「男はつらいよ」55周年プロジェクト開始! 山田洋次監督と黒柳徹子が渥美清の秘話を語る特別番組も放送
2024年2月28日 07:00
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山田洋次監督、渥美清主演による国民的映画シリーズ「男はつらいよ」55周年を記念して、「Go!Go!寅さん」プロジェクトと題し様々な施策が構想されている。同プロジェクトは2025年12月31日まで約2年かけて実施され、その一部が発表された。あわせて、山田監督のコメントも披露された。
昭和44年8月27日に劇場公開された「男はつらいよ」は、人々を笑いと涙で包み込み、のちに「一人の俳優が演じたもっとも長い映画シリーズ」としてギネスブックにも認定。総観客動員数8000万人を超える大ヒットシリーズとなった。令和元年には50周年を迎え、それまでの全49作が4Kデジタル修復されたほか、第50作「男はつらいよ お帰り 寅さん」が製作された。
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55周年プロジェクト「Go! Go! 寅さん」では、「こんな生きにくい窮屈な世の中だから…寅さんの言葉の数々を伝えたい」「寅さんと『男はつらいよ』は世代を越える!ミレニアル世代、Z世代にも観て欲しい」という2つのコンセプトのもと、様々な施策を行っていく。
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NHK-BSでは、特別番組「渥美清にあいたい 山田洋次と黒柳徹子が語る(仮題)」を3月17日(午後2時49分~3時48分)に放送。同番組では、渥美と兄妹の様に仲が良かった黒柳、「男はつらいよ」をともにつくりあげた山田監督が「私しか知らない渥美清」を語り合う。番組内では「夢であいましょう」などの貴重な映像とともに知られざるエピソードが明かされる。
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特番にあわせて、同局では映画「男はつらいよ」シリーズから4本を放送。3月4日午後1時から第17作「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」(76)、3月5日午後1時から第22作「男はつらいよ 噂の寅次郎」(78)、3月17日午後1時から第9作「男はつらいよ 柴又慕情」(72)、3月24日午後12時25分から第7作「男はつらいよ 奮闘篇」(71)を放送する。
さらに第1作「男はつらいよ」(69)が、シリーズ初の4K UHDで発売。「3840ピクセル×2160ピクセル」の超高解像度で、古き良き昭和のあたたかな雰囲気や下町の景色とともに、寅さんのハチャメチャぶりを楽しむことができる。発売時期は年内を予定しており、詳細が決定次第、発表される。
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Amazon限定で発売している松竹映画アパレル・グッズ・シリーズでは、「寅年」をきっかけに毎年、干支シリーズ「〇年の寅さん」のロゴ入りグッズを制作。最新版「辰年の寅さん」は、昇り龍がモチーフの切手ロゴとカンフーポーズの寅さんシルエットで構成されたデザインとなっている。商品ラインナップは、Tシャツ(全6色/税込2980円)、長袖Tシャツ(全4色/税込3690円)、トレーナー(全4色/税込4500円)、パーカー(全4色/税込4800円)、ジップパーカー(全4色/税込5000円)、スマホケース(全2色/各・税込2500円)。詳細は公式サイト(https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/news/2235/)で確認できる。
キービジュアルは軽やかな跳躍で勢いを表現したデザインで、コピーには第6作「男はつらいよ 純情篇」(71)の「そうよ、人生は賭けよ。」というセリフが使われ、ロゴには寅さんのトレードマークの一つでもある、こだわりのハットがあしらわれている。
山田監督のコメント全文は以下の通り。
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「寅さん」こと車寅次郎という人物の魅力とはなんだろうか。誕生から半世紀を超えてもなお、人々がいまでも彼のことを忘れないのは、なぜだろうか。
寅さんは人一倍の深い「情」を持っていて、困っている人々をみると放っておけない。親との関係に悩む娘、恋心を抱きながらも行動に移せない者、大金を騙し取られた芸者、不治の病に侵された貴婦人、大切な家族を亡くした人……。寅さんは彼ら彼女らに寄り添い、共に心を痛め、叱咤激励し、時に自らの空回りが思いがけず功を奏するなどして、周囲の人たちの心を癒し、背中を押して次の一歩を踏み出すきっかけを与える。
しかし、寅さんが持っている価値基準は「情」だけであり、統一した基準を持たない。要するに無茶苦茶なのであり、そこが寅さんの魅力なのだが、私たちは誰もが「寅さんのようには生きていけない」ということを知っている。困っているときには頼りになり必要とされるが、問題が解決すると途端に厄介者になる人物だ。寅さんは困難な時代でこそ光り輝き、人々を救ってくれるスーパーヒーローだとすれば、暗く、重苦しい今の世の中にこそ逢いたい人物ではないだろうか。
弱った人間を励ます時に、寅さんは的確にその人を慰める言葉を持っている。
「おい青年!」「労働者諸君!」と呼びかける時、<日本の未来は君たちにかかっている>という期待を込めて励ましている。その言葉の根底には、<自分はだめな人間だ>という想いがある。「お前は俺と違うんだぞ、立派なんだぞ」と、低い位置から応援している。
そんなだめな男の破天荒な言動に、周囲の人々は「馬鹿だねえ」と笑い、呆れながらも、寅さんを愛していく。「笑い」は人の内側で、心が自由になる感動だ。めちゃくちゃな価値観を許している自分にホッとして、そのひと時解放される。
大人だけではない。寅さんに憧れる子供たちに何人も出会ってきた。きっと彼らも大人と同じように、生きる苦しさを味わっているのだろう。
遠い他国を旅している寅さんよ、帰って来てくれ。そして魂が自由であることの喜びを、もう一度味わせてくれ。
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