沢田研二単独主演映画「土を喰(く)らう十二ヵ月」22年秋公開 水上勉原案、土井善晴が映画初の料理担当
2021年9月7日 05:00
原案となった「土を喰う日々 わが精進十二ヵ月」(新潮文庫刊)は43年前の作品でありながら、今でも多くのファンに愛される随筆で、雑誌「ミセス」の1978年1月号から12月号に連載された。作家の水上氏は、女性編集者のすすめで、約一年間にわたり軽井沢の山荘にこもる生活を送る。畑を作り、京都の禅寺に奉公していた少年時代に培った料理を自ら作り、自然と共に暮らす日々を文章にまとめた。旬の食材で作る、質素でありながら豊かな料理が楽しめる料理本であり、土の匂いを忘れてしまった日本人の味覚を刺激する。
沢田が演じるのは、作家ツトム。映画では人里離れた長野の山荘でひとり、山の実やきのこを採り、畑で育てた野菜を自ら料理し、季節の移ろいを感じながら、原稿をしたためる様を描く。ツトムが作るのは、畑の野菜や、その地の旬のものを生かし、日本の生活に根付いた献立だ。
今回、料理研究家の土井善晴氏が、初めて映画の料理を担当した。脚本の中で描かれた料理の作り方や盛り付けに関し、中江監督と打ち合わせを繰り返し、ツトムの料理を具現化。調理そのものだけでなく、沢田への指導、器選びなど、本作の細部に土井の感性が生かされている。また、本作の中に出てくる畑や食材の多くは、スタッフが撮影現場の近くに住み込み、農家の方々と協力しながら作り上げた。
20年2月から撮影を開始し、日本の里山を舞台に四季の移り変わりを描く作品ゆえに1年の撮影を予定していたが、新型コロナウイルスの蔓延で撮影延期と再開を繰り返し、今年7月26日にクランクアップ。1年6カ月に渡る撮影を終えた沢田は、「本当にながい、ながい、ながい撮影でしたけれど、本当の意味で超大作になるように期待しております。本当にお世話になりました。ありがとうございました」と挨拶し、愛犬を演じた“もも”の頭を何度も撫で別れを惜しんだ。土井氏は「なにしろ、沢田(研二)さんとご一緒させていただいたことが、とても光栄な事でした。そして “土”と生活が繋がっている感じが細部にまで現れていて、監督の思いが伝わってきました。本当にありがとうございました」と撮影を振り返った。
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