【「グレイマン」評論】シリーズ化決定か。ルッソ兄弟が手掛けるネトフリ史上最高額のスパイ・アクション大作
2022年7月24日 10:00

ネットフリックス史上最高、2億ドル(約276億円)の製作費がかけられたアクション超大作(ちなみに映画史上最高額は「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命(いのち)の泉」の3億8,000万ドル)。グレイマン=目立たない男、と呼ばれる暗殺者を主人公にしたマーク・グリーニー原作の人気シリーズ小説を映像化した第一弾。
シエラ・シックスのコードネームを持つCIA工作員のジェントリー(ライアン・ゴズリング)。服役中の刑務所で、CIA監理官フィッツロイ(ビリー・ボブ・ソーントン)にスカウトされた過去を持ち、今では完璧な仕事ぶりから「グレイマン」と恐れられていた。とある指令でCIAの重要機密を託されたジェントリーは、漏洩阻止のために雇われたロイド(クリス・エバンス)と殺し屋集団から追われる身に。ジェントリーは工作員ミランダ(アナ・デ・アルマス)の協力を得て、戦いに身を投じる。
著者マーク・グリーニーは2009年に本作の原作「グレイマン 暗殺者」でデビュー、現在シリーズは10作を超える。最新刊「シエラ・シックス」(翻訳未刊行)はジェントリーが暗殺者になるまでの前日譚となっており、この映画とも重なる要素は多い。本作の魅力はジェントリーという主人公そのもの。刺され撃たれれば血を流し瀕死の重傷も負う。仲間は裏切らず、世話になった恩義は忘れない。古臭い人物像は逆に新鮮で、生身の戦いは痛みを伴う読後感が味わえる。
近年は配信系で活躍する監督のルッソ兄弟、前作トム・ホランド主演のApple作品「チェリー」は、PTSDによる薬漬けカップルの沈鬱な堕落劇だったが、「グレイマン」では一転「ジェイソン・ボーン」風の、クロアチアやパリ、ウィーンなど欧州各国で展開する総力戦が途切れなく続く大活劇。閑静な住宅街の一角を壊滅させ、路面電車で街を破壊するプラハでの攻防には息を呑む。
そんな中でもユーモアは随所に。爪楊枝をくわえたゴズリングとチョビひげサイコ男のエバンスが「シャイニング」的な巨大迷路で戦うなどの小ネタが挟まる。またミランダ役のアルマスはブラック・ウィドー並みのアクションを披露。過去にゴズリング、エバンスそれぞれと共演し相性は抜群、二人を相手にブレず媚びない工作員を好演。さらに注目は最強殺し屋役で登場するインド出身の歌手で俳優のダヌーシュ。キレキレの格闘術と眼力でスター誕生を予感させる。
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