是枝裕和×坂元裕二のタッグ作完成!カンヌ出品も決まり「とても光栄」
2023年5月8日 21:12
「万引き家族」の是枝裕和監督と「花束みたいな恋をした」の脚本家・坂元裕二が初めてタッグを組んだ映画「怪物」の完成披露試写会が5月8日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、是枝監督と脚本の坂元、キャストの安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、中村獅童が登壇した。
大きな湖のある郊外の町を舞台に、息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子どもたち、それぞれの視線を通した“怪物”探しの果てに訪れる結末を描き出す。
5月16日に開幕予定の第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門への出品も決まっており、会場からは大きな拍手が。その様子に「とても光栄です」と語った是枝監督は、「カンヌが決まる前から(日本の)公開日が6月2日と決まっていて。行けるかどうか分からないので、(公開を)延ばした方がいいですよと言っていたんですが。でもいい形で参加することができて、ホッとしています」と笑顔。
是枝裕和×坂元裕二というコラボレーションが話題の本作だが、声をかけたのは坂元の方からだったという。「正直、是枝監督が受けてくださって驚きでした。長いキャリアの中でも、基本的にはご自身で脚本を書かれている監督ですから。映画監督としてだけでなく、脚本家としても尊敬している方なので。自分が(脚本を)書いていいのかという不安を覚えながら会いましたね」と述懐。
一方の是枝監督は常々、「自分で書かないんだったら坂元さんに脚本をお願いしたい」と考えていたそうで、「読む前から引き受けることは決めていたので、どんな話であれ、自分に引きつけてチャレンジしようと。それくらいタッグの実現には憧れていました」と語る。
また、カンヌ映画祭で、最高賞にあたるパルムドールを獲得した「万引き家族」以来のタッグとなった安藤は、「それこそオファーを受けたのは『万引き家族』からそれほど時間がたっていない時期」と振り返ると、「こんなにも早く監督からお声がけいただけるなんて思っていなかったので、ものすごくうれしかったけど、その反面、監督の現場にすぐ戻ること。そして坂元さんの脚本ということにハードルを高く感じて。長く怖じ気づいておりまして。なかなか覚悟を決められない時期が長くありました」と正直な思いを吐露。
さらに「でももちろん現場に参加して、完成した作品をスクリーンで見た時に、その時の自分を一発殴ってやりたいような。想像を遥かに作品に出させていただいて。この映画の一員として、すごくこの映画に感動して、涙が止まらなかったです」としみじみ語った。
本作では、黒川、柊木という子役が大きな役割を果たしているが、ふたりはオーディションで選ばれたという。そのふたりを選んだ理由について「この子と時間をかけて映画をつくるという覚悟ができたらそれだけ。黒川くんは横顔のラインがいいなと思ったのと、柊木くんはこの役にピッタリだった。会った瞬間にこの子だと思いました」と述懐した。
また音楽には、1月27日に急逝した音楽家・坂本龍一さんの曲が使用されている。「撮影場所が(長野の)諏訪に決まって。(脚本の)坂元さんの描かれる風景が明確になったときに、ここに坂本龍一さんのピアノが響くといいなと思い、撮影中も編集しながら、(許可が出る前に)坂本さんの曲を仮当てしていました」と語る是枝監督は、「それから手紙を書いてオファーを出しました。ただ体調のこともあったので、ダメだったらあきらめようと思っていたらすぐに観てもらってお手紙をもらって。全部を引き受ける体力はないけど、観させていただいて、音楽のイメージが浮かんで形にしたので、気に入ったら使ってくださいと」と明かした。
そして「今まで発表された曲を使っていただいて構いません」ということで、坂本さんのアルバム「12」の曲も数曲使用したという。「亡くなられたことは残念ですが、最後にこういう形でご一緒できたことは誇りですし、自分以上に、この作品にとって坂本さんの曲が必要だったんだなと。できあがった作品を観て、誰よりも自分が感じています」としみじみと語った。
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