「骨の随まで映画人でした」と姪の檀ふみ、東映元社長の高岩淡さん死去

高岩淡さんは福岡県出身。九州大学経済学部を卒業後、1954年に東映に入社し、京都撮影所に配属される。71年に取締役、京都撮影所長に就任し、常務、専務を歴任して、90年に東京撮影所担当も兼務。93年に社長に就任し、2002年から会長を務めた。

京都撮影所長時代は、大川橋蔵主演作や「一心太助」シリーズなどの中村錦之助主演作に携わり、多くの俳優や監督と交流し親交を深めた。製作者としては「柳生一族の陰謀」「青春の門」「火宅の人」や、「極道の妻たち」シリーズ、「激動の1750日」「鉄道員（ぽっぽや）」「男たちの大和　YAMATO」など数多くの映画を手掛けた。75年には国内初の映画のテーマパークとなった東映太秦映画村を開村し、東映京都スタジオの社長に就任。日本アカデミー賞協会の会長も務めるなど、日本映画界の発展に寄与した。2010年に第55回「映画の日」特別功労章、12年には第46回牧野省三賞を受賞している。

作家の檀一雄は異父兄。姪にあたる女優の檀ふみは訃報を受け、「骨の随まで映画人でした。晩年は、自分が関わった時代劇をテレビで見つけては懐かしがっていたそうです。私が俳優となってからは、どこへ行っても誰と会っても、『高岩淡さんの姪御さん!?』『お世話になりました』『素晴らしい方ね』と、笑顔で迎えられました。そんな叔父を持ったことを、誇りに思っております。いくら感謝しても、感謝しきれません」とコメントを寄せた。

また、岩下志麻は「高岩淡さんには、『極道の妻たち』シリーズで、大変お世話になりました。怒ったお顔を拝見したことがなく、いつも穏やかで優しい、心の温かい方でした。心からご冥福をお祈り申し上げます」、中井貴一は「又、日本映画の昭和史、変遷を知る先輩が、空の向こう側へ旅立たれました。高岩さんとは『激動の1750日』という、任侠映画の撮影の折、ご一緒させて頂き、仕事以外も撮影中何度も京都の美味しいお店、そして、粋な遊びも教えて頂きました。先輩の死に接する度、後は頼むよ…と、大きなバトンを手渡されたような気がいたします。激動の昭和という時代から、平成、令和と、90歳までの生涯を貫かれた高岩さん、お見事です。心より、ご冥福をお祈り致します」とコメントしている。

そのほか名取裕子、松坂慶子、松平健、三田佳子、富司純子など生前親交のあった俳優たちからコメントが寄せられており、多くの人から愛された故人の人柄がうかがえる。なお、後日お別れの会が行われる予定。