「漁港の肉子ちゃん」大竹しのぶ&Cocomiの声の魅力 監督が明かすアフレコ秘話
2021年6月16日 10:00
本作は、西加奈子氏のベストセラー小説を原作に、ワケあり母娘・肉子ちゃんとキクコの秘密がつなぐ奇跡を描く感動のハートフルコメディ。渡辺監督は「映画ドラえもん のび太の恐竜2006」「海獣の子供」などで知られている。
本作を制作するにあたり、渡辺監督とさんまはシナリオ作りから、台本読み、コンテ確認など早い段階から様々な打ち合わせを重ね、入念に準備を進めてきた。なかでも個性豊かなキャラクターを演じるボイスキャストの選出と、キャラクターに命を吹き込むアフレコは、作品を完成させるための重要な過程の一つ。数多くのキャラクターのなかで最初に決まったのが、主人公・肉子ちゃんを演じる大竹だった。
各地を転々と移り住み、大阪にも住んでいたという肉子ちゃんを演じるにあたり、大竹は関西弁の音源を繰り返し聞き、実際のアフレコ現場ではさんまから細かいイントネーションの指導を受けながら挑んだ。現場に立ち会っていた渡辺監督は「アニメ監督が言うことじゃないですけど、収録時の大竹さんの姿は『これは舞台で観たい!』と思わせるほどでした。さんまさんの気まぐれなオーダーにも瞬時に応えて、またそれがテイクを重ねることによって、どんどん良くなっていくんです。そういうすごい方の演技を、偉大なる記録として、この作品で残せたということが嬉しいです」と感銘を受けたそう。
一方、主人公・肉子ちゃんの娘・キクコは、実質的な主人公といっても過言ではないほど、物語の主軸となるキャラクターだ。キャスティングにあたり、声優の養成所に通っていたというCocomiの存在を思い出したさんまは、渡辺監督をはじめとするスタッフに声をかけ、物は試しにアフレコのテストを実施。マイクを通してCocomiの声を聞いた時、その場にいたスタッフから「おぉー!」という歓声が上がったそう。
渡辺監督は「まず、絶対的に持っている声の響きが良かった。実年齢よりも若く感じる、少女特有のかわいらしい声。さんまさんはすばらしい人をアテンドしてくださったなぁというのが正直な気持ちでした」と当時の感動を振り返り、「この声の響きを損なうような、作り込んだ芝居じゃないほうがいいだろうなと感じました。彼女自身、非常に勘がよくて、さんまさんのオーダーにもさっと応えられるし、テイクを重ねても、納得いくまでやりたいという根性がある」と、Cocomiの声と芝居に対する姿勢を称賛している。
本作で演技初挑戦となったCocomiは、本収録までの間に、関西弁や思春期の小学生、台詞も多めという様々な要素を持つキクコと向き合い、猛特訓。劇中に一度だけ登場するキクコの幼少期のシーンは子役に演じてもらう想定だったが、Cocomiが自主的に練習した幼い声がさんまも驚く完成度だったことから、Cocomiが担当している。
渡辺監督にとって理想的なキャスティングが実現し、「映画の中で好きなのは、キクコと肉子ちゃんが漫才の掛け合いみたいな感じで、何気ない会話をしているシーンです。肉子ちゃんがキクコのことをかわいくてしょうがないと思っているところが出ているといいなぁって(笑)」と、おすすめのワンシーンを熱く語ってくれた。
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