頭に受信機、指に送信機が埋め込まれていると信じた男の悲しい物語「クリーン、シェーブン」25年ぶり劇場公開
2021年6月22日 21:30
撮影監督としてフレデリック・ワイズマンに師事したロッジ・ケリガンが、1993年に発表した映画「クリーン、シェーブン」が8月27日から、25年ぶりに劇場公開される。
幻覚幻聴に悩まされながらも娘を探し続ける統合失調症の男の姿を徹底的に抑制されたトーンで映し出したサスペンス。ケリガン監督が約3年を費やし完成させた初監督作だ。自分の頭に受信機、指には送信機が埋め込まれていると信じているピーターは、施設を出所後、里子に出された娘を探すため故郷に戻る。しかし図らずも幼児殺人容疑で刑事に追われ、その世界は混迷を極めていく。ピーターを「パルプ・フィクション」(94)、「ユージュアル・サスペクツ」(95)、近年では「テスラ エジソンが恐れた天才」(20)にも出演し、性格俳優として知られるピーター・グリーンが演じる。
第20回テルライド映画祭でワールドプレミアの後、第11回サンダンス映画祭や第47回カンヌ国際映画祭の他、ニューヨーク近代美術館でも上映され、「思わず心を引き裂かれる。忘れられない映画体験だ」(スティーブン・ソダーバーグ)、「圧倒的な表現と誠実さに、完全に打ちのめされた」(ダーレン・アロノフスキー)、「あなたの精神に永遠に深い傷跡を残すだろう」(ジョン・ウォーターズ)と、錚々たる監督陣から絶賛された。日本では、96年の公開以降、作品全体が放つ疲労感を覚える空気、悲惨さと哀愁が話題となり語り継がれるも、見ることのできない幻の作品となっていた。8月27日からシネマート新宿ほか全国順次公開。