第22回東京フィルメックス、濱口竜介監督「偶然と想像」で開幕! キャスト陣ずらり勢揃い
2021年10月30日 22:58
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第22回東京フィルメックスの開会式が10月30日、東京・有楽町朝日ホールで行われ、第71回ベルリン国際映画祭で審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞した濱口竜介監督の「偶然と想像」がオープニング作品として上映された。出演した古川琴音、玄理、渋川清彦、甲斐翔真、占部房子、河井青葉、濱口監督が舞台挨拶に立ったほか、上映後のティーチインには濱口監督と中島歩が参加した。
本作は、偶然と想像をテーマにした「魔法(よりもっと不確か)」「扉は開けたままで」「もう一度」の短編3話からなるオムニバス作品。登壇した濱口監督は「2008年に『PASSION』という映画で初めてフィルメックスに呼んでいただいて。それから13年たって、こうしてフィルメックスのオープニング作品に選んでいただいて嬉しく思います」と感激の面持ちを浮かべる。
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本作の主要キャスト8人のうち、4人が濱口作品に初参加となったが、連続テレビ小説「エール」やドラマ「コントが始まる」などで注目を集める古川も、初参加のひとり。濱口組といえば、徹底的な本読みとリハーサルを行うことで知られているが、古川自身もそのスタイルが強く印象に残っていたという。
「その期間にわたし自身が発見することが多くて。今でも、演じる上で大切にしていることを、その期間に教えていただきました」と振り返った古川。「監督の手法で有名なのは本読みなんですけど、本読みに移る前から、広い広場の端と端に立って。相手の背中に声を飛ばして、本当に呼ばれたと思った時に振り向いてください、と言われるようなワークショップをやりました。あとは無言で、言葉とかジェスチャーを使わずに会話をするんですけど、その後で答え合わせをした時に、不思議と答えになっていたという体験をさせていただいて。監督の作品って、言葉を大切になさっているんだと思っていたんですけど、言葉と同じくらいに、肌感覚で伝わるものを大切にしているんだなというのが分かったので、その期間が全体的に印象に残っています」と語るなど、濱口監督のスタイルに感銘を受けた様子だった。
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この日の登壇者のうち渋川、占部、河井が「PASSION」に出演。昔からよく知る濱口監督に対して、渋川も「あえて濱ちゃんと呼ばせてもらいますが、2008年の『PASSION』の時に濱ちゃんは学生で。13年たってこういう場にいますが、濱ちゃんが全然変わっていないんでうれしいです」と笑顔。占部も「濱口監督に『ごめんね、現場では濱ちゃんとしか呼べないんだけど、スタッフさんの前で失礼じゃないかな? でもどうしても濱ちゃんと呼びたいから呼んでいいかな?』と言ったら、『いいですよ』と言うんで、濱ちゃんと呼んでました」と語るなど、いまだ俳優陣とは変わらぬ関係性を続けている様子がうかがい知れた。
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上映前の舞台挨拶では、本作の製作理由に関して「自分が仕事をしたい役者さんと時間をじっくりかけて映画を作りたい」と語っていた濱口監督だが、ティーチインではそれに加え、2018年にフランスで「寝ても覚めても」が上映された際、エリック・ロメール作品の編集を担当したマリー・ステファンから「ロメールにとって短編がいかに重要か」という話を教えてもらったことも大きかったことを明かす。「短編作りが、長編と長編の間のリズムを作ることになって。そこで試したことが長編にも結実したりするんだと。それは自分としても感じていたことだし、(ステファンにも)より自由度の高い作り方、小さなチームでより親密な作り方でロメールはやっていたのに、なんでやらないのかと言われた」と述懐。今作は、全部で7本ある短編集のうちの3本という位置づけになることを明かした。
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そしてその後も会場から「劇中でタクシー、バス、エレベーターといった乗り物が登場した理由」「キャスティングのやり方」「脚本の書き方、本作の着想のきっかけ」「劇中で印象的に登場するズームレンズの演出の理由」「濱口組の本読み、リハーサルについて」「シューマンの音楽を選んだ理由」「撮影に飯岡幸子を起用した理由」といった突っ込んだ質問が次々と飛びだし、観客も熱心にその話に耳を傾けていた。なお濱口監督は、黒沢清監督と対談した時に「黒沢さんが、中島さんが(往年の名優)佐分利信のようだった」と言われたというエピソードを紹介。その言葉を聞いた中島もうれしそうな笑顔を浮かべていた。
第22回東京フィルメックスは、11月7日まで開催。
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