【「ジブリパーク」潜入レポート第2弾】「耳をすませば」の世界観に浸る“青春の丘”、トトロに会える“どんどこ森”初公開!
2022年10月12日 22:00
スタジオジブリ作品を題材にしたテーマパーク「ジブリパーク」のマスコミ向けの内覧会が10月12日に行われた。会場に潜入した映画.comが、11月1日のオープンを控える「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」を、写真とともに一挙にご紹介。潜入レポート第2弾では、「耳をすませば」の世界観に浸ることができる「青春の丘」、トトロに会える「どんどこ森」にフォーカスを当てる。さらに、スタジオジブリの宮崎吾朗監督、愛知県の大村秀章知事が参加した記者会見の模様もお届けする。
スタジオジブリの世界を再現する同施設は、愛知・長久手市の愛・地球博記念公園に11月1日に開園。施設内は5つのエリアに分かれ、「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」の3つのエリアが11月1日に開業、その約1年後に残りの「もののけの里」「魔女の谷」がオープンする。
【見どころ1】「青春の丘」
●エレベーター棟
●「地球屋」
●ロータリー広場
●「猫の事務所」
●「サツキとメイの家」
●「どんどこ堂」
●「どんどこ売店」
●「どんどこ処」
●「どんどこ号」
「青春の丘」は、「耳をすませば」に登場する「地球屋」、ロータリー広場、「猫の恩返し」の猫の事務所を再現したエリア。
高さ30メートルのエレベーター棟は、「ジブリパーク」の北口付近にあり、来場者をジブリの世界へと導く。既存のエレベーター施設を改装し、「天空の城ラピュタ」「ハウルの動く城」などに代表される、19世紀末の空想科学的要素を取り入れたデザインとなっている。夜は棟の頂上あたりが柔らかな光に包まれ、昼とはまた違った表情を見せる。
「耳をすませば」の月島雫が電車内で出会った猫・ムーンに導かれ、偶然辿り着くアンティークショップ。雫はそこで猫の人形・バロンや、店主の西司郎(天沢聖司の祖父)と出会う。
建物は、木造一部鉄筋コンクリート造の3階建て。来場者が2階から建物内に入ると、アンティークの家具や機械仕掛けのからくり時計、人形や木馬などが置かれており、懐かしく、どこか幻想的な雰囲気が漂う。なかでも雫が運命の出会いを果たすバロン、エルフの王女とドワーフの王が見つめ合う古時計など、印象的なアイテムの数々を展示している。
筆者の見学中、多くの取材陣が「地球屋」にやってきたので不思議に思っていると、なんとエルフの王女とドワーフの王の古時計が動く時間だという。時計の長針が30分と00分を指したとき、宝石がきらめく鉱山でドワーフが動き始め、エルフの王女とドワーフの王が姿を見せるという仕掛け。時計自体は10分遅れており、劇中さながらのロマンティックなシーンを味わうことができる。
1階には、聖司が見習いとしてバイオリン制作を学んでいた工房が。楽器や道具などがずらりと並び、細部までじっくりと眺めることができる。1階と2階、両方にテラスがあり、愛・地球博公園を見渡すことができる。
「地球屋」の前には、雫と聖司が出会ったロータリー広場も完全再現。広場の真ん中には、高さ13メートルのヒマラヤスギが堂々とそびえ立つ。周囲には、劇中の世界に合わせ、ベンチのあるバス停、公衆電話ボックス、郵便ポスト、掲示板も建てられ、「鈴木」と書かれた表札にも注目だ。
「猫の恩返し」に登場する「猫の事務所」は、猫サイズで建てた木造平屋の建物。大人であれば、腰をかがめて窓から中を覗き込むと、ミニチュアサイズの家具や小物に囲まれ、バロンとムタがくつろぐ様子を見ることができる。小さいながら、建物の基礎から木材を組んで仕上げるところまで、本物の建築物と同じ過程をたどり、本格的に建造された。
「どんどこ森」は、「となりのトトロ」の「サツキとメイの家」を中心とした昭和の田園景観をイメージ。「どんどこ」とは、サツキやメイ、トトロがまいた種の発芽を願って踊る「どんどこ踊り」に由来している。
「となりのトトロ」のサツキとメイの姉妹が暮らす民家。2005年に開催された愛・地球博のパビリオンとして建てられ、「ジブリパーク」でも引き続き公開される。宮崎吾朗監督が制作を担当し、劇中の設定に合わせ、昭和10年代の建築様式や、昭和30年代の生活様式を踏まえ、約1年半かけて本物の家を建造した。
「サツキとメイの家」から、山道をのぼっていくとすぐに見えるのが、裏山の山頂にある「どんどこ堂」。トトロの形をした高さ5メートルの木製遊具で、愛知産の杉やヒノキなどが使用されている。小学年以下の子どもたちは、トトロの口のなかに入って遊ぶことができる。トトロがぐわっと口を開けた、ユーモラスな表情に癒される。
山には散策路が整備され、「どんどこ堂」を訪れる前後で、「どんどこ森」に広がる豊かな自然を体感できる。
「どんどこ堂」のそばにある売店。「どんどこ堂」を模したキーホルダーのほか、おみくじやお守りなど、神社のようなオリジナルアイテムを取り揃えている。「どんどこ森」の山頂にやってきた記念に、おみやげを買うのも楽しそうだ。
「どんどこ森」の入口にある休憩所。ほっと一息つける飲み物やお菓子のほか、傘、帽子、手ぬぐいなど、季節に合わせたアイテムが販売されている。
「どんどこ森」の山頂と麓をつなぐスロープカー。乗りたいときに、ボタンを押せば、スロープカーがやってくる。エレベーターのように簡単な操作で、動かすことができる(※ベビーカーや車いすを利用される方、体の不自由な方が優先)。
記者会見で大村知事は、ジブリパーク開園を控えたいまの思いを、「愛・地球博のレガシーを生かしていこうと、スタジオジブリさんとご一緒させて頂き、愛・地球博記念公園のなかにジブリパークを作ることになりました。愛・地球博の理念は、『人、生き物、地球への愛』。スタジオジブリさんの作品に流れているものも同じだということで、見事にシンクロして、未来に向かってメッセージを発信していくことになりました」と語る。
2017年5月の最初の構想から5年5カ月をかけ、遂に開業するジブリパーク。現場の指揮を務めた宮崎吾朗監督は、「5年が長いのか短いのか」といい、「ジブリパークを作る動機のひとつが、宮崎駿監督が長編作品から引退すると宣言したことだったんです。スタジオジブリの長編作品を後世に残すにはどうするかという発想から、ジブリパークにつながっていったんですね。ジブリのいろんなものをぎゅっとつめこんで、多くの人に忘れられないようにしたいという思いが、当時ありました」と述懐。そこで笑い交じりに、「ところが相変わらずまた裏切られまして、宮崎駿はいま、長編映画を作っております。何だろう、梯子を外された気持ちですね(笑)」と笑い交じりに明かした。
会見に集まった記者から、今後の構想について質問が飛ぶと、宮崎吾朗監督は、「まずは、作ったものをきちんと維持していく、ということだと思うんですね。我々が最初、この場所に関わったのは、05年の愛・地球博の『サツキとメイの家』。今回のお話につながったのは、『サツキとメイの家』がきちんと残っていたからだと思うんです。あんなに小さな家ですが、毎年かなりの方が訪れてくださって。あまり拡大主義に走らず、まずはあるものを良い状態で維持していくことを心がけた方が良いかなと思います」と述べる。それと同時に、「拡張があるとすれば、愛知県から要望があればやらざるをえないのかな、大変だなと思っていますが(笑)」と、ジョークを交えつつ語り、今後のさらなる展開への可能性を残す形となった。
「ジブリパーク」のチケットは、エリアごとに日時指定の予約制となり、オンラインチケット販売サイト「Boo-Woo チケット」、全国のローソンやミニストップ店頭「Loppi」で毎月10日発売。
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