吉沢亮×若葉竜也 映画で初“対局” コロナ禍を生き抜く次なる一手とは?
2020年12月25日 13:00
昨年公開された「キングダム」で第43回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞に輝き、今年も数々の話題作でスクリーンを彩った吉沢亮が、主演最新作「AWAKE」(公開中)でAI将棋のプログラム開発に没頭する大学生という、これまでにない役どころに挑んだ。“対局”相手はこちらも今年、破竹の勢いで躍動を続けた若葉竜也。AIと対決する人気棋士を演じ、静かなる闘志を燃やす。
2015年に実際に行われた棋士VSコンピュータ将棋ソフトウェアの対局「電王戦」に着想を得て、本作が長編映画初監督となる山田篤宏が書き下ろしたオリジナルストーリー。将棋のプロを目指すも挫折を味わった主人公・清田英一は、偶然出会ったコンピュータ将棋をきっかけに、AI将棋のプログラム開発に魅了され、一度は捨てた将棋道を再び歩み始める。映画は異色の将棋エンターテインメントにして、新感覚の青春ムービーに仕上がっており、主演を務めた吉沢自身「自分の出演した作品の中でもすごく好きな作品です」と誇らしい表情だ。
「普段だと、自分の芝居の良くない部分ばっかり目についてしまって、客観的に作品そのものを楽しめなくなることが多くて。でも今回は僕の芝居どうこうじゃなくて、純粋にエンターテインメントとして夢中になりました。将棋が題材ですが、友情、青春、成長といった普遍的なテーマが描かれていて、きっとどんな世代の皆さんにも楽しんでもらえるはず」(吉沢)
役作りのため増量し、髪型から猫背の姿勢、歩き方、夢中になると眼孔が大きく見開くといった身体的アプローチに加えて、セリフや動きの少ない芝居が奏功し、持ち味である繊細な表現力がいかんなく発揮されている。
「ここまで太った自分を見るのは初めてです(笑)。将棋を失ったら何も残らない英一の人物像を作りたいと思って、『太ってみよう』と、ふと思いました。英一には将棋しかない……のですが、実はそう思い込んでいるだけで、将棋以外のことにどう触れていいのかわからない。なので、棋士としての表情や空気感はもちろん、将棋との向き合い方がだんだん変化していく部分を意識しました。将棋への愛情は変わりませんが、そこからいかに“解放”されるかという変化を意識しました」(吉沢)
一方、若葉が演じる棋士の浅川陸は、幼い頃から将棋界の神童として注目を浴び、やがて大一番で良きライバルとして切磋琢磨した英一を打ち負かし、棋士になる夢を諦めさせる存在。そして、クライマックスでは英一が開発したAI将棋のプログラム、その名もAWAKEとの対局に挑むという役どころだ。
「撮影前は英一が“陰”で、陸が“陽”みたいな人物設定だったんですが、単色でキャラクター分けしてしまうと、映画にプラスに働かないという感覚があって。陸は確かに天才棋士ですが、しょせんは人間なので、誰もがもつ人間らしさ……面白さや匂いみたいなものを感じてもらえるような、多面的に演じることを心がけました。それに陸の存在というものが、離れていても常に英一に付きまとわなければいけない。そこも陸を演じる上で、すごく心がけた点でした」(若葉)
映画初共演を果たし、シビアな勝負の世界でライバル関係の火花を散らした2人。ストーリーの設定上、共演シーンは多くないが、その分、互いの存在が刺激になったという。「見つめ合った瞬間、何を考えているかわからない。けれど何かを感じさせる“圧”がすごかった」と吉沢が振り返れば、若葉は「そう? 何も考えていないよ。怖い顔してるから(笑)、得しているだけ」と思わず照れ笑い。
一方、若葉が「もっと明るくさわやかな人だと思っていたんですが、現場ですっごく暗くて(笑)。英一に近い闇があるのかなって」と明かすと、吉沢からは「基本暗いですし(笑)、英一みたいな役のほうが、演じやすいです。逆に明るく陽気なキャラは、演じていて疲れるときもあります(笑)」と本音も飛びだした。
新型コロナウイルスの猛威によって、さまざまな混乱に見舞われた2020年のエンターテインメント業界。その第一線で変わらぬ活躍を見せた2人は、どんな“次なる一手”を指していくのか? NHK大河ドラマ「青天を衝け」で主演(主人公・渋沢栄一役)を務める吉沢は「来年は大河一色」と気合十分。「とにかく無事に、撮影を終わらせたい」という言葉は、コロナ禍だからこそ、一層重みを増す。
情報解禁されているタイトルだけでも、2021年に出演作3本の劇場公開を控える若葉は「みんなが生き方を見つめ直す時代に、役者をやっているのは、すごく恐ろしいことであり、ある意味めちゃくちゃチャンスだと思います」と語る。「こんな時代だからこそ、みんなが本当に面白いものを見たいはず。逆に言えば、僕らは真価が問われると思うんです。今までもそうですが、俳優として自分が面白いと思う現場にこだわってきましたし、来年はより一層その思いを掘り下げていきたいですね」(若葉)
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