なぜ君は総理大臣になれないのか

劇場公開日:2020年6月13日

解説・あらすじ

2019年の国会で不正会計疑惑を質す姿が注目を集めた政治家の小川淳也を17年にわたり追いかけたドキュメンタリー。2003年、当時32歳で民主党から衆議院選挙に初出馬した小川は、その時は落選するも、05年の衆議院選挙において比例復活で初当選。09年に政権交代が起こると「日本の政治は変わる」と目を輝かせる。しかし、いかに気高い政治思想があろうとも、党利党益に貢献しないと出世はできないのが現実で、敗者復活の比例当選を繰り返していたことからも発言権が弱く、権力への欲望が足りない小川は、家族からも「政治家に向いていないのでは」と言われてしまう。17年の総選挙では希望の党に合流した前原誠司の側近として翻弄され、小池百合子代表への不信感から無所属での出馬も考えた小川だったが、前原や地元の盟友・玉木雄一郎への仁義というジレンマに悩まされ、背水の陣で総選挙にのぞむ。映画では「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」「園子温という生きもの」、テレビでは「情熱大陸」「ザ・ノンフィクション」など、数多くのドキュメンタリーを手がけてきた大島新監督が、17年間追い続けた小川の姿を通して、日本政治の未来を問いかけていく。

2020年製作/119分/G/日本
配給:ネツゲン
劇場公開日:2020年6月13日

スタッフ・キャスト

監督
大島新
プロデューサー
前田亜紀
撮影
高橋秀典
前田亜紀
編集
宮島亜紀
ライン編集
池田聡
整音
富永憲一
音楽
石崎野乃
制作担当
船木光
三好真裕美
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映画レビュー

4.5 積極介入ドキュメンタリー

2020年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

“右手には花束を、左手にはナイフを持つ気持ちで取材対象に挑む”という大島監督が、被写体である小川淳也議員にカメラを向けながら、ことあるごとに自らの思いを率直にぶつけていく。今回の決断は間違っていたんじゃないか、(民進党は)政権とる気あるのか、果ては、あなたは政治家に向いていないんじゃないか…。柔らかい物腰とは裏腹に舌鋒鋭く議員を追い詰める。

そのスタイルは、同じく政治を題材にしたドキュメンタリー映画「選挙」(傑作!)とは真逆だ。“観察映画”を標榜する想田和弘監督は取材対象である山内和彦氏を客観的に観察し、どのシーン・側面を切り取るかで自らの思いを伝えた。一方で大島監督は、自らの意見をダイレクトに伝えることで、小川淳也議員から迷いや苦悩などあらゆる言葉を引き出していく。

白眉は選挙カー車内での雑談シーン。民進党から離党し、希望の党への参加を決めた小川議員に対し、大島監督は“無所属でいくべきだった”と意見する。すると小川議員が重い沈黙を交えながら、徐々に心情を吐露し始める。その嘆きはおよそ政治家が漏らすような言葉ではなく、はっきり失言と言えるレベルの内容だが、理想に燃える品行方正な若手議員の本当の苦悩がもっとも表れた瞬間だった。

その後の小川議員が選んだ道を見れば、大島監督の積極的な介入がその決断に影響を与えているのがよくわかる。その功罪はさておき、監督自身が物語の道標となっていくその過程に、ドキュメンタリー映画の持つ力をあらためて思い知った。

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オスカーノユクエ

4.5 苦悩する民主主義の姿

2020年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

現職の衆議院議員、小川純也氏の初出馬から現在までの17年を追いかけた力作ドキュメンタリーだ。民主党から出馬し、実直に国の行く末を憂う小川氏が、民主党の政権奪取から解体、第二次安倍政権の長期化と野党の弱体化の流れの中で、悩み続けてきた姿を赤裸々に映し出している。
最大の見どころは、民進党が解体され、小川氏が小池百合子の希望の党に移って臨んだ衆院選選挙だ。その選択が正しかったのか、期間中もずっと悩み続ける。街中では罵声を浴びせられる。たしかに小池新党とは政治信条的に相いれない部分があるわけだが、あの時は清濁併せ吞む気持ちだったのだろう。
その後、国民民主党には入らず、無所属を選んで原点に立ち返ったかに見える小川氏。彼のような政治家が国政で思うような活躍ができないのはなぜか。まっとうな主張よりも党利党略が優先され、理念がないがしろにされる現実に打ちのめされる。タイトルは言い直せば、なぜ我々有権者は彼のような人物を総理大臣にすることができないのかということになる。「苦悩する民主主義」の姿が映されていた。

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杉本穂高

4.0 政治がなく、選挙はある国、ニッポン。

2026年2月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

政治というものに期待をしなくなってから久しいが、選挙だけは必ず投票にいっている。先の衆議院総選挙で大敗北した弱小野党第一党の党首になってしまった政治家、小川淳也。
この作品の存在を思い出して、遅ればせながら、配信で観た。

作品の序盤で、初出馬した小川氏が言う「自分たちが選んだ政治家を笑っているんじゃ、政治は変わらない」という言葉に反応。国民の大多数が私のように政治をシニカルに(冷笑的に)観ているんじゃないかと思う。小川氏は、それが気に食わないし、それを変えたいんだろう。熱い人だ。行動に移すなんて、並大抵の人ではできないことだ。

しかし、熱い思いだけで政治はできない。政治をするためには、選挙に勝たねばならない。
これは1人の政治家の17年間を追ったドキュメンタリーだが、映っているのは、政治ではなく、選挙だ。小川氏の政治信条のようなものは少し語られるが、政策と呼べるようなものは、ほとんどわからない。ただただ、組織力の弱い、資金の乏しい野党候補の選挙の舞台裏を撮り続けた映画である。

小川淳也という政治家が、一体どんな社会を目指し、どんな政治を目指して活動をしているのかということに興味があったが、ほとんど選挙、政局の話に終始しているのは残念に思った。しかし、これが日本の政治の現実ということなのかもしれない。

組織もカネもなければ、家族も巻き込んだ総力戦になる。「本人です。」「妻です。」「娘です。」のタスキをかけ、ノボリを立てて自転車で走り回る姿は、ある意味滑稽。そして、それを滑稽だと当人達も解っていながらやらざるをえない。低速で走行し、大音量で名前を連呼する選挙カーが近所迷惑だと解っていても、やらざるを得ない。ずっと矛盾を感じながら、それでもやらざるを得ない。選挙はいわば、売名行為であり、売名合戦である。なんとも言えない気分になる。

誠実で正直だけでは生きていけない政治の世界で、誠実で正直であり続けようとする希有な政治家に魅せられた監督は、その希有な政治家の人となりを映すことで、日本の政治に残された希望というものを見せたかったのだろうと思う。その意図は、観る者に伝わったと思うし、私もそれは感じた。
しかし一方で、日本の政治というものは、結局、選挙であり、政局であるのかということに落胆を感じた。田崎史郎氏が出演していたが、政治評論家ではなく、政局評論家と名乗るべきだろう。

ただ、これはと思う場面もあった。小川氏の国会での統計疑惑追及の演説。徐々にその演説に引き込まれる感覚を感じた。弁論の持つ力を感じた。最も弁論の力を感じたのは、選挙応援演説に来た慶応大の井出栄策教授だったが・・・。

一人の希有な政治家の17年を通じて、日本には選挙はあっても、本当の意味の政治はないのではないかと考えさせられた作品だった。

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TS

4.5 組織の一員とは

2026年2月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

民主主義のメリット・デメリットを赤裸々に見せてもらえた。
政治家の苦悩・逡巡。
誠実な小川さんや家族や支援者の苦悩を見せてもらえた。

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jiemom