黒木華×阪本順治監督「せかいのおきく」に、眞木蔵人&佐藤浩市&石橋蓮司 ロッテルダム国際映画祭出品へ
2022年12月22日 17:00
阪本順治監督が自身のオリジナル脚本を映画化する「せかいのおきく」に、阪本組常連の眞木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司が出演していることがわかった。あわせて、オランダの第52回ロッテルダム国際映画祭のビッグスクリーンコンペティション部門に出品されることも発表された。
黒木華が主演を務める本作は、人と人のぬくもり、そして命の巡りを鮮烈なモノクロ映像で描く物語。江戸末期、寺子屋で子どもたちに読み書きを教えている主人公・おきくは、ある雨の日、厠(寺所有の公衆便所)のひさしの下で、雨宿りをしていた紙屑拾いの中次と、下肥買い(しもごえがい)の矢亮と出会う。武家育ちでありながら、いまは貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる3人は、やがて心を通わせていく。しかし、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失う。
黒木がおきく、寛一郎が中次、池松壮亮が矢亮を演じる。新たに出演が発表された眞木(「亡国のイージス」)は、おきくが文字を教える寺の住職・孝順役。佐藤(「Fukushima 50」)は元勘定方ながら、いまは長屋暮らしをしている、おきくの父・源兵衛役を務める。佐藤と寛一郎は、阪本監督作「一度も撃ってません」での親子初共演に続き、本作で2度目の共演を果たす。おきくと同じ長屋に住む元早桶屋の孫七に、石橋(「一度も撃ってません」)を配した。キャラクター写真には、貧しく不遇な時代にありながらも、たくましくひたむきに生きる6人の豊かな表情が切り取られ、彼らの眼差しや息遣いが伝わってくる。
さらに本作は、第52回ロッテルダム国際映画祭のビッグスクリーンコンペティション部門にノミネート。同映画祭は、オランダの第2の都市ロッテルダムで開催される、世界三大映画祭に次ぐ重要な映画祭のひとつ。2023年1月25日~2月5日(現地時間)に開催される。ビッグスクリーンコンペティション部門は、一般の映画ファンから選ばれた審査員がアワードを選出し、受賞作には、オランダでの公開やテレビ放映のチャンスがあるという。
ロッテルダム国際映画祭のプログラマーを務めるクリスティーナ・アシェンブレネロバは、選出理由について、「武士時代の終わりを舞台に、環境および階級問題を背景に描かれたロマンス作品。『せかいのおきく』には、ほかの時代劇にはない全てがある。阪本順治監督は、汚物のユーモアと鋭い視点を完璧に取り入れることで、彼特有の大胆さを時代劇に反映し、観客に驚きと大きな喜びを与える」と語っている。江戸時代の循環型社会を企画の背景に用いた物語が、サスティナビリティの先進国であるオランダの観客にどのように評価されるのか、注目が高まる。
あわせて披露された海外版ポスターは、さまざまな企業の広告やアートディレクションを手がけ、「誰も知らない」「海よりもまだ深く」などの宣伝美術を担当した葛西薫がデザインしたもの。おきく、中次、矢亮の3人が厠の軒先で雨宿りをする印象的なシーンを写した、品格と風情をあわせ持つビジュアルに仕上がった。
「せかいのおきく」は、23年4月28日に全国で公開される。眞木、佐藤のコメントは、以下の通り。
江戸時代の庶民の心の拠り所であるお寺の住職役、孝順をやらせていただきました。
現在では想像もできないくらいの理不尽な事だらけの時代に少しでも安心、温もり、生きている事の喜び、笑顔を与えられる、少しお茶目な住職を意識し演じました。
この作品で世界に誇れる江戸時代から日本独自のPermaculture(パーマカルチャー)をトピックにしている所も見所の一つだと思います。
そして阪本監督がメガホンを握ることにより更に素晴らしい作品になった事を確信しています。
昔ながらの丁寧な造りの時代劇、何人も見やすい今風な造りの時代劇。
二極化が進んでいくであろう昨今の時代劇ですが、「せかいのおきく」は何方にも属さない新しい青春時代劇映画です。
この青春汚穢時代劇を是非楽しんでください!
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