尾野真千子、神尾楓珠の母親役に! 市立船橋高校の“神”応援曲をめぐる物語「20歳のソウル」に出演
2021年9月16日 16:00
本作は、中井由梨子氏による「20歳のソウル 奇跡の告別式、一日だけのブラスバンド」(小学館刊)と「20歳のソウル」(幻冬舎文庫刊)を映画化したもの。舞台となる船橋高校は、サッカーや野球などスポーツの名門校として知られ、「市船soul」という応援曲が受け継がれている。この楽曲が運動部の試合中に演奏されると勢いがつき、同校を勝利へと導く“神”応援曲としてSNS上で話題になった。
楽曲誕生の裏側には、がんにより20歳の若さで他界した浅野大義さんというひとりの青年の存在がある。彼は生前、同校の吹奏楽部に所属し、野球部を応援する曲を作りたいと「市船soul」を作曲。ともに青春を過ごした仲間たちを勇気づけただけでなく、大義さん自身が闘病するうえでも生きる力となった。大義さんが作曲する様子を最も近くで見守ったのが、同部顧問の高橋健一教諭。大義さんの告別式で「大義のために演奏しよう」と声をかけ、164人の同部OBとともに同曲を演奏して送り出した。大義さんの母・桂子さんは、告別式での出来事を朝日新聞に投稿。記事を読んだ原作者・中井氏が桂子さんに直接取材をし、この物語を小説化した。
映画では、神尾が大義さんを演じ、佐藤浩市が恩師・高橋健一教諭役を務める。大義さんの青春を支え、最期まで明るく勇気づけた母・桂子さんに扮する尾野は、「特別な母親役でした」と述懐。「やはり実在する母というのはとてもやりにくいものです。ですが、とてもやりがいを感じました。本当の話に失礼のないように、当時を思い出して辛くさせるだろうとわかっていましたが家族の方に当時の事を質問し、撮影に挑みました。おかげさまで息子を全力で愛し、物語に向き合う事ができたように思います」と心情を吐露した。
「20歳のソウル」は、2022年に全国で公開される。原作者・中井氏のコメントは、以下の通り。
桂子さんに初めてお会いしたのは、二和向台の駅前でした。雨の中、傘をさして、近づいていく私に朗らかに「こんにちは」と挨拶をくださいました。第一印象は、その朗らかな笑顔です。息子さんを亡くされてまだ数カ月。それなのに、取材でお話を伺っている間も、桂子さんは終始、笑顔と明るい声で話されていました。しかし何かの拍子に、ふっと瞳を潤ませる。「ごめんなさい」と言いながらまた笑顔に戻る、小柄で可愛らしい方ですが、心の奥の芯のようなものがとても強く、それが普段の気丈さに現れているのだと思います。取材を始めて4年。今、桂子さんは私にとって、「20歳のソウル」上での関係を越え、本当の家族のように心の通じ合う大切な存在になっています。
尾野真千子さんが桂子さんの役をお引き受けくださったと聞いたときは、朗らかな明るい笑顔と笑い声、そして何よりさっぱりとした気丈な雰囲気が、桂子さんと強く共通していると感じました。撮影現場で尾野さんと今回の役についてお話させていただいた時、「どのシーンを読んでも涙が出てくる」と仰っていました。その言葉通り、尾野さんはスクリーンの中で、笑顔の下に常に涙を湛えている桂子さんの繊細さを丁寧に汲み取りながら存在してくださいました。この物語の中の“浅野桂子”という役は、私のフィクションも多く合わさっていますから、決して本物の桂子さんそのものではありません。しかし、この役を尾野真千子さんが体現してくださったことにより、逆に桂子さんが感じていたことがリアルに、ダイレクトに伝わっていると思います。
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