在留資格を失い、クルド人家族の日常が一変 ベルリン出品作「マイスモールランド」予告
2022年2月8日 07:00
第72回ベルリン国際映画祭(現地時間2月10日に開幕)のジェネレーション部門でワールドプレミア上映される「マイスモールランド」の予告編がお披露目され、バンド「ROTH BART BARON」(ロットバルトバロン)が、初の映画主題歌を手がけていることがわかった。公開日は、5月6日に決定。あわせて藤井隆、池脇千鶴、平泉成、韓英恵、サヘル・ローズらが出演していることも発表された。
是枝裕和が率い、西川美和らが所属する映像制作者集団「分福」の新鋭・川和田恵真が商業映画デビューを果たす本作は、難民2世という題材をベースにした物語。日本、ドイツ、イラン、イラク、ロシアのミックスという5カ国のマルチルーツを持つ嵐莉菜が、埼玉に住む在日クルド人の高校生・サーリャを演じ、「MOTHER マザー」で第44回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞した奥平大兼が、彼女と心を通わせる東京の少年・聡太を演じる。
予告編は、「難民申請は不認定となりました」と告げられ、呆然とする17歳のサーリャと家族を活写。家族で食事をしたり、教室で友人と笑い合ったり、そんなささやかな幸せに満ちた日常は続かず、父が収容される事態となる。「本当は東京に来ちゃだめなの。しょうがないよね」と俯くサーリャに、「しょうがなくなんかないよ!」と声を上げる聡太。「ここに居たいと望むのは罪ですか?」というメッセージとともに、家族の失われてしまった、穏やかな日々が映し出されている。
聡太の叔父で、サーリャと聡太がアルバイトをするコンビニの店長・太田武を演じた藤井は、「丁寧で優しくて、決して弱くない川和田監督の熱意にお応えしたいと思いました。嵐莉菜さんはマスクで半分以上顔が隠れててもコロコロと変わる表情が魅力的で、撮影が始まると瞬間『サーリャ』になって感動しました」と撮影を振り返った。
ポカリスエットや三菱地所のCMなどで、CMソングを手がける「ROTH BART BARON」が、主題歌「NewMorning」を書き下ろし、劇伴も担当。同バンドの三船雅也は、「川和田恵真という人間に会った時、僕は彼女のか細く弱い声の奥底に隠れた魂の綺麗さ、静かに燃える情熱にハッとした。脚本をもらってこの話のためなら、この人の作る作品ならなんだってやりたいとおもった。シートに座りこの映画と向き合う。主人公や作り手の魂の純粋さの塊が猪のように突進してくる。世界の扉が再び閉ざされてしまった時代の中、僕らが今を生きていくために大切な事は、この映画の中にあるまっすぐな気持ちなんじゃないでしょうか。人々の暮らしを良くするために作られたルールが、誰かを苦しめてしまう、そのこんがらがったこの世界の毛糸の塊が、この映画で1本でも解けることを願う」とコメントを寄せた。
「マイスモールランド」は、5月6日に東京・新宿ピカデリーほか全国で公開される。川和田監督のコメントは、以下の通り。
■キャストについて
素晴らしいキャストの皆さんとご一緒できて幸せです。皆さんとお話をしながらキャラクターを作らせていただきました。真っ直ぐに志を持って共に作品に向き合う、豊かな時間を過ごすことができました。
はじめて聞いた時、涙が溢れました。繊細に寄り添ってくれながらも、力強く生きていこうとする肯定感に包んでくれる曲です。脚本執筆の間もずっと聞き続けていたROTH BART BARONさんに作っていただけて、この上なく嬉しく思います。
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