長澤まさみ「百花」で菅田将暉と夫婦役 川村元気監督直筆の手紙でオファーを受けた永瀬正敏も出演
2022年4月19日 05:00
長澤まさみと永瀬正敏が、菅田将暉と原田美枝子が共演する川村元気の長編映画監督デビュー作「百花」に出演していることが発表され、あわせて特報(https://youtu.be/zdnTCwfreoU)も披露された。本作は、レコード会社に勤務する青年・葛西泉(菅田)と、記憶を失っていく母・百合子(原田)の物語。長澤は泉と社内結婚し、初出産を控える妻・香織、永瀬は百合子の秘密を知り、ある事件と深い関わりを持つ男・浅葉洋平を演じる。
本作は、「モテキ」「君の名は。」などの製作に携わってきた川村が、2019年に発表し、累計発行部数18万部を突破した自身4作目の同名小説(文春文庫刊)を、自らの監督・脚本で映画化するもの。レコード会社で働く泉と、ピアノ教室を営む母・百合子は、過去のある事件をきっかけに、わだかまりを感じながら時を過ごしていた。ある日、百合子の不可解な言動を不審に思った泉は、母を病院に連れて行き、そこで認知症だと診断される。
百合子の記憶がこぼれ落ちていくスピードは日に日に加速し、大好きだったピアノでさえもうまく弾けなくなり、泉の妻・香織の名前も分からなくなる。それでも泉は、いままでの親子としての時間を取り戻すかのように、母を献身的に支える。ある日、泉は百合子の部屋で、母の秘密、自身にとって忘れたくても忘れることのできない事件の真相が綴られた日記を発見する。心の奥底にしまい込んでいた記憶を、徐々によみがえらせていく泉。失われてゆく記憶のなかで、「半分の花火が見たい……」と何度も呟くようになる百合子。その言葉の謎が解けたとき、泉は母の本当の愛を知る。
「モテキ」「君の名は。」など川村監督の製作作品に参加してきた長澤は、「川村監督は芯の根というものがすごくピュアな人だな、と思っています。今まで色々な作品をご一緒させていただいてきた中でも、心が温かくて、よく俳優のことをみてくだっている方だと感じていますし、川村監督の冷静さを、凄く信頼しています」と語る。夫婦役を演じる菅田については、「軟体動物みたいに何にでもなれちゃう凄い人だな、と改めて思いました。人の隙間に入り込んでくる感じや、その観察力、かといって威圧感を与える人ではない、この人なら信頼が置けると思いました」と明かした。
川村監督から直筆の手紙でオファーを受けたという永瀬は、「川村監督は、自分の撮っている画の中にいる人達や物達に、凄く愛情をもっていらっしゃるのを感じましたし、その分、画の作りには厳しい“ぶれない監督”でした」「この作品は、原作も監督が書かれていて、『今の時代にどうしてもこの作品をとりたい』という思いが、深く深く染みこんでいる作品だと思います」と、コメントを寄せた。
川村監督は、長澤と永瀬とのタッグについて、「何本もの映画を共に作ってきて最も信頼している俳優のひとりの長澤まさみさん、そして子どもの頃からスクリーンで見てきた憧れの俳優である永瀬正敏さんに、私の初監督作品に是非お力をお借りしたいと、お願いしました」と喜びを明かす。そのほか、北村有起哉、岡山天音、河合優実、長塚圭史、板谷由夏、神野三鈴の出演も発表された。
特報は、「こんなにきれいなのに、いつか忘れちゃうのかしら」という百合子の言葉で幕を開ける。ピアノで「プレリュード」が奏でられるなか、美しくはかない花火が、泉と百合子の背中越しに映し出される。親子の現在と過去の記憶が交じり合うなかで、「野心的であざやかだった」「凝縮された美しい映画」と、ポン・ジュノ監督や山田洋次監督のコメントが浮かび上がる。「母が記憶を失うたびに、僕は愛を取り戻していく」という泉の切ない思いに、胸が締めつけられる映像に仕上がった。
「百花」は、9月9日に全国で公開される。長澤、永瀬、川村監督のコメントは、以下の通り。
川村監督は芯の根というものがすごくピュアな人だな、と思っています。今まで色々な作品をご一緒させていただいてきた中でも、心が温かくて、よく俳優のことをみてくだっている方だと感じていますし、プロデューサーという立場で培ってきた川村監督の冷静さを、凄く信頼しています。今回は、監督が撮りたいものが撮れればいいね、という話を菅田さんともするくらい、温かい気持ちにさせてくれる監督でした。
共演させていただいた菅田さんは、軟体動物みたいに何にでもなれちゃう凄い人だな、と改めて思いました。人の、隙間に入り込んでくる感じや、その観察力、かといって威圧感を与える人ではないですし。この人なら信頼が置けると思いました。
本作は、記憶なのか、現実なのか、幻想なのかわからない描写が沢山あるので、そういうところが、どんな映像になってくるのかが楽しみです。きっと映画館で見るべき映画になるんだろうなと思っています。
撮影を通して、川村監督は、自分の撮っている画の中にいらっしゃる人達や物達に、凄く愛情をもっていらっしゃるのを感じましたし、その分、画の作りには厳しい“ぶれない監督”でした。1シーン1カットで作っていくというのは、かなりの勇気がある決断だと思うので、現場では、監督やスタッフの皆さん・共演者の皆さんと、一緒にその決断をしっかり受け止めつつ、楽しみたいなと思いながら撮影していました。
また、共演させていただきました、原田美枝子さんは、デビューする前から、尊敬する俳優さんで、今まではここまで深くがっつり心を通わせる役で、ご一緒したことがなかったので、とっても嬉しかったです。
この作品は、原作も監督が書かれていて、「今の時代にどうしてもこの作品をとりたい」という思いが、深く深く染みこんでいる作品だと思います。様々な世代の、色んな立場の人が、本作のキャラクターを追って、楽しんで見ていただける作品になっていると思います。
何本もの映画をともに作ってきて最も信頼している俳優のひとりの長澤まさみさん、そして子どもの頃からスクリーンで見てきた憧れの俳優である永瀬正敏さんに、わたくしの初監督作品に是非お力をお借りしたいと、出演をお願いしました。
長澤まさみさん演じる香織は、泉と百合子の間で、その複雑な母子関係を見つめる役です。目の前で記憶を失っていく義母、失われていく義母にどう接したらいいかわからない夫、そしてみずからはお腹のなかの子どもがまもなく生まれようとしている。この奇妙な親子が気付けていないこと、失われていくものと新たに生まれくるものを、香織を通して描けたらと思いました。香織は、このシリアスな親子の前でもユーモアと愛情をもって生きている人物です。決して近寄りすぎませんが、とはいえしっかり寄り添っている。その人間的な距離感が、長澤まさみの持っている魅力だと思いました。その人間性、そして愛情のようなものを香織という役に与えてもらえたらと思ったのです。
永瀬正敏さん演じる浅葉は、母子のとある事件に絡み、百合子の秘密を知る、とても重要な役です。子どもの頃、通い詰めていた横浜黄金町の映画館で見た永瀬さんの「私立探偵 濱マイク」シリーズに夢中になりました。情熱的でありつつも、どこかに消えてしまいそうな危うさを、いまだに永瀬さんのお芝居を見ていると感じます。小説「百花」を書いている時から、どこか頭の片隅に永瀬さんの姿がありました。わたくしにとって日本映画の原体験でもある永瀬正敏さんに、お力をお借りできたらと思いました。
果たしてお二人とも、素晴らしい演技で、複雑な母子の輪郭を見事に浮かび上がらせてくれました。お二人のおかげで映画が何倍も力強くなったと確信しています。
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