一夜にして有名になれる→どこまでやる? SNS文化を風刺「#スージー・サーチ」監督が裏話を明かす
2024年8月9日 09:00
インスタントな名声と称賛を求めるSNS文化を鋭く風刺したダークミステリー「#スージー・サーチ」が、本日8月9日から公開。同作を手掛けたのは、長編デビュー作となった新鋭ソフィー・カーグマン。このほど映画.comではオフィシャルインタビューを入手。本作のテーマについて、キャスティング秘話、影響を受けた映画や監督などについて語っている。
ジャンル映画でありながら、キャラクタースタディ(登場人物の内面描写)ができる映画を作りたいと思っていました。また、いま社会で行き過ぎな部分がある承認欲求文化について、掘り下げていきたいという気持ちもありました。
主人公が抱えるジレンマは、皆さんが惹かれる普遍的なテーマとして描いているつもりです。もし一夜にして有名になれるとしたら、そしてそれが被害者のいない犯罪だとしたら、どこまでやってしまうか――?という問いを投げかけています。
私はカーシーとアレックスの大ファンなんです。主人公のスージー役にはありとあらゆる女優を検討しました。彼女を中心として他の登場人物も動いていくからです。彼女の出演しているTVドラマから映画まで全て見ているのですが、とてもユニークで稀有な女優だと思います。カーシーとは主人公の背景について撮影前によく話し合いました。衣装について、スージーはバイトを3つ掛け持ちしながら学校に通っている設定だったので、流行りについていくようなファッションではなく、ミステリーを紐解くマインドの持ち主ということが伝わるような衣装を選びました。
アレックスは、同世代のなかでもっとも才能ある俳優のひとりだと思います。アレックスは、徹底的に役になりきるタイプの役者です。例えば、私も見たことがなかったような脇を刈り上げる髪型を提案してくれて、実際に切ってくれたり、「多分、ジェシーは耳にピアスを開けている青年に違いない」と、本当にピアスを開けてくれました。また撮影前からジェシーとしてのSNSアカウントを作成してくれて、投稿で詩を書いたり(いくつか映画でも起用しているのですが)徹底的に私が書いたキャラクターを次の次元へと昇華させていきました。
他にもジム・ガフィガンや、ケン・マリーノといった方たちで脇を固めているのですが、皆さんはとても役の読み解き方が面白いし、それぞれ笑わせてくれるし、一緒に働いてくれて嬉しかったし、編集もとても楽しかったです。
影響を受けた映画のひとつは、クリエイティブなカメラワーク、遊び心のあるトランジション、そして独特の配色が印象的な「アメリ」です。また「花様年華」など、色調が濃厚だし、テクスチャーが非常に芳醇なので参考にさせていただきました。他にも「シャイニング」「ロスト・イン・トランスレーション」「エターナル・サンシャイン」「クルーレス」なども参考にさせていただきました。
挙げればきりがありませんが、監督でいうとポール・トーマス・アンダーソン、ヨルゴス・ランティモス、ジョナサン・グレイザー、コーエン兄弟、ウォン・カーウァイ、ジャン=リュック・ゴダール、ミヒャエル・ハネケ、スタンリー・キューブリックなどです。
とても楽しいストーリーを語ったつもりですし、皆さんの共感を呼ぶ物語であって欲しいと思っています。昨今、ソーシャルメディアを中心に、キャンセルカルチャーが蔓延っていたり、人に対する決めつけが瞬時にできてしまったり、人間の悪いところを助長する文化になっていると思います。でも、一歩引いてみると、人間って非常に多面的で複雑な存在なんだということに気づくはずです。そうしたことに、映画を通して思いを馳せていただけれると嬉しいです。
スージーの行動は決して潔白ではないですが、応援したくなるキャラクターだと思いますし、スージーの中の自分のある部分を見出してくれたらと思っています。そして気に入ってくれたら、友達にも是非伝えてこの作品をサポートして欲しいです。
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