「X エックス」ヒロインが老婆の殺人鬼も演じていた 特殊メイクに9時間
2022年7月15日 17:00
「ミッドサマー」の映画スタジオ・A24が手がけるホラー「X エックス」(公開中)のヒロイン・マキシーンを演じたミア・ゴスが、本作に登場する史上最高齢の殺人鬼・パールも一人二役で演じていることがわかった。
本作の舞台は、1979年のテキサス。3組の若いカップルたちが映画撮影のために訪れたのは、史上最高齢の殺人夫婦が棲む家だった。ポルノ映画で一攫千金を狙い、野心むきだしで若さを謳歌する彼らは、老人だからと甘く見ていた老夫婦に恐怖のどん底へと突き付けられる。
ゴスは、本作で演じた殺人鬼のパールについて「彼女はエキセントリックだけど、極端なほど無邪気なの。時代のせいで自分らしく生きることができなかったのよ」と語る。1979年という舞台設定が大きく関係しており、気難しく排他的な夫ハワードは第一次、第二次世界大戦に従軍した退役軍人。同じく妻のパールも時代の波にのまれ、農場以外の世界を知らずに若い時代を自由に過ごすことができなかった、悲しい過去を背負ったキャラクターとして描かれている。
タイ・ウェスト監督は「マキシーンとパールを同じ俳優に演じてもらいたいと思っていたけど、本当にそれを演じられる女優がいるかどうか分からず心配だった」と明かすが、クレール・ドゥニ監督の「ハイ・ライフ」、ルカ・グァダニーノ監督の「サスペリア」に出演していたゴスの演技に惹かれ、本作で映画初主演にして難役に抜てき。若くて輝かしいヒロインのパールと、果たせなかった夢へ後悔の念を持つ老婆パールの関係性を合わせ鏡のように描いた。
公開前に行われた試写会でも、ゴスの一人二役に気付いた人はほんのわずか。エンドクレジットで初めて気付き衝撃を受ける人も少なくない。老婆を演じるにあたって、毎回9時間ほどかけて特殊メイクを施し、ボイストレーニングも行い、時間をかけてパールの不安定な動きを習得していったという。
本作の公式サイト(https://happinet-phantom.com/X/)では、鑑賞後の観客に向けてネタバレありの特別解説ページを設けられ、タイトル「X」に秘められた意味や本編になにげなく映し込まれた小道具、セットに隠された伏線などが掲載されている。