「パラサイト」「ミナリ」「エブエブ」に続く!? ハリウッドを席巻するアジア系映画の次なる注目作「パスト ライブス 再会」
2024年2月7日 12:00
第96回アカデミー賞の作品賞と脚本賞にノミネートされた「パスト ライブス 再会」が、4月5日から公開される。この記事では、「パラサイト 半地下の家族」「ミナリ」「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」など、ハリウッドでアジア系映画が注目を集めるいま、グローバルなキャストとスタッフが集結した本作の魅力を紐解いていく。
本作は、ソウルで初恋に落ちた幼なじみのふたりが、24年後に36歳となり、ニューヨークで再会する7日間を描くラブストーリー。物語のキーワードは、「運命」の意味で使う韓国の言葉“縁(イニョン)”。見知らぬ人とすれ違ったとき、袖が偶然触れるのは、前世(パスト ライブス)で何かの“縁”があったから。久しぶりに顔を合わせたふたりは、ニューヨークの街を歩きながら、これまでの互いの人生について語り合い、「もしもあのとき、あなたとの未来を選んでいたら――」と、自分たちが「選ばなかった道」に思いを馳せる。「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のA24と、「パラサイト 半地下の家族」の韓国・CJ ENMが初の共同製作を担当した。
メガホンをとるのは、本作で長編映画監督デビューを飾ったセリーヌ・ソン。第81回ゴールデングローブ賞では、外国語映画賞、作品賞(ドラマ)に加え、主演のグレタ・リーが主演女優賞(ドラマ)、ソン監督が監督賞と脚本賞に名を連ねるなど、計5部門にノミネートされた。
北米でアジア系映画に注目が集まったのは、2018年8月。シンガポールを舞台にしたシンデレラストーリー「クレイジー・リッチ!」が大ヒットした。主要キャストをアジア系俳優で固めた、ハリウッドメジャースタジオによるアメリカ映画が製作されたのは、1993年の「ジョイ・ラック・クラブ」以来となった。同作以降、賞レースでもアジア系映画の存在が際立つようになる。
そして2020年、ポン・ジュノ監督作「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞4冠を達成。21年にはクロエ・ジャオ監督作「ノマドランド」が3冠を獲得し、韓国の名俳優ユン・ヨジョンが「ミナリ」で助演女優賞を受賞した。22年には濱口竜介監督作「ドライブ・マイ・カー」が4部門にノミネートされ、外国語映画賞を手にし、日本映画としては「おくりびと」以来の快挙となった。そして23年、「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」でミシェル・ヨーが、アジア人初の主演女優賞を受賞している。
アカデミー賞でのアジア映画の勢いが止まらないいま、注目を集めているのが、「パスト ライブス 再会」だ。アジアにとどまらず、ボーダレスな活躍をしているキャスト・スタッフが勢揃いしている。ソン監督は、12歳の頃に家族とソウルからカナダに渡り、いまはアメリカ人の夫と暮らしている。本作は、ソン監督がそんな自身の体験談をもとに、オリジナル脚本を執筆した物語。幼少期にソウルから引っ越した主人公ノラ役のリーは、韓国から移住した両親を持ち、生まれも育ちもロサンゼルスという生い立ちがある。
初恋の相手・ノラに会うためニューヨークにやってくるヘソンを演じたユ・テオは、ドイツで生まれ育ち、高校卒業後、ニューヨークとロンドンで演劇を学んだ。その後、渡韓し、同地でドラマや映画で活躍している。ノラのアメリカ人の夫アーサーに扮したジョン・マガロは、役どころと同じく、韓国系アメリカ人であるファッションデザイナーの妻がいる。劇中には、それぞれの人生と、演じた役どころに共通点があるキャスト陣だからこそ表現できた瞬間が、いくつも溢れている。
「パスト ライブス 再会」は、4月5日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
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