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広瀬すず主演 カズオ・イシグロのデビュー作「遠い山なみの光」石川慶監督が日英合作で映画化 25年夏公開

2024年8月23日 07:00

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(C)『遠い山なみの光』製作委員会

俳優の広瀬すずが、ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロ氏のデビュー作を日英合作で映画化する「遠い山なみの光」に主演することがわかった。「ある男」(22)で第46回日本アカデミー賞最優秀作品賞含む最多8部門に輝いた石川慶監督がメガホンをとる。現在撮影中で、2025年夏に公開予定。

82年刊行の原作は、「日の名残り」「わたしを離さないで」などの映画化作品でも高い評価を受けるイシグロ氏が、自身の出生地・長崎を舞台に綴り、王立文学協会賞を受賞した長編小説デビュー作品。戦後間もない50年代の長崎と、80年代のイギリスを舞台に、時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解いていく。

画像2『遠い山なみの光』カズオ・イシグロ/小野寺健訳(ハヤカワ文庫)

愚行録」(17)で長編デビューを飾ったのち、「蜜蜂と遠雷」(19)「ある男」(22)などを手掛け、国内外から大きな注目を集める石川監督は、「この大きな原作に立ち向かう勇気を僕に与えてくれたのは、他ならぬ原作者のカズオさんの『この物語は、日本の若い世代の人たちの手で映像化されるべきだと思っていた』というお言葉でした」とコメント。

エグゼクティブ・プロデューサーとしても名を連ねるイシグロ氏は、「私は石川監督の前作『ある男』の大ファンで、彼が私の小説『遠い山なみの光』の映画化を希望してくださった最初の日から、とても興奮していました」と映画化に大きな期待を寄せる。そして、「物語そのものは、第二次世界大戦の惨禍と原爆投下後の、急激に変化していく日本に生きた人々の、憧れ、希望、そして恐怖を描いています。今もなお私たちに影を落とし続けている、あの忌まわしい出来事の終結から80年を迎えるこの時期に、この映画が公開されることは、なんと相応しいことでしょう」と語った。

日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキ。大学を中退して作家を目指す彼女は、自著執筆のため、異父姉の死以来、足が遠のいていた母が一人で暮らす郊外の実家を訪れる。母の悦子は長崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていたが、ニキは母の過去を何一つ聞いたことがない。夫と長女を亡くし、想い出の詰まった家で一人暮らしていた悦子は、ニキと数日間を共にする中で、最近よく見るというある「夢」について語り始める。それはまだ悦子が長崎で暮らしていた頃に知り合った、とある女性と、その幼い娘の夢だった。

主人公・悦子を演じる広瀬は、「難しくて、悩みながらでしたが、不穏な緊張感を感じるたび悦子に近づいているのを確信し、心強い座組のなかお芝居できた事がとても宝物のような時間でした」と振り返る。イシグロ氏はそんな彼女に対し、「国際的な舞台において今最もエキサイティングな若手俳優の一人」と語り、石川監督も「広瀬すずさんは、紛れもなく戦後長崎に生きた悦子そのものだった(本当に素晴らしかった!)」と絶賛。広瀬は25年公開作品として、杉咲花清原果耶とともに主演を務める「片思い世界」、妻夫木聡主演の大友啓史監督作「宝島」、実在した女優の長谷川泰子を演じる「ゆきてかへらぬ」も待機している。

企画は、イギリスで映画制作を学び、細田守監督作「竜とそばかすの姫」(21)の制作プロデューサーを務めた石黒裕之氏。是枝裕和監督の制作者集団「分福」に所属し、「真実」(19)「ベイビー・ブローカー」(22)などのプロデューサーを務めた福間美由紀氏とタッグを組んだ。さらに、「キャロル」(15)や「生きる LIVING」(23)などを製作した英インディペンデントプロダクション「Number 9 Films」が参加している。

イシグロ氏、石川監督、広瀬のコメント全文は以下の通り。


【原作者:カズオ・イシグロ氏】
私は石川監督の前作『ある男』の大ファンで、彼が私の小説「遠い山なみの光」の映画化を希望してくださった最初の日から、とても興奮していました。石川さんは映画という言語を巧みに操り、俳優たちから見事なニュアンスの演技を引き出す監督です。私が夢中になって読んだ今回の素晴らしい脚本は、ミステリアスで感動的でした。主演の広瀬すずさんは、国際的な舞台において今最もエキサイティングな若手俳優の一人です。これらの理由から、私はこの映画の完成をとても楽しみにしています。
物語そのものは、第二次世界大戦の惨禍と原爆投下後の、急激に変化していく日本に生きた人々の、憧れ、希望、そして恐怖を描いています。今もなお私たちに影を落とし続けている、あの忌まわしい出来事の終結から80年を迎えるこの時期に、この映画が公開されることは、なんと相応しいことでしょう。

石川慶監督】
目下絶賛撮影中、ロンドンへ向かう飛行機の中でこの文章を書いています。いまだにこの特別な原作を自分たちの手で映画化しているとは信じられない思いでいます。この大きな原作に立ち向かう勇気を僕に与えてくれたのは、他ならぬ原作者のカズオさんの「この物語は、日本の若い世代の人たちの手で映像化されるべきだと思っていた」というお言葉でした。
すでに撮了した広瀬すずさんは、紛れもなく戦後長崎に生きた悦子そのものだったし(本当に素晴らしかった!)、他にも考えうる最高のキャストスタッフが集まってくれました。イギリスからは、自分の青春時代に大きな影響を受けた数々の傑作映画を制作してきた、Number 9 Filmsが参画してくれています。
特別な映画が出来つつある、そういう手応えを確かに感じています。来年の映画公開、ぜひ期待してお待ちください。

不安感を抱きながら演じる、そんな日々でした。難しくて、悩みながらでしたが、不穏な緊張感を感じるたび悦子に近づいているのを確信し、心強い座組のなかお芝居できた事がとても宝物のような時間でした。希望を捨てず、光に向かって。まだまだ気が早いですが皆様に届く日まで、待ち遠しいです。

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