【インタビュー】諏訪部順一が語る、「ヴェノム」最新作の魅力 あえて声を高めにしている理由は?
2021年12月3日 13:00

マーベル・コミックスのダークヒーローの活躍を描いた「ヴェノム」の続編「ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ」が、12月3日から公開された。トム・ハーディ扮するエディ・ブロックの日本語吹き替え版声優は、前作に続き諏訪部順一が担当。低音ボイスで知られる諏訪部だが、エディ役はあえて少し高めに演じているという。本作について話を聞いた。

正義感あふれるジャーナリストの主人公エディに、意思を持った地球外生命体「シンビオート」が寄生して誕生したヴェノム。マーベル史上最も残虐な悪として知られるヴェノムだが、本作では、マーベルコミック上でスパイダーマンとヴェノムが共闘して戦いを挑むレベルの強さを誇るヴィラン、カーネイジが登場する。
日本語吹き替え版はヴェノムを中村獅童、エディの元婚約者アン・ウェイングを中川翔子が続投するほか、カーネイジが寄生する連続殺人犯クレタス・キャサディを内田直哉、「もうひとりのヴェノム」という異名を持ち、底知れぬ強さと残虐性を誇るヴィラン・カーネイジを片岡愛之助が務める。
最初から最後までテンポがいい、エンタテインメント性の高い作品だと思いました。様々な要素がさらにてんこ盛りになった感じですね。VFXも派手なので、個人的には映像により集中できる日本語吹き替え版がおすすめです(笑)。エディとヴェノムのどつき漫才のようなやり取りも前作以上にたくさんあります。とにかくヴェノムがチャーミングなので、「ヴェノム萌え」の方がさらに増えること必至ですね。
狂気をはらんだクレタスというシリアルキラーは、凶暴凶悪というだけでなく、その背景には悲哀もあります。そこに寄生するカーネイジは、ヴェノム以上にプリミティブな残虐性を持った存在。エディたちの前に立ちはだかる彼らはヤバさ満点です。2組のコンビが繰り広げる激しいバトルは必見です!

日本語吹き替え版のエディは、ちょっと残念な人というイメージがキャラクター性の根幹に設定されています。ヴェノムとの掛け合いなど、コミカルな雰囲気をわかりやすく伝えるために、ある種のデフォルメという感じで高めの声で演じるよう演出が入っているのですが、トム・ハーディさんの声も高めな雰囲気だったり、裏返ったりするところが結構ありまして。
トム・ハーディさんの吹き替えは、過去の出演作では低音や渋い声質で演じられている方が多いので、そういうイメージをお持ちの映画ファンの方が多かったと思います。自分も本当はそっちの方が出しやすいのですが、あくまでも主成分は「残念な人」で。「ヴェノム」では、カッコ良くなるとNGが出ます(笑)。
前回同様、今回も一緒に演じることはできませんでしたが、獅童さんより後に自分は収録を行ったので、獅童さんのヴェノム声を聞きながらやれたシーンがあります。まぁ、プロですので別収録でも上手にやりますが(笑)、やはりいつか一緒に掛け合って演じたいですね。

一番大きな違いは、他の人が演じた雛形の有無ですね。アニメは自分の演技が初めての声になるわけでオリジンです。演出はもちろん付くわけですが、極論言うと演技の幅は自分の匙加減次第。よりイマジネーションを働かせる必要がある気がします。吹き替えは、オリジナルの俳優の演技をきっちりトレースすることが求められることも。すでに完成した作品に声をあてるので、セリフの尺の合わせは厳密です。映像に合わせる技術はより必要かも。どちらも演じる役の深い理解や表現力が求められることに変わりはありませんが、微妙に違う感じですね。あくまで個人の解釈です(笑)。
本シリーズのエディ・ブロックは、演じていてとても楽しいキャラクターです。エディ&ヴェノムのコンビは今作で大きく成長しています。ですからやはり、次を期待せずにはいられません。さらなる続編が製作されそうな、布石となるようなシーンも……。「ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ」がより多くの方にご鑑賞いただければ、その夢はきっと叶うと思いますので、ぜひ映画館でお楽しみいただけますと幸いです。先の話ばかりになってしまった感がありますが、本作もちろん面白いです! よろしくお願いします。
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