【インタビュー】広瀬アリスの悪役願望! 「ミッション:インポッシブル」5年ぶりの吹替、女優業のやりがいを語る
2023年7月28日 10:00
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「やっぱりね、ジャージが楽なんですよ!」――。そう言って、あっけらかんと笑うのは広瀬アリス。現在28歳の彼女に、30代で目指す女性像について質問した時のこと。本人いわく「20代後半は、トレンチコートを着て颯爽と表参道を歩いているはずだった」が「無理だと気づいちゃった(苦笑)」とのこと。それでも「いまが人生で一番楽しい!」と満面の笑みを浮かべる。
そんな彼女が、かつて夢見たクールでカッコいい女性キャラクターの日本語吹き替えを担当したのが、「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」である。前作「フォールアウト」に続いて、バネッサ・カービーが演じる謎めいた美女ホワイト・ウィドウの日本語吹き替えを務めた。同役に携わる以前からシリーズの大ファンだったという広瀬が、その魅力を熱く語ってくれた。(取材・文・写真/黒豆直樹)
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続投という形で、同じ役を、数年を経てやらせていただけるというのは、純粋に嬉しかったです。前回の「フォールアウト」の時、私はまだ23歳で、吹き替えの経験はもちろん、お芝居の経験自体もすごく浅かったんです。「大人っぽく演じてほしい」と言われて、当時の自分なりに頑張ったんですが、なかなかうまくいかずに悔しい思いをした記憶があります。
当時、ホワイト・ウィドウを演じたバネッサ・カービーさんが30歳前後で、5年が経ちましたけど、作品のなかでそこまで時間が経っていないことを考えると、私もアラサーになって、この5年の間に多くの場数を踏んで、少しは彼女に近づけたんじゃないかという思いがあります。
当時、悔しい思いを抱えて「次があれば……」と思っていたので、こうしてまたやらせていただけて本当に嬉しいです。
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監督が5年前と同じ方で「大人になったね」という言葉をいただいたところから始まって、「声質も大人っぽくなりましたね」と言っていただけました(笑)。まだまだ粗い部分はあると思いますが、今回は長ゼリフもあって、緊張しつつもじっくり話し合いながらやらせていただきました。
彼女は自分で直接、手を下すのではなく“仲介役”的な立場なんです。それもあって、イーサンと顔を合わせると、たいてい何かを説明するんですが、こうしたセリフはやはり長いですし、彼女の口の動きに合わせないといけないので、苦労しました。
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ミステリアスなところは前作から一貫して変わっていないです。男性へアプローチするところも「おぉっ! 大人だなぁ……」と(笑)。演じれば演じるほど、謎が深まるばかりなんです。私生活や、映像に映っていない部分が一切見えないんです。そういう意味でもすごく難しいです。
男性にアプローチしたり、ちょっと皮肉を交えたセリフを口にしたり、セクシーな感じだったり、バネッサさんの美貌ありきのシーンがたくさんあるんです。そこはカッコいいですよね。自分で直接は手を下さず、悪事に手を染めていくというのが「カッコいい」と言っていいのかわからないですが(笑)、クールですよね。
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そうなんです。みんな、女性として強いですよね。もちろん、トム・クルーズさんのアクションが何よりの見どころではあるんですけど、それ以外の心理戦や駆け引きがすごく面白いと思います。いろんな戦いがあって、男性のパワープレイだけでないところが魅力的です。
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まず、アクションのクオリティという点で、シリーズを重ねていっても全く落ちていなくて、むしろ上がってるんじゃないかというところが本当にすごい。人間の身体はどうしたって老いていくもので、シリーズを重ねてある程度、落ち着いてもよさそうなのに、毎回、前作を超えていくんですよね。
今回のこれも(チラシやポスターでも使われている、崖からバイクで飛び降りるビジュアルを指しながら)壮観ですよね。毎回、ネットでメイキングの動画とかを漁って見ていますけど、これはもう映画の撮影を超えていますから(笑)! なぜ毎回、そんなギリギリを攻めるのか……? もはや“俳優”というくくりではないですね。私にとって、トム・クルーズさんは実在する人間というより、“仙人”のような超越した存在です。
年齢(61歳)だけを考えたら、あんまり動かないでカメラワークで見せたり、周りを動かしたりというやり方でいいはずなのに、自分が一番動いている(笑)。そうやって毎回、本気を見せてくれるから、これだけ長く、色あせることなくシリーズが続いてきたんだろうと思います。
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やってみたいです! これまで、ほとんどそういう役をやったことがないんですけど、見てくださる方の印象を変えていきたいなと思っています。
どうしても、明るく元気な「イェーイ!」って感じの明るい役を演じることが多くて……。まあ根がそっちなので当然なんですが(笑)。でも、アラサーに入ってきて、役が少しずつ変わってきているのは感じています。
これまで“ポンコツの新人”のキャラはいっぱいやってきましたけど、だんだん、母親だったり、中堅どころの立場の女性、結婚に悩んだり……という役どころをいただけるようになってきました。でも、悪役はほとんどやったことがないので、一度、いまの時期にガラッとイメージを変えるような悪い役がやってみたいです。
思いきり同性に嫌われたいです(笑)。画面に出てきただけでムカつかれて、アンチが増えそうな女性を演じたいです。自分で言うのもなんですけど、あんまりそういうイメージがないので、きっと新鮮だと思います!
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しばらく、お芝居の仕事から離れている時期があって、最近、大河ドラマ(「どうする家康})や新しい作品の現場に入ったんですが、そこで改めて、私は現場が好きなんだなって気づきました。
スタッフさんとキャストの全員が同じ方向を向いて、作品をつくっていくあの感じ――やりがいがあって、悩めば悩むほど、最後に終わってみたら、それが楽しいことに変わっていくんですよね。最初にドライ(=リハーサル)でやってみたら、グダグダで「全然ダメじゃん」ってものだったのが、繰り返し何度もセリフや動きを合わせて、最後に本番で良いシーンが撮れたら、それだけで本当に幸せな気持ちになります。
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うーん、節目と言えば節目なんですけど、あんまり変わんない気がします。相変わらず、ゆるーい感じで楽しいことばっかりやって、やりたくないことは「やんなーい」とか言っていそうな気がします(笑)。
無理ですもん! 無理無理(笑)。(遠い目をしながら)20代後半は、トレンチコートを着て颯爽と表参道を歩いているはずだったんですけどねぇ……。ジャージが一番だって気づいちゃったんです。トレンチコートは着てられないなぁ……って。
なので、あれこれ目標や理想をつくってそれに縛られるのではなく、いまを楽しみたいです。今日の自分を自分で満足させてあげようって思ってます。いまが人生で一番楽しいし、日々それを更新してます!
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