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「アニメの日」に見てほしい、アニメ映画史を変えた珠玉の劇場アニメ3作+α

2022年10月22日 11:00

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「白蛇伝」(1958年/藪下泰司監督)
「白蛇伝」(1958年/藪下泰司監督)
(C) 東映

10月22日は「アニメの日」。日本初のカラー長編アニメ映画「白蛇伝」の公開日にちなんで2017年に登録されました。

テレビアニメ、劇場アニメが見きれないほど放送・公開され、ふだん旧作まではなかなかチェックできていない方も多いと思います。「アニメの日」を記念して、アニメの歴史が感じられるお勧め劇場アニメ5本をご紹介します。

最初にご紹介するのは、19年開催の第32回東京国際映画祭「ジャパニーズ・アニメーション部門」で上映された「白蛇伝」「エースをねらえ!」「AKIRA」の3作です。上映にあわせて行われたシンポジウム「アニメ映画史、最重要変化点を語る」では、明治大学大学院特任教授の氷川竜介氏とアニメーション史研究家の原口正宏氏からアニメの歴史に触れる出発点として極限まで絞りこんだ3作であることが語られました。くわしくは、以下のアーカイブ動画(https://youtu.be/3Y6zlM-n9Kg)をご覧ください。

●「白蛇伝」(1958年/藪下泰司監督)

「アニメの日」設立の由来となった長編アニメ。東映動画(現・東映アニメーション)を設立した東映の大川博社長(当時)は、同作の予告編に登場してアニメーションで世界に広く進出したいと高らかに宣言し、並々ならぬ覚悟で製作されたことがうかがえます。当時の制作の様子は、NHKのドラマ「なつぞら」内のエピソードのモデルにもなっています。

中国に古くから伝わる説話をもとに、白ヘビの化身である白娘(パイニャン)と、その恋人の許仙(シュウセン)の愛の物語が描かれ、森繁久彌宮城まり子が声の出演をしています。

「エースをねらえ!」(1979年/出崎統監督)
「エースをねらえ!」(1979年/出崎統監督)
(C) 山本鈴美香/集英社・TMS
●「エースをねらえ!」(1979年/出崎統監督)

山本鈴美香氏の同名漫画が原作。お蝶夫人こと竜崎麗香に憧れてテニス部に入部した岡ひろみが、新任コーチの宗方仁に才能を見出され、一流プレイヤーへと成長していく姿が熱く描かれます。

細田守監督などアニメクリエイターにファンが多い作品で、前述のシンポジウムでは「撮影技法やカッティングで“主観的なリアル”を表現していて、後年のアニメに与えた影響は大きい(原口氏)」と語られています。同作を手がけた出崎統監督は、「あしたのジョー」「宝島」「ガンバの冒険」など名作・傑作が多数あります。本作を入り口にぜひ出崎監督作品に触れてみてください。

「AKIRA」(1988年/大友克洋監督)
「AKIRA」(1988年/大友克洋監督)
(C) 1988マッシュルーム/アキラ製作委員会
●「AKIRA」(1988年/大友克洋監督)

8月に公開された「NOPE ノープ」でオマージュシーンがあったことも記憶に新しい、今なお国内外に影響を与え続けるSFアニメの金字塔。

20年に音楽監督の山城祥二指揮のもと5.1ch音源のリミックスが施された4Kリマスター版が公開されましたが、コロナ禍だったため鑑賞できた人は少なかったかもしれません。これまでとは別物と言っていいほど新しいサウンドが味わえますので、機会があればぜひ劇場で「AKIRA」を体感してみてください。直近では、東京・新文芸坐で11月3日に4Kリマスター版の上映が行われます。

残り2本は、アニメハック編集部から21世紀以降に公開されたお勧めの劇場アニメをご紹介します。

「マインド・ゲーム」(2004年/湯浅政明監督)
「マインド・ゲーム」(2004年/湯浅政明監督)
(C)2004 MIND GAME Project
●「マインド・ゲーム」(2004年/湯浅政明監督)

最新作「犬王」が今年公開された湯浅政明監督の長編初監督作。初監督作にすべてが詰まっていると言われますが、本作はアニメーションならではの自由奔放さとエネルギッシュな生命賛歌の物語が高い次元であわさった傑作です。

主人公・西の声を今田耕司が務めるなど吉本芸人が多く出演していて、ナチュラルな関西弁のセリフがテンポよく耳に入ってきます。明石家さんまプロデュースの「漁港の肉子ちゃん」と同じSTUDIO4℃がアニメーション制作を担当しています。

「BLAME!」(2017年/瀬下寛之監督
「BLAME!」(2017年/瀬下寛之監督
(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
●「BLAME!」(2017年/瀬下寛之監督)

近年セルルックの3DCGアニメがテレビアニメや劇場アニメの世界で多く登場しています。その先駆けとなった制作スタジオのひとつであるポリゴン・ピクチュアズが、「シドニアの騎士」に続いて弐瓶勉氏の漫画をアニメ化。人類が都市の防衛システムによって排除される危機に瀕した未来世界を舞台に、巨大な階層都市を探求する霧亥(キリイ)たちの戦いが描かれます。

同作では国内アニメで初めてドルビーアトモスを採用。音響監督の岩浪美和氏は、同作や「ガールズ&パンツァー 劇場版」など自身の担当作品が上映されるさいには映画館に足を運んで音響を調整し、劇場ごとに異なる音響を味わう楽しみをファンに伝え続けています。


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