第73回ベルリン国際映画祭が開幕 ウクライナのゼレンスキー大統領がオンライン参加、イラン俳優が反政府デモに言及
2023年2月17日 16:00
今年73回目を迎えるベルリン国際映画祭が2月16日に開幕し、ウクライナのゼレンスキー大統領が、生中継のオンラインで参加した。ベルリンは伝統的に政治色の強い映画祭として知られるが、今年はロシア軍に侵攻されるウクライナへの連帯と、市民の抗議デモが続くイランの国民の自由を唱える姿勢で、さらに政治色が強調される形となった。
開幕式では、今回ベルリナーレ・スペシャル部門で披露されるウクライナに関するドキュメンタリー「Superpower」の共同監督で、先日ウクライナから戻ったばかりのショーン・ペンが舞台にあがり、現状を訴えたあと、ゼレンスキーがビデオで登場。およそ13分間にわたるスピーチをおこなった。そのなかで彼はビム・ベンダースの「ベルリン天使の詩」に触れ、「この作品は実際のベルリンの壁崩壊よりも早くベルリンの統一を予言していた。分断された街を、天使は自由に飛翔することで統一した。一方今日、自分は自由と奴隷制度、文明化と恐怖政治のあいだに壁をもうけたい。(中略)映画は世界を変えることはできない。しかし、世界を変えることができる人々を、インスパイアすることはできる」と力強く語り、ヨーロッパ、あるいは世界の支持をウクライナが必要としていることを強調した。
また、クリステン・スチュワートが審査員長を務める今年の審査員メンバーのなかには、イラン人の女優ゴルシフテ・ファラハニ(「パターソン」)がおり、彼女も舞台挨拶で、「イラン政府は嘘をついています。無実の人がたくさん迫害されている。抗議デモは5カ月も続いています。わたしはデモンストレーションというより、レボリューションと呼びたい。彼らはみなさんの支持を必要としています」と訴えて、会場から総立ちの拍手を浴びた。
オープニングに選ばれた作品は、アン・ハサウェイ、ピーター・ディンクレイジ、マリサ・トメイらを起用したレベッカ・ミラーの洗練されたロマンティック・コメディ「She Come to Me」。開幕式に先立つ記者会見では、ハサウェイもゼレンスキー大統領について、「わたしたちの時代のヒーロー」と称し、「この機会に、ウクライナを支持するメッセージを語る機会を与えてくれた映画祭へ、感謝の気持ちを表明します。平和を望むのは、いまや万人の願いだと思います」と語った。
今回コンペティションには、新海誠の「すずめの戸締まり」、中国のリウ・ジアン監督の「Art College 1994」の2本のアニメーション、ニコラ・フィリベールのドキュメンタリーや、マルガレーテ・フォン・トロッタ、フィリップ・ガレルの新作などを含む多彩な19本が並んだ。審査員長のスチュワートは、「(責任の重さに)震えています。ベルリン国際映画祭はとりわけ政治的で社会性を含みますが、わたしたちは先入観にとらわれず、新しさや多様性にオープンであるべき。心を震わせる、予期せぬような作品を発見するでしょう。(中略)自由を擁護するなら、映画を擁護しなければなりません」と語った。
授賞式は2月26日に開催され、金熊賞ほか、各受賞作品が発表になる。(佐藤久理子)
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