地元の映画館には来ず、最寄りのレンタル店にもビデオが置かれず、しばらく観ることができなかったホウ・シャオシェン映画。ちょっと遠めのレンタル店に行ったらたまたま見つけて、ようやく観ることができた記憶。2000年代になってからだったと思う。
台湾現代史三部作を作り終えたホウ・シャオシェン監督が、その最終作だった前作『好男好女』でカンヌ国際映画祭に行った際に主演のガオ・ジエ(ジャック・カオ)、リン・チャン、伊能静の3人の関係性の面白さがヒントとなって製作された作品とのこと。『好男好女』は台湾現代史三部作の最終作ではあったが、どちらかというと現在のシーンに比重が置かれた作品で、本作はその延長上にあるような作品である。日本からの出資を得て製作された台日合作映画で、ホウ・シャオシェンやエドワード・ヤン、ツァイ・ミンリャンなどの台湾ニューシネマ作品は国際的評価は高くとも地元台湾では客が入らず興行成績は上がらないという問題点を抱え、当時は製作が難しくなっていたと思われる。
映画の出来も今ひとつモヤモヤした感じでしっくり来なかったような。自伝的4部作、現代史3部作を撮り終えて、ホウ・シャオシェンも次の方向性を模索してたんではないだろうか。初期ミューズのシン・シューフェン(辛樹芬)を失ったホウ・シャオシェンが新たなヒロインとして前作で起用した伊能静だったが、次作『フラワーズ・オブ・シャンハイ』では脇役にまわり、それが最後のホウ・シャオシェン映画出演作となった。ホウ・シャオシェンの新たなミューズはそのまた次の『ミレニアム・マンボ』で主演したスー・チーを待たなければならなかったのである。またホウ・シャオシェン映画の常連で台湾の伝統的人形劇・布袋戯の国宝級名人でもあったリー・ティエンルー(李天禄)の遺作ともなった作品で、この頃がホウ・シャオシェン映画の転換点だったと言えるのではあるまいか。