「リトル・ミス・サンシャイン」のオスカー俳優アラン・アーキンさん死去
2023年7月1日 17:36
70年間にわたり映画やテレビ、舞台で数多くの印象的な名演を遺してきたオスカー俳優のアラン・アーキンさんが6月29日(現地時間)、米カリフォルニア州カールスバッドの自宅で死去した。89歳だった。バラエティなどの米メディアが一斉に報じている。
アーキンさんの3人の息子が、「私たちの父はアーティストとしても人間としても、才能豊かで唯一無二の存在と言える豪快な男でした。愛情深い夫で父親、祖父で曽祖父だった愛する父のことを、私たちは心から恋しく思うでしょう」という共同声明で報告したもので、死因は明かされていない。
1934年、米ニューヨーク・ブルックリンで生まれ。12歳の時に一家でロサンゼルスに移住したのをきっかけに俳優を志すようになったアーキンさんは、ロサンゼルス私立大学とベニントン大学で演技を専攻したのち、1950年代後半からオフブロードウェイとブロードウェイの舞台に立ち、1966年の映画デビュー作「アメリカ上陸作戦」でいきなりアカデミー賞主演男優賞にノミネートされて一躍注目を集める。
翌67年には、「暗くなるまで待って」でオードリー・ヘプバーンと共演。続く「愛すれど心さびしく」(68)では再びアカデミー主演男優賞にノミネートを果たした。その後も、カメレオン俳優ぶりを発揮した「ふたりの天使」(69)、戦争の愚かさをパロディという手段を通して痛烈に描いた傑作「キャッチ22」(71)、故・ピーター・フォークさんとの息の合った名コンビを披露した「あきれたあきれた大作戦」(79)と「ビッグ・トラブル」(86)など、コメディからシリアスなドラマまで幅広いジャンルの作品に出演。
2006年、家族の再生を描いた珠玉のロードムービー「リトル・ミス・サンシャイン」の“グランパ”ことおじいちゃん役でアカデミー賞助演男優賞に輝き、念願の初オスカーを手にしたのに加えて、12年にはベン・アフレック製作・監督・主演による実録社会派サスペンス「アルゴ」で4度目となるオスカーノミネート(助演男優賞)を獲得した。
その他の出演映画に、「シザーハンズ」(90)、「摩天楼を夢見て」(92)、「ガタカ」(97)、「ポイント・ブランク」(1997)、「ゲットスマート」(2008)、「ジーサンズ はじめての強盗」(2017)、「ダンボ」(2019)などがある。
また、最近作にして2度エミー賞にノミネートされたNetflixオリジナルコメディシリーズ「コミンスキー・メソッド」(2018-2021)をはじめ、テレビシリーズにも多数出演。加えて舞台と映画の監督としても活躍した。