「死んだら必ず映画館で上映して」障害を抱え、余命宣告を受けた男の愛とセックスを映す「愛について語るときにイケダの語ること」予告編
2021年6月1日 12:00
四肢軟骨無形成症の青年・池田英彦の初監督、初主演作で、本人のリアルな性愛を映し、そして遺作となった「愛について語るときにイケダの語ること」の予告編と漫画家のしりあがり寿氏らによるコメントが公開された。
身長100センチのイケダ。スキルス性胃がんステージ4の宣告を受けたイケダは生きているうちにたくさんセックスしたいと考え、その過程でカメラを回し始める。カメラを回す楽しみを覚えたイケダはある企みを思いつく。それは「僕の本当の姿を映画にして、見せつけてやる」ことだった。イケダは20年来の親友である脚本家の真野勝成を巻き込み、虚実入り乱れた映画の撮影をスタートさせる。「僕が死んだら必ず映画館で上映してほしい」と言い残し、イケダは2015年10月に闘病の末に他界する。
イケダの親友で「デスノート Light up the NEW world」、ドラマ「相棒」などの脚本家・真野勝成が映画を完成させ、編集を「ナイトクルージング」「マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画」などの監督作がある佐々木誠が手がけた。
予告編では、イケダの恋人のように見える女性に、「人に愛してるって言ったことある?」と尋ねる場面からスタート。次にビデオカメラを持ったイケダが上半身裸の姿を鏡にさらし、現在、抗がん剤治療を続けている最中だと告白。そして、親友の真野がカメラをまわし、イケダ本人が出演する映画を撮ろうとしている様子も垣間見える。その後、冒頭の女性との仲睦まじい様子が映し出されるが、後半、「残されたのは膨大なセックスの記録」というテロップが入り、延命治療を続けやせこけてしまったイケダが、「(この映画には)僕のダークサイドが出てくるから。それをフィクションとして出すのか、ノンフィクションとして出すのか」と真野に問う。そして、ラブホテルらしき場所で、半裸でビデオカメラを構えたイケダの姿などが映し出され、イケダのダークサイドとは何か? と気になる映像となっている。
6月25日からアップリンク吉祥寺で公開。
しりあがり寿(漫画家)
山下敦弘(映画監督)
まるで池田さんのマジックにかかったように、出会う人もみんな魅力に溢れてて、ニンマリしちゃう。
カメラを向ける真野さんと池田さんとの関係が微笑ましいし、羨ましいしで。
なんて素敵な、青春バディムービーなんだ!と思いました。
みんなにはこの映画はどう映るんだろう。どんなマジックをかけられるんだろう。
どう観てもらってもいいよって言ってくれてるような、自由で寛容な映画。
僕、大好きです!
前田弘二(映画監督/「まともじゃないのは君も一緒」)
そんな私たちが漠然と思い描いている障害者像を、イケダは完膚無きまでに破壊してくれる。
彼も我々と同じく清濁様々な欲望を持ち、必死に生きてる、普遍的な人間の一人なのだ。
表現の自由と禁忌の境界線をめぐるスリリングな冒険。
本当に揺さぶられた。
必見の一作。
堀井威久麿(映画監督/「香港画」)
空族 相澤虎之助(脚本家・映画監督)
それと同時に、カメラの前では「演技をする自分」について言及する。
カメラという呪術的な道具は、「愛」と「演技」を持って、「生」と「死」を丸裸にしてしまう。映像はいつしかイケダの裸体を何度も通り抜け、何物かを映し出す。
愛について語るときにイケダが語ることメディアとは常に遺され、残された者たちへの遺言となる。
ヴィヴィアン佐藤(美術家/ドラァグクイーン)
睡蓮みどり(女優・文筆家)
その時と同じ穏やかさの彼がそこにいた。
抗えないモノ(死)までハンディキャップの一つとして受け入れようとする強さが画面にあった。
淡々とした表情は五体満足なのに どこかが病んでいるボクらの心に微笑みかける。
そして、力を与えてくれる。
巻来功士(漫画家)
と、正直に思った。
あっという間に時間が過ぎ、池田さんの愛を、人生の一部を見せてもらえたのは、贅沢で濃厚なひと時。この映画に心臓鷲掴みにされる人多いんじゃないかな。
ちなみに私もそのひとりです。
片山萌美(俳優)
その彼が自らのセックスを我が身を晒して撮ると決める。
一見スキャンダラスに見えるが、実は優れて知的冒険心に満ち、精神の働きの充実さを示す、生きた証なのである。
原一男(映画監督)
心と体を分けて、体はただの入れものだとするという考え方、私は最近あまり好きじゃない。
厄介な奴だけど、体は切り離せない自分の一部である。
能町みね子(エッセイスト/漫画家)
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