「感動して数時間言葉が出なかった」とイニャリトゥが絶賛!「国境の夜想曲」ジャンフランコ・ロージ監督との対談映像
2022年1月18日 14:00

3年以上の歳月をかけて、イラク、クルディスタン、シリア、レバノンの国境地帯で撮影されたジャンフランコ・ロージ監督の最新作「国境の夜想曲」。ロージ監督が、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督と対談する動画が公開され、イニャリトゥ監督が本作に熱烈な賛辞を送っている。
「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」と「海は燃えている イタリア最南端の小さな島」で、ドキュメンタリーとしては史上初となる最高賞をベルリン国際映画祭、ベネチア国際映画祭で受賞しているロージ監督と、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」「レヴェナント 蘇えりし者」と2作連続でアカデミー賞監督賞に輝いているイニャリトゥ監督。それぞれの自宅を繋いでオンラインで行われた対談の冒頭から、イニャリトゥ監督は「国境の夜想曲」に「とても感動して数時間言葉が出ませんでした。なぜなら映画的な“俳句”のようなものを感じたからです。その静謐さは、本当に俳句のようで感動し圧倒されました」と絶賛する。

そして、「簡単な答えも、主張もなく、もしあったとしてもうまく隠されていて通常のドキュメンタリーとは全く異なるやり方で対象に迫っています。あなたの映画は私に大きな感動を与えてくれました。映画に自分を重ねながら、沈黙の中であなたの考えを理解しようとしました。これは一般的な映画では珍しいと思いますが、私はこれこそがまさに純粋な映画だと思います」
「この題材の問題はすごく政治的なことですね。普通は感情がどちらか一方へ偏りがちですが、この映画が映し出す事実には余計な説明がついていないことで、とても人間的で複雑な共感を呼びます。私は本当に本当に感動しました」と続け、どうやってこのような純粋な作風に到達したのかと、ロージ監督に質問する。

ロージ監督は「私はどうにかしていつも題材の中に親しみやすいものを見出すようにしています。映画の中に登場する、私が出会った人たちとも親密な関係を築いてきました。映画の中で私は国境に近づきましたがそれはとても広大な風景でした。それで私は“国境”という生と死を分ける場所に行ったのです。それは目に見えませんが歴史が地層のように積み重なった場所です。この恐怖をどうすればいいのか?」
「この映画を作る唯一の方法は、偶然出会った人たちを受け入れることで、私はそれに3年を費やしました。国境というのは通常分断が生まれる場所ですが、私にとっては出会いの場でした。それがこの映画のはじまりで、明確なアイデアも、台本もなく私はただ現地に行きました。人との出会いが映画のインスピレーションになったんです。また、静寂な時間を撮影することは私にとって大きな挑戦であり、とても苦労しました」と回答。イニャリトゥ監督がまるで生徒のような面持ちでロージ監督の話に聞き入る姿が印象的な映像となっている。
2001年の9・11米同時多発テロ、2010年のアラブの春に端を発し、直近ではアメリカのアフガニスタンからの撤退と、現在と地続きで、侵略、圧政、テロリズムにより、数多くの人々が犠牲になっている国境地帯。幾多の痛みに満ちた場所をロージ監督は通訳を伴わずにひとり旅し、そこに残された人々の声に耳を傾け続ける。母親たちの死を悼む哀悼歌、癒えることのない痛みを抱えた子どもたち、精神病院の患者たちによる政治の無意味さについての演劇――そこには夜の暗闇から、一条の希望を見出し生きようとする者達の姿があった。
「国境の夜想曲」は 2022年2月11日から、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。
(C)21 UNO FILM / STEMAL ENTERTAINMENT / LES FILMS D’ICI / ARTE FRANCE CINEMA / Notturno NATION FILMS GMBH / MIZZI STOCK ENTERTAINMENT GBR
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