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映画レビュー
言葉選びのセンス
濱口竜介監督の東京藝術大学時代の作品なのだが、この完成度で学生映画とはすごい。男女5人のすれ違いを描いた作品だが、それぞれの好意が向かう矢印がかみ合わないことによる、滑稽さ、切なさ、痛さが素晴らしく豊かに描かれている。煙突からモクモクと煙があがる朝に、男と女が歩いていく長回しカットの素晴らしさが目に焼き付いて離れない。
濱口映画は、会話劇だ。この映画も軽妙なテンポで会話が進んでいく。質問して本音を答えた人が次の質問ができるルールの遊びのシーンの緊張感と可笑しさが同居したあの感じを作れるのは本当にすごい才能だと思う。
役者陣は、その後の濱口映画の常連となった者たちが多数出ている。みんな良い顔をしているし、いい声をしている。役者の肉体と音に対する濱口監督の鋭敏なセンスがすでに見えている。
映画における会話の自然さとはなんだろうと、考えながら見ていた。自然な日常会話そのままで、映画として自然な会話になるわけではないんだなと、この映画を見て思った。
現実とは違う言葉遊び、でもなんかリアル。
言葉のセンス、会話劇のレビューに納得。
藝大時代の作品にして、このクオリティ。
直前にテンポの悪い作品を観たばかりだったので、尚更テンポの軽妙さに驚いてしまいました。
劇中は言葉のラッシュで、誰も話していない時間の方が少ないくらいだったように思います。それなのに、なんでしょう、この入ってくる言葉。しかも、こちらの理解が追いつくギリギリのテンポで、適度に予測を裏切られながら進んでいくような。共感とかは置いといて、ただ圧倒されました。
確か、ヒット曲も『予測の裏切り』があると聞いたことがあるんですが、誰が言ってたんだったかな…
耳馴染みの良さに加え、適度に外されると中毒性に変わる感じ。
唐突なシーン展開も、なんだか成立している。
演者はどれだけ言葉を落とし込んだんでしょうか。
このシーン何回撮ったんでしょうか。
なんでしょうこの生々しい感じ。
まるで小説を読んでるような気持ちになったのですが、濱口監督、東大文学部出身なのですね。
製作側と観客目線のギャップを埋めるのってとても難しいことだと思うんです。制作側はある意味ネタバレしているわけで。それを観客に向けてどういう順に、どう見せていくって、どうやって組み立てていくんでしょうか?自分はその辺、ほんとに不得意なんで、映画にしろ、小説にしろ、漫画にしろ、物語を製作する人たち、尊敬しかありません。
このリアリティを出すためのメイキング、見てみたくなりました。
言葉だけでなく、印象的な映像もたくさん。
占部房子さんとマンションの感じ、ウォン・カーウァイ作品の雰囲気を思い出しました。
バスのシーン、工場萌えシーン、よき。
今回の濱口監督特集で、『ハッピーアワー』の監督であることを知りました。公開当時、イメージフォーラムで散々悩んで、観られなかった作品(300分超えの時間が取れず)。
いろいろ観てみたくなりました。