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【「ツイスターズ」評論】前作のレガシーを受け継ぐ、怪獣映画仕立ての気象現象パニック

2024年8月4日 21:00

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「ツイスターズ」は公開中
「ツイスターズ」は公開中
(C)2024 UNIVERSAL STUDIOS,WARNER BROS.ENT.& AMBLIN ENTERTAINMENT,INC.

街に被害をもたらす巨大竜巻の群発と、それを追うストームチェイサーの勇猛さを捉えた「ツイスター」(1996)の正統な続編。前作から28年間という製作スパンはトピックとして挙げられるほどに長いが、映画史最長は「バンビ」(1942)から「バンビ2 森のプリンス」(2006)に至るまでの64年間らしいので、意外なところに上手がいる。

それはともかく、今回は世代が変わり登場キャラクターは刷新され、ストーリーの継続展開はない。ただ前作とは同じ世界線上で、設定や細部に共通の要素はある。前回は米オクラホマ州で頻発する竜巻に追跡システムを巻き込ませ、動きのジオメトリーデータを得ようとするストームチェイサーと、ライバルチームとの衝突を描いていた。今回も竜巻のメカニズムを解析し、被害を抑えようとする気象学者ケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)の新システム開発チームと、「竜巻カウボーイ」の異名をとる快楽的ストームチェイサー、タイラー(グレン・パウエル)の対立がドラマの中心となっている。後者が登録者数100万人を超すVtuberというところに時代性を覚えるが、竜巻に人生を賭けた両者がやがて目的一致のもと共闘していくところ、映画は「ツイスター」の熱い精神を共有している。

気象現象を巨大怪獣に見立てた演出も健在で、前作の監督ヤン・デ・ボンの多動的なキャメラムーヴを、今回の監督リー・アイザック・チョンが継承していて頼もしい。空撮でキャメラが被写体に寄るアクロバティックな視点移動も、ハンドヘルドなキャメラの動きも、いずれも前作のままだ。そこは時代を経ても視覚面で「ツイスター」であることを主張する。

ただCG技術が過渡期だった当時、デ・ボンの意匠ともいうべき激しいライブ撮影は、デジタル竜巻とのマッチムーブが困難を極め、そういった限界への挑戦が「ツイスター」の驚異的な要素としてあった。進化したデジタルワークのもとにある続編から、そうした驚きを得ることはないかもしれない。ただそれでも、ステージやスケールの異なる竜巻を描写するきめ細かな視覚効果は、経年なりの驚きを感じさせて不足はない。なにより竜巻研究のテクノロジーや気候変動による発生の頻度など、時代の趨勢による猛威の激化を、このシリーズ最新作は余すところなく捉えている。

シャークネード」(2013)の影響で、竜巻は人喰いザメを運んでくる困った移動装置みたいに思われがちだが、本作で恐怖の主役としての権威を取り戻した。個人的には「ダンボ2」を「ダンボ(1941)」の続編とみなすのにやや抵抗はあるが、「ツイスターズ」はその責務を見事なまでにまっとうしている。

(尾﨑一男)

執筆者紹介

尾﨑一男 (おざき・かずお)

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映画評論家&ライター。主な執筆先は紙媒体に「フィギュア王」「チャンピオンRED」「映画秘宝」「特撮秘宝」、Webメディアに「ザ・シネマ」「cinefil」などがある。併せて劇場用パンフレットや映画ムック本、DVD&Blu-rayソフトのブックレットにも解説・論考を数多く寄稿。また“ドリー・尾崎”の名義でシネマ芸人ユニット[映画ガチンコ兄弟]を組み、TVやトークイベントにも出没。

Twitter:@dolly_ozaki


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