「A24」新作が公開ラッシュ! 「アイアンクロー」など“注目の6作品”を一挙に紹介
2024年2月24日 09:00
ザック・エフロンが主演した映画「アイアンクロー」が、4月5日から公開される。同作は、映画ファンを魅了する気鋭スタジオ「A24」の作品。独特な世界観を貫く意欲作から、各国映画祭で高い評価を獲得する傑作まで、幅広いジャンルの良作を次々と手掛け、圧倒的な人気を誇るスタジオだ。
いまや「A24作品」の文言は、その作品の“品質保証”の印と言っても過言ではない“唯一無二の存在”となっている。今春は、そんなA24作品が続々と公開予定。「アイアンクロー」の公開にあわせて、要チェックな“A24最新作”を紹介する。
“呪われた一家”と呼ばれたプロレス一家を題材に、栄光を築き上げながらも相次ぐ悲劇によって引き裂かれていく兄弟の壮絶な道のりを、次男ケビンの視点からドラマチックに描いた作品。監督を務めたのは「マーサ、あるいはマーシー・メイ」「不都合な理想の夫婦」などで知られるショーン・ダーキン。長年悲劇として語られてきた驚きの実話を家族の愛情と葛藤のドラマとして再構築し、植え付けられた価値観からの脱却という今日的なテーマに踏み込んだ感動のドラマに仕上げている。
主演は、先日ハリウッド殿堂入りを果たした「ハイスクール・ミュージカル」のザック・エフロン。そのほか、「逆転のトライアングル」のハリス・ディキンソンや大ヒットドラマ「一流シェフのファミリーレストラン」のジェレミー・アレン・ホワイトなどが出演し、驚異の肉体改造を披露している。
アメリカでは昨年末の公開以降、口コミを中心として広がりを見せ、辛口批評サイト「ロッテントマト」では観客スコア94%支持(2月1日時点)。出口調査“シネマスコア”ではA24タイトルのなかで歴代最高評価「A-」を記録している。
怪死した母のもとへ向かう帰省の果ては、祝福か?絶望か?─前代未聞のオデッセイ・スリラー。「ヘレディタリー 継承」「ミッドサマー」など忘れられない悪夢のような作品を生み出し続ける監督アリ・アスターの最新作だ。A24と3度目のタッグを組んだ本作では、「ジョーカー」のホアキン・フェニックスを主演に迎え、観客を奇想天外な旅へと誘う。主人公は、日常のささいなことでも不安になってしまう怖がりの男・ボー。怪死した母のもとへ駆けつける帰省が、いつしか壮大な旅へと変貌していく。
これは現実なのか? それとも悪夢なのか? 展開の読めない物語と圧倒的な世界観のもと織りなす、新感覚スリラーとなっている。
「ラ・ラ・ランド」で第89回アカデミー賞主演女優賞に輝き、今年1月に日本公開となった「哀れなるものたち」での演技が話題となり、本年度も2度目の主演女優賞ノミネートを果たしているエマ・ストーン。本作は、彼女が主演を務めるTVドラマシリーズだ。
舞台はニューメキシコ州の小さな町。そこへ引っ越してきたのは、環境に配慮した住宅リノベーションの実現に奮闘する、幸せいっぱいの新婚カップル。だが、風変わりなリアリティ番組プロデューサーのドギーがふたりを訪ね、密着取材を始めることになると、次第に彼らの倫理的価値観が狂い始める…。
長編映画監督デビュー作となるセリーヌ・ソンが自身の体験をもとに綴る繊細な大人のためのラブストーリー。 本年度アカデミー賞の作品賞・脚本賞にノミネートされている。
主人公は、ソウルに暮らす12歳のノラとヘソン。互いに恋心を抱きながらも、ノラの海外移住が決まり離ればなれになってしまう。24年後、ニューヨークで暮らす36歳のノラは作家のアーサーと結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、彼女へ会いにやってくる。“忘れられない恋”の記憶が掘り起こされるなかで、2人の選ぶ“運命”とは――。
“世界的スター”エルヴィス・プレスリーの元妻プリシラの紆余曲折の日々を描いた伝記映画。原作は、プリシラ本人が発表した回想録「私のエルヴィス」。23歳だったエルビスとパーティーで出会った14歳のプリシラは、エルヴィスによる数年に渡る求愛を受け止め、結婚。だが、数々の不倫やエルヴィスの支配的な抑圧によって結婚生活は徐々に破綻していく。
「ロスト・イン・トランスレーション」のソフィア・コッポラ監督がメガホンをとり、華やかな恋に隠された孤独を精巧な美術と美しい音楽で彩った。プリシラを演じたケイリー・スピーニーは、第80回ベネチア国際映画祭の最優秀女優賞を受賞。エルヴィス・プレスリー役はドラマ「ユーフォリア EUPHORIA」のジェイコブ・エロルディが演じている。
第76回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞、本年度のアカデミー賞でも作品賞や監督賞など5部門にノミネートされている注目作。イギリスの作家マーティン・エイミスの同名小説が原案。「The Zone of Interest(関心領域)」とは、第2次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド郊外にあるアウシュヴィッツ収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表す言葉。本作は、そんな関心領域内・アウシュヴィッツ収容所の隣に住む収容所所長家族の裕福で穏やかな暮らしを映し出す、異色のホロコースト作品となっている。
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父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
文豪・田山花袋が明治40年に発表した代表作で、日本の私小説の出発点とも言われる「蒲団」を原案に描いた人間ドラマ。物語の舞台を明治から現代の令和に、主人公を小説家から脚本家に置き換えて映画化した。 仕事への情熱を失い、妻のまどかとの関係も冷え切っていた脚本家の竹中時雄は、彼の作品のファンで脚本家を目指しているという若い女性・横山芳美に弟子入りを懇願され、彼女と師弟関係を結ぶ。一緒に仕事をするうちに芳美に物書きとしてのセンスを認め、同時に彼女に対して恋愛感情を抱くようになる時雄。芳美とともにいることで自身も納得する文章が書けるようになり、公私ともに充実していくが、芳美の恋人が上京してくるという話を聞き、嫉妬心と焦燥感に駆られる。 監督は「テイクオーバーゾーン」の山嵜晋平、脚本は「戦争と一人の女」「花腐し」などで共同脚本を手がけた中野太。主人公の時雄役を斉藤陽一郎が務め、芳子役は「ベイビーわるきゅーれ」の秋谷百音、まどか役は片岡礼子がそれぞれ演じた。