実在したスパイ役、なぜカンバーバッチが適任だった? 「クーリエ」監督が明かす
2021年9月25日 09:00
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キューバ危機の舞台裏で繰り広げられた知られざる実話を基にした「クーリエ 最高機密の運び屋」(公開中)。主演・製作を務めるベネディクト・カンバーバッチと親交が深く、本作のメガホンをとったドミニク・クック監督が、本作の魅力、参考にした作品などを語った。
本作は、核戦争回避のために命を懸けた男たちの葛藤と決断をスリリングに描くスパイサスペンス。1962年10月、アメリカとソ連の対立は頂点に達し、キューバ危機が勃発。英国人セールスマンのグレヴィル・ウィン(カンバーバッチ)は、スパイの経験など一切ないにも関わらず、CIAとMI6の依頼を受けてモスクワへと飛ぶ。そこで彼は、国に背いたGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)の高官ペンコフスキー(メラーブ・ニニッゼ)との接触を重ね、機密情報を西側へと運び続ける。
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クック監督は舞台演出家として名高く、2014年には大英帝国勲章を授与され、シアーシャ・ローナン主演「追想」で映画デビューを果たした。カンバーバッチとは彼がリチャード三世を演じたテレビシリーズ「ホロウ・クラウン」を通して意気投合したという。
スパイ映画としてだけでなく、人間ドラマとしても楽しめる本作について、クック監督は「その2つのコンビネーションが本作に惹かれた由です。策略のあるスパイの物語でありながら、感動のストーリーでもある。両方の要素を持っている映画は今まであまりありませんでした」と、本作ならではの魅力を明かす。
カンバーバッチにオファーした理由については「時代物の役を演じることは、彼にとって難しくないことを知っていました。特に、あの時代の英国人は今よりも自分の感情をまったく見せなかった。ベネディクトだったら、感情をあまり表に出さずに、内側で感じていることをうまく出せるということも、今までの彼の作品を見て知っていました」と信頼を寄せる。
終盤には、見ていてハッとさせられるほど体重を減らしたカンバーバッチの姿も映し出される。そのシーンについて、「最初のミーティングで僕がアイデアを出して、時間をかけながらどこまでできるかというのを話し合いました」と振り返る。
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撮影前には、マーティン・リット監督の「寒い国から帰ったスパイ」(1965年)や、アルフレッド・ヒッチコック監督の「北北西に進路を取れ」(1959年)などの映画を鑑賞し、参考にしたそう。「サスペンスを積み上げていくところのうまさと、外側から来た人間が現実を段々理解するまでの描かれ方がすばらしかった」と、本作でスパイとしての現実を知っていくウィンの描写なども影響を受けている。
撮影監督は「それでも夜は明ける」「ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた」「追想」などで知られるショーン・ボビットが担当しており、全体を通して色味の派手さは抑えつつ、ボビットの手腕が光るシーンが多い。クック監督は「お気に入りのシーンはたくさんあるけれど、一番は駐車場のシーンかな」と話し、「物語的にもターニングポイントになる。光があまりない空間ですが、そのムードがショーンは見事につかんでいるし、カメラが役者を向いていないシーンもある。それができるのは、彼に自信があるからです」と教えてくれた。
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