三池崇史監督「怖いというよりヤバい(笑)」 “世界基準”の衝撃作「ガンニバル」著名監督陣の絶賛コメント
2022年12月30日 10:00
ディズニープラスのコンテンツブランド「スター」の日本発オリジナルドラマ「ガンニバル」の配信が開始された。ディズニーと日本映画の第一線で活躍する気鋭クリエイター&キャストがタッグを組んだ“世界基準”の衝撃作には、日本を代表する監督たちからも絶賛コメントが殺到。一足先にディズニープラスで配信が開始された韓国ドラマ「コネクト」の三池崇史監督は、「怖いというよりヤバい(笑)」と舌を巻いている。
2018年に連載が開始され、累計発行部数210万部を超える二宮正明氏による同名コミックを実写ドラマ化。都会から遠く離れた山間にある「供花村」を舞台に、ある事件をきっかけに供花村の駐在として左遷された阿川大悟(柳楽優弥)が、老婆の奇妙な死を境に、「人が喰われているらしい」と噂される村の異常性に飲みこまれていく。
「何かが起こる前の気配が怖かった」と語る三池監督は、その本質を「やっぱり人間の捉え方なんですよね」と分析。「ステレオタイプな人間がひとりも出て来なくて、観客はキャラクターとうまくコミュニケーションが取れない。そこからどんどん分からない世界に入っていく感じが、日本人にしか作れないテイストの作品だなと思いました」と、自身の表現ポリシーを貫き、世界に向けた“日本人だからこそ作れる作品”を完成させた片山慎三監督の手腕を絶賛する。
「のぼうの城」などで日本アカデミー賞優秀監督賞に輝く犬童一心監督は、「“日本”の新しい映画製作者たちが本気で取り組んだ“日本”の『恐怖』。消えない因習から生まれる血の匂いが画面からあふれる」と評し、やはり日本ならではの質感こそが、本作の魅力だと語る。「この土地から逃れるには、早く見終わるしかないのか。ああ」と、作品の世界観にどっぷりハマっているようだ。
また、「岸辺の旅」で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」監督賞を、「スパイの妻 劇場版」で第77回ベネチア国際映画祭コンペティション部門の銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢清監督は、「冒頭から一気に持っていかれる。この村はマジでヤバイ。もう目が離せない」と、衝撃的なファーストコンタクトに圧倒された様子。「大丈夫か、柳楽優弥。頼りになる仲間など誰もいない。でもだんだん、彼こそがいちばんヤバイのではないかと思えてきた」と、主人公の正義感に潜む“危うさ”に胸をざわつかせる。
さらに海外からは、「新感染 ファイナル・エクスプレス」で国際的な評価を獲得したヨン・サンホ監督のコメントが寄せられた。「原作漫画が持つ恐怖の核心に迫る。つまり、原作漫画の実写化への解釈が完ぺきに近い。原作漫画を実写ドラマという言語で“再描写”した感じだ」と、片山監督の研ぎ澄まされたカメラワークと演出に惜しみない賛辞が送られた。加えて、「柳楽優弥の演技は、いま頂点に達し、伝説的な俳優の域に入ったと感じる」と、家族への愛を暴走させる主人公を演じた柳楽を絶賛する。
国内外の名だたる映画監督が絶賛する「ガンニバル」。日本だからこその表現を貫き、世界を視野に入れた完成度を追い求めた結果、スケール感とクオリティの両面で“世界水準”を成し遂げた野心的な本作は、見る者の価値観と常識を大いに揺さぶること必至だ。
「ガンニバル」(全7話)は、初回2話がディズニープラスで配信中。毎週水曜午後5時に、最新話が更新される。監督たちからの絶賛コメント(全文)は、以下の通り。
「ガンニバル」は“日本”の新しい映画製作者たちが本気で取り組んだ“日本”の「恐怖」。 消えない因習から生まれる血の匂いが画面からあふれる。ここまでやるかあ、と、いい仕事してます。この土地から逃れるには、早く見終わるしかないのか。ああ。
冒頭から一気に持っていかれる。この村はマジでヤバイ。大丈夫か、柳楽優弥。頼りになる仲間など誰もいない。でもだんだん、彼こそがいちばんヤバイのではないかと思えてきた。この先いったいどうなるのか? もう目が離せない。
「ガンニバル」は怖いというよりヤバい(笑)。日本だから作れる間とか空気感とか、何かが起こる前の気配が怖かった。普通は不気味な音響や特殊効果、カメラワークなどで恐怖をあおるわけだけど、やっぱり人間の捉え方なんですよね。ステレオタイプな人間がひとりも出て来なくて、観客はキャラクターとうまくコミュニケーションが取れない。そこからどんどん分からない世界に入っていく感じが、日本人にしか作れないテイストの作品だなと思いました。世界に向けて発信するという作品であっても、自分の世界を表現することが大事だと僕は思っているので、やっぱりそうだよねと再確認できた作品でした。
片山慎三監督の研ぎ澄まされたカメラワークと演出の方向は、原作漫画が持つ恐怖の核心に迫る。つまり、原作漫画の実写化への解釈が完ぺきに近い。片山慎三監督は、原作漫画を実写ドラマという言語で“再描写”した感じだ。また、「こんな部分まで原作に忠実なのか」と感嘆した。スクリーントーンを使わずに、荒々しいペンの線で描かれた村が持つ不穏な空気を、カメラと照明、そして素晴らしい演技で再現した。そして、柳楽優弥の演技は、いま頂点に達し、伝説的な俳優の域に入ったと感じる。ただし、柳楽優弥だけでなく、この作品を構成する多くの俳優たちが、熟練した指揮者に従うオーケストラの一員のように「ガンニバル」という作品を一つの生命体として感じさせる。