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「NO 選挙,NO LIFE」 選挙ライター畠山理仁「自由に生きている人たちを見て、自分も好きに生きて良いんだって感じて欲しい」

2023年11月12日 10:00

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選挙ライターの畠山理仁氏
選挙ライターの畠山理仁氏

自らに「立候補者全員を取材出来なければ記事にしない」というルールを課し、総選挙から米の大統領選、はたまた市区町村議会の地方選まで、国内外のあらゆる選挙の取材を手がけるフリーライター畠山理仁。そのキャリアは25年を超え、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞した「黙殺 報じられない“無頼系独立候補“たちの戦い」(集英社)など、選挙をテーマにした著作も多い。そんな彼の活動が、この度ドキュメンタリー映画になった。「NO 選挙, NO LIFE」。選挙に半生を捧げる畠山をそのまま表したような題名だ。

監督はテレビディレクター出身で、「なぜ君は総理大臣になれないのか」「香川1区」(撮影も)「国葬の日」など政治をテーマにした硬派な作品をプロデュースし、「カレーライスを一から作る」以来7年ぶりにメガホンを取った前田亜紀。2022年7月の参院選東京選挙区と9月の沖縄県知事選での畠山に密着、ウェブ版(前後編各10分)とフジテレビでオンエアされたNONFIX版(48分)を再編集し、本作(109分)を完成させた。

画像2(C)ネツゲン
――自分が映画になった感想を聞かせて下さい。

今まで意識していなかったんですが、こうして見ると自分の取材活動がどれだけ異質なのかを感じました。候補者とやりとりしている自分を客観視すると、かなり変な人だなと(笑)。僕は全員取材をモットーにしているんですが、もちろん映画はそうはいかず、編集で落ちてしまう人も出てくるだろうなと思っていました。自分はそれに納得できるだろうかと思っていましたが、映画を見たらちゃんとストーリーになっていて、自分には出来ない表現として完成していました。同じものを観ていても、違うものが作れる。すごい、と驚きました。前田監督に撮ってもらってよかったな、と思いました。

――実際の自分とのギャップを感じる場面はありましたか?

監督には「自分にはNGが無いんで全部撮ってくれて構いません」とお願いしました。ただ、頼まれてもいないのに勝手に喋っている場面が多々あり、それは普段の自分とは違うかなと。カメラが入ることで少し違った部分が出たのかも知れません。両親や家族からは『今までの活動が映画になって有り難いね』と言われました。妻(作中にも登場する)の理解と後押しがあって続けてこられた仕事なので、あらためてとても感謝しています。それから、整理していない自室など、プライベートな要素がバッチリ映っていたのは照れくさかったですね。

画像4(C)ネツゲン
――「選挙」が映画になることに関してはどう思いますか?

前田監督がプロデュースした「劇場版 センキョナンデス」で主演・監督を務めたダースレイダーさんとプチ鹿島さんが、私のことを色んなメディアで言及してくれたり、19年の参院選を追った原一男監督の『れいわ一揆』が製作される端緒に立ち会ったりしていたので、様々なメディアを通して、選挙への興味が高まっていることは感じていました。なので、取材者目線という今回のアプローチで、さらに選挙の楽しさや大切さを知ってもらいたいなと思います。国政選挙には毎回600億円もの税金が使われています。ものすごい可能性を秘めた民主主義の一大イベントなんですから。

――全ての候補者を等しく扱う、と言うのが畠山さんの取材姿勢なんですね?

大きな政党に所属している候補もいれば、全く無名の方もいます。そんな個人で活動している、陽の当たらない独立系の候補者が軽んじられてはいけない。なぜなら、全ての候補者は平等に供託金(映画で扱う参院選、知事選は1人300万円。選挙公費の原資になる)を負担しているからです。だからメディアでの露出も、せめて一度は平等な機会があってもいいと思うんです。そんな想いから全員取材を始めたんですが、いざ話を聞いたら、どの候補者もパワフルでとても面白い方ばかり。僕よりも20歳以上も年上なのに自由に生きている人もいるし、皆さんとても元気。僕自身が選挙のたびに「明日も頑張ろう」と勇気をもらっています。だから自分はそういう人たちに光を当てる存在になりたい。無名の有権者である多くの方にも、「選挙は私たちの物語なんですよ」と知ってもらいたいんです。

画像6
――キャリア25年の中で大きな変化はありましたか?

選挙取材ってコスパが悪いんですよ。展開が短期間で雑誌に掲載されたときには結果が出てしまう。雑誌媒体では扱いづらいので、僕のようなライターには致命的なテーマです。さらに、最近の週刊誌は廃刊も多くページ数も少なくなり原稿料も減少している。その反面、ウェブ媒体や動画配信、SNSが登場して、速報性やスペースの自由度は上がってきています。4月の杉並区議会議員選挙では69人の候補者全員を5日間で取材し動画配信までやりました。初日だけで29人取材できたのは僕の中で新記録(それまでは18人)ですね。投票日前にアップしたので反響も大きかった。こんなこと昔はあり得なかったですね。

――インターネットは選挙を変えたのでしょうか?

コロナ禍のなかで街頭演説が出来ない期間もありました。インターネットでの選挙運動が解禁されて10年経ちますが、今後ネットでの情報発信はますます比重が高まると思います。今まで独立系候補は下位になると数十票しか取れないこともザラでしたが、2月の愛知県知事選挙では、最下位の安江朗さんでも8万8981票取れている。これは有権者が積極的にウェブで情報を取りに行った結果だと思っています。独立系候補もネットの使い方次第では有力候補と対等に戦える土壌が出来つつあります。

画像3(C)ネツゲン
――ネットでの戦略が新しい有権者を掘り起こしたと思いますか?

政党の評価は別として、N国党や参政党はネットを駆使して、今まで投票に行かなかった層に的を絞って訴えかけています。裾野を広げたという意味で、既存の政党はガーシー(東谷義和)氏が当選した意味を改めて考えた方がいい(その後、参議院の「除名」処分により失職)。自分は選挙に詳しいとか、選挙とはこういうものだと思い込んでいる人たちには、とくに重く受け止めてほしい。今まで投票に来なかった人に、どうアプローチしたか、それを真剣に考えたのかと、いま一度問いたい。多額の政党交付金をもらっている人たちが、支援者だけに向けた運動ばかりやっているから投票率が上がらない、と強く言いたいですね。

――有権者は選挙にどう臨めば良いでしょうか?

今の状況下で有権者側も逆に試されているんです。『自分の1票には力がない』と思って捨ててしまう人も多いけれど、それは自分の可能性を否定しているし、ひいては独立系の候補者たちを軽んじる風潮とも地続きになります。年収1億円の人も収入ゼロの人も、有権者として同じ1票をもっています。これってすごいことですよ。その重さを信じて欲しいと思います。

画像5(C)ネツゲン
――最後に読者の皆さんへ一言をお願いします。

パワーをもらえる、元気が出る映画だと思います。自由に生きている人たちを見て、自分も好きに生きて良いんだって感じて欲しい。試写を見てくれた久米宏さんが「僕は港区でマック赤坂氏(前・区議)を見続けてきた人間だから、(マック赤坂氏を長年追っている)畠山さんのことを変わった人だとは思わないよ」と言ってくれました。自分を肯定してもらえたようで、とても嬉しかったです。自由に生きて良いんだよと。

NO 選挙,NO LIFE」は11月18日全国公開。

▼「NO選挙,NO LIFE」先行上映イベント情報
●東京先行プレミアイベント
日時:11月14日(火)19:00スタート
場所:新宿ピカデリー
チケット:2,000円(税込)
登壇ゲスト:前田亜紀(監督)、畠山理仁、ダースレイダー(ラッパー)、プチ鹿島(時事芸人)、大島新(プロデューサー)
チケット発売日→11/8(水)PM24:00(=9(木)0:00)より劇場 HP にて発売開始。売切れ次第終了
●名古屋先行上陸イベント
場所:ミッドランドスクエアシネマ
日程:12月1日(金)
登壇ゲスト:前田亜紀(監督)、畠山理仁、関口威人(ジャーナリスト)、大島新(プロデューサー)
●大阪先行上陸イベント
場所:なんばパークスシネマ
日程:12月8日(金)
登壇ゲスト:前田亜紀(監督)、畠山理仁、川中だいじ(日本中学生新聞) 、大島新(プロデューサー)
※上映後の舞台挨拶になります。
※ゲスト・イベント内容は予告なく変更となる場合がございます。ご了承ください。

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