室内セットで屋外豪雨シーンを撮影 徹底的に手作りにこだわったロイ・アンダーソン新作メイキング映像
2020年10月24日 17:00

第76回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞したスウェーデンの巨匠ロイ・アンダーソン監督最新作「ホモ・サピエンスの涙」。構図・色彩・美術と細部まで徹底的にこだわり、全33シーンすべてをワンシーンワンカットで撮影した、アンダーソン監督の仕事現場を映したメイキング映像が公開された。
映画はこの世に絶望し信じるものを失った牧師、戦禍に見舞われた街を上空から眺めるカップル、これから愛に出会う青年、陽気な音楽にあわせて踊る若者ら、時代も性別も年齢も異なる人々が織りなす悲喜劇を描く。
この程公開された映像は、全33の場面の中のひとつ、雨の中で子供の靴紐を結ぶ父娘のシーンの制作現場を収めたもの。通常はこのような屋外シーンは外で撮影をし、雨が降っていなければ人工的に雨を降らせる現場がほとんどだか、ロイ・アンダーソン監督は、現実を上回るかのようなリアルで唯一無二の世界を室内セットの中に作り出した。このシーンのために、制作スタッフは180メートルのプラスチックパイプに1万5千個の穴を開けて雨を降らせ、雨の降る土の地面にも、雨が不規則に降り落ちで出来た雨跡をペイントで表現。更には背景に見える木や建物も、手描きの背景画などを用いた。
そして、このシーンを演じる子役も、送風機や雨の装置に怖気付くことない度胸があるかどうか何人もテストした中で、監督が特別なものを感じた子供を選んだという。役者の演技、スタッフの驚異的制作力によって完成されたシーンをぜひ劇場で確認してほしい。
11月20日からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで公開。
(C)Studio 24
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