影は、優子が過ごしたあの時間のように、自分にとってとてもかけがえの無いものとなりました。
優子は、儚さと強さ、大人っぽさと少女らしさ、一人の人間の中で全く違う性質が混ざり合う独特な空気を持っています。そんな繊細な彼女をどう演じたらいいのか、長崎に入る前に玉田監督とお話しをさせていただき、“ありのままの自分”で精一杯役と向き合うことにしました。
そんな撮影期間は、カメラの存在を忘れ、作品と現実の境目が曖昧だった気がします。
こんな経験は初めてで、これ程までに熱中出来る環境を作ってくださった、監督をはじめ、キャスト、スタッフの皆様には感謝しかありません。改めて、この作品に携わらせていただけたこと、心から光栄に思います。

松たか子(治の妻・小浦恵子役)】
暑い夏の長崎での撮影を懐かしく思い出します。
小浦家への道のりは、特に機材を運ぶスタッフの皆さんは本当に大変だったと思います。
でも、全員が汗だくになりながら、この映画の世界に向かって歩いていたように思います。
初めて読んだ脚本は、元々戯曲であったことに驚くほど、様々な風景が浮かぶ「映画」のホンでした。
他者に共感や理解を求めない、なんともいえない、滑稽で愛すべき人たちが出てくるお話のような気がします。
恵子が愛すべき人間かというと、それはわかりませんが…。
オダギリさんとのお芝居はとても楽しかったです。

【脚本・監督:玉田真也
今まで読んできた戯曲は数多くありますが、この「夏の砂の上」は僕にとって特別な作品であり続けました。僕たちが生きる上で避けられない痛みや、それを諦めて受け入れていくしかないという虚無、そして、それでも生はただ続いていくという、この世界の一つの本質のようなものがセリフの流れの中で、どんどん立体的に浮かび上がってくる素晴らしい作品です。その作品を映画にするということは僕にとって念願であったとともに、挑戦でした。演劇としての完成度があまりにも高いと思ったからです。
そして、その挑戦は間違っていなかったと長崎での撮影を始めて確信していきました。長崎の街の中に入っていくと、この街自体を主人公として捉えることができる、これはきっと映画でしかなし得ない体験だと感じていったからです。僕の頭の中だけにあった固定された小さな世界が、長崎という街と徐々に融合してより豊かに大きく膨らんでいく感覚でした。この映画を皆さんに観ていただけるのを楽しみにしています。
そして今回、素晴らしい俳優たちに集まっていただきました。演出するにあたり、皆さんとても協力的にアイデアを出してくださり、何一つストレスなく撮影をすることができただけでなく、何度見ても芝居が面白く、最前列で観るお客さんのように彼ら彼女らの芝居をただ楽しんでいる瞬間もたくさんありました。皆さんの芝居に、この映画を想定の何倍も上に引っ張ってもらえたと思います。とても贅沢な時間でした。

【原作:松田正隆
部屋を見つめる演劇から、街を感じ取る映画へ。映画には長崎の光景がいくつも映し出されている。坂道をのぼりつめた果てにある家からの眺めだけで、言葉にならない感覚をこの映画は私たちに与える。戯曲に書かれた台詞が生み出す感情は、坂を上り下りする俳優の身体の運動に変換されている。キャリーバッグを引く優子が母とともに坂を上るとき、坂の上で指をなくした小浦が息を吐くとき、人々が言い知れぬ人生を抱えながらも、繁華街で仕事をし飲食をするために坂をおりるとき、カメラはそれらの特別な感情を映画の場面に映し出す。私は、戯曲が消え去り映画に生まれ変わることを望んでいた。この映画を観て、何よりも映画らしい経験を得たことがとても嬉しかった。

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