谷崎潤一郎の不朽の名作を令和オリジナル脚本で映画化 破滅と背中合わせの激情描く「卍」9月9日公開
2023年6月16日 18:00
女性同士の性愛から、男女4人の卍がらみの人間の業を描き、幾度も映像化されてきた谷崎潤一郎作品を原作に、井土紀州が新解釈のオリジナル脚本にて挑む意欲作「卍」 が、9月9日公開される。このほどメインビジュアル、予告編、場面写真が披露された。
セレクトショップオーナー・柿内園子は、歯科医である夫・孝太郎の支えを得て店の経営に情熱を注いでいた。ある日園子がよいモデルがいないかと孝太郎に相談したところ、孝太郎はあてがあると若い女性・光子を紹介する。園子と光子は仕事を通して親しくなり、園子の抑えていた感情がほとばしり光子を強く求め、しだいに激しく愛し合うようになる。だが後日、ショップに光子の彼氏だと名乗る男・エイジがやってくる。エイジも孝太郎も女ふたりの関係を知り、男女4人は破滅と背中合わせの激情に身を焦がしていく。
脚本家として瀬々敬久監督作品や山戸結希監督作「溺れるナイフ」「生きるとか死ぬとか父親とか」などを手掛けた井戸が6年ぶりにメガホンをとり、光子役を務めるのは昨年公開のいまおかしんじ監督作「遠くへ,もっと遠くへ」にて大胆なベッドシーンに臨んだ新藤まなみ。相手役の園子に「ちょっとかわいいアイアンメイデン」の主演や「ジムノペディに乱れる」に出演の小原徳子(旧芸名・木嶋のり子)。また本作で二人の女性に翻弄される男を大西信満(夫・孝太郎役)と、映画「やまぶき」で注目を集めた若手俳優・黒住尚生(エイジ役)。光子の母親役に仁科亜季子。お笑い芸人のぶっちゃあが友情出演している。
予告編や場面写真では、小悪魔のような光子と、優しい夫がいながらも光子に惹かれてしまう園子。ふたりの愛の行方が気になるシーンが切り取られている。9月9日から新宿K’s cinemaほか全国順次公開。
■新藤まなみ
卍のお話をいただいた時、樋口可奈子さん主演のリメイク版を観ました。1964年の映画化から令和に至るまで幾度もリメイクされ、名だたる名女優たちが創り上げてきた卍という歴史のある作品での主演は、まずとにかく不安でした。ですが、脚本、監督共に定評のある井土監督と、幼少から業界で戦ってきた小原徳子さんの安心感に支えられてなんとか撮り終えることができました。
去年の映画で初主演初ベッドシーンだったのに、今回は主演×女性とのベッドシーンがあって、たくさん悩みましたが私たちらしく、また新たな扉を開けられたのかなと思います。役者としてですよ!笑
今この時代に「新藤まなみ」が演じる卍は、皆さんの目にどう映るのか…皆さんの感想を楽しみにしております。
新藤まなみさんは、不思議な魅力のある方だなと、初めてお会いした時に思いました。明るくて惹きつけられるのに、一度開けたら戻ってこられなくなりそうな未知の扉を持っている、まさに、“みっちゃん”だなと。
井土監督と沢山のディスカッションを重ね、園子として生きた撮影期間は本当に濃厚で、あの時生まれた様々な感情は、濃密で繊細で愛おしいものでした。
観客の皆さまにも、園子の感情を是非映画館で体感していただきたいです。
令和版“園子”としてこの作品に出演できたことを幸せに思います。
犯罪であれ、情痴であれ、映画の中で登場人物が一線を越えてしまう瞬間を見るのが好きです。
“ああ愚かだなぁ”と、俄然その人物が愛おしく感じられます。
道を踏み外さず、理性的に留まったりしようものなら、“けっ、利口な奴め”と腹立たしく思うくらいです。
“もっと愚かに、もっと愚かに……”だから、映画の人物について考えるときはいつもそう念じています。
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