小辻陽平監督、長編デビュー作「曖昧な楽園」 タイトルに“楽園”を用いた理由とは?
2023年11月1日 12:30

第36回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品された日本映画「曖昧な楽園」が10月31日、東京・丸の内ピカデリーで上映され、本作が長編デビュー作となった新鋭・小辻陽平監督が観客とのティーチインに臨んだ。
身体が不自由になってきた母と二人暮らしの交通量調査員。植物状態の老人の世話をしている青年と幼なじみの女性。交わることのない2つの“生と死”をめぐる物語が、SF映画のような独特の雰囲気で映し出される167分のロードムービーだ。

長編デビュー作がいきなり、国際映画祭のコンペティション部門に出品され、小辻監督は「監督として、成長させていただいたと思いますし、夢のような時間を過ごさせてもらいました」と謝意。本作の着想は、認知症と筋ジストロフィーを患った亡き祖父と過ごした「無為な時間」だといい、「その名付けようのない時間が、自分の中に残っていた。曖昧であり、漠然とした、意味にもならない瞬間、時間を撮影したいという思いがありました」と明かした。
タイトルに“楽園”という言葉を用いた理由を問われると、「くだらない理由で、申し訳ないんですけど」と前置きし、「楽園とかパラダイスの付く映画が大好きで、そういう映画への憧れからです」と説明。具体例として「パラダイスの夕暮れ」「ニュー・シネマ・パラダイス」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「憂鬱な楽園」を挙げた。





ティーチインには、小辻監督をはじめ、出演者のリー正敏、内藤春、トムキラン、高橋信二朗、竹下かおりが同席。脚本づくりや演出において、即興を重視し、監督と俳優たちが対話を重ねながら作り上げたといい、リーは「台本はセリフが少ないですが、情景やその場の空気みたいなものが、すでに練られていた。そこからキャラクターの呼吸や居姿を受け取れたので、即興に困ることはなかった」と振り返った。
また、内藤は「最初、セリフはほとんどなくて、本当に結構長い時間、キャラクターのバックボーンや骨組みを監督と話し合った。本番では、ある意味、まっさらな気持ちで挑み、感覚的に芝居をしていた」と話していた。
第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催。「曖昧な楽園」は、11月18日からポレポレ東中野で公開される。

関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

日本よ、これが本物の“悪”だ
【拷問、殺人、裏切り、粛清】超刺激的な“史上最大ヒット作”、観たらすごかった…!
提供:JCOM株式会社

何だこのむちゃくちゃ“刺さる”映画は!?
【尋常でなく期待してる】人類滅亡…“命より大事な誰か”のためなら自分の限界を超えられる。
提供:ディズニー

キャンドルスティック
【予告編だけでこんなに観たくなること…ある!?】阿部寛、10秒でAIを騙す――狂おしいほど面白そう
提供:ティ・ジョイ

たった“1秒”で爆発的に話題になった映画
【この夏、絶対に観るやつ】全世界が瞬時に“観るリスト”に入れた…魅力を徹底検証!
提供:ワーナー・ブラザース映画

でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
【あり得ないほど素晴らしい一作】この映画は心を撃ち抜く。刺すような冷たさと、雷のような感動で。
提供:東映