「この映画が抑圧的な扱いを受けたのは、偶然ではない」ジョニー・デップが語る「L.A.コールドケース」公開遅延の理由
2022年8月4日 17:00

ジョニー・デップとフォレスト・ウィテカーが共演し、作家ランドール・サリバンが2002年に発表したノンフィクション小説をもとに、人気ラッパーの2パックとノートリアス・B.I.G.が殺害された未解決事件を題材に描いたクライムサスペンス「L.A.コールドケース」が、8月5日公開される。主演のジョニー・デップとブラッド・ファーマン監督のオフィシャルインタビューを、映画.comが独占入手した。
1997年3月、人気絶頂期にいたラッパーのノートリアス・B.I.G.が何者かによって射殺されるという事件が起こった。当時その捜査を担当した元ロサンゼルス市警察の刑事ラッセル・プールは、事件発生から18年が過ぎた現在も執念深く真相を追い続けていた。そんなある日、事件を独自に調査していた記者ジャックがプールのもとを訪れる。2人は手を組み、複雑に絡み合った事件の真相に迫るが……。実在の元刑事ラッセル・プールをデップ、事件を追う記者ジャックをウィテカーが演じる。

本作「L.A.コールドケース」の制作は2018年。日本だけでなく、世界各国で公開が遅れることになった。その理由をデップは「ハリウッド、それが答えだ」と端的に述べる。そして、「ハリウッドの政治は、小学生同士のやり合いのようなものとはいえ、非常に複雑なものだ。この映画が抑圧的な扱いを受けたのは、偶然ではない。弾圧され、われわれの手から離れてしまった」と説明し、その原因は「ロサンゼルス市警察と、その広大な背景が関係しているだろう」と示唆。同席したファーマン監督は「2つの配給会社の闘争、そしてジョニーが仄めかしたように、いくつかの物事に対する認識を巡る争いが起こっていた」と補足した。
しかし、そういったハリウッドの内幕よりも、デップが懸念しているのは本人役として出演しているノトーリアスB.I.G.(ビギー)の母バレッタ・ウォレス氏についてだ。「映画が宙ぶらりんになったとき、本当のダメージはビギーのお母様であるバレッタ・ウォレスさんに及ぶだろう。彼女には“答え”が必要で、この映画にはそこに至るまでの全てが描かれている。彼女には真実を知る権利がある。彼女の苦悩に対して注目が集まり、正義がなされるべきだ」と断言した。

この点について、ファーマン監督は「これは息子を亡くした母親の物語ですが、それだけでなく、この映画は私たちが目の当たりにしているブラック・ライブズ・マターという素晴らしい運動と深く呼応する重厚さを備えています。ビギーは世界中で最も影響力のある黒人の一人であり続けるでしょう」と語る。
本作のクロージング・クレジットでは、「アフリカ系アメリカ人に関する殺人事件の50%以上が未解決」と映し出される。デップはこの数字に関して「警察が変わらなくてはならない」と述べ、「ロドニー・キング事件が起きたとき、人々は街頭に立ち、正義のために行動した。しかし、正義とは人々が熱狂したときに生まれるもので、正義感は復讐心と連動する。また、9割が善良な警官や雇用主であっても、そこには必ず汚職が生まれるだろう」と冷静に持論を述べる。
最後にファーマン監督が「私が衝撃を受けたのは、このクリストファー・ウォレス氏(訳注:ノトーリアスB.I.G.の本名)の物語について、様々な人がストリートにいる色々な人々の物語と同じだと言っていたことです。これらを解決する唯一の方法は、コミュニケーションを取り、こういった状況に対して正直に向き合うことだと思います。そうした中で、徐々に変化が起こっていくのではないでしょうか」と締めくくった。
「L.A.コールドケース」は、8月5日からヒューマントラストシネマ渋谷、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国公開。
(C)2018 Good Films Enterprises, LLC.
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