石井裕也監督「生きちゃった」第42回PFFオープニング作品に! 9月12日に世界最速上映
2020年8月3日 12:00
[映画.com ニュース] 若手映画監督の登竜門である第42回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)のオープニング作品が、石井裕也監督の「生きちゃった」に決定し、映画祭初日の9月12日に世界最速上映が実施されることがわかった。あわせて、PFFが製作から劇場公開までをプロデュースする第25回PFFスカラシップ作品「猫と塩、または砂糖」(小松孝監督)が同月24日にお披露目される。
「剥き出しにっぽん」で自主映画のコンペティション・PFFアワード2007のグランプリを受賞し、第19回PFFスカラシップの権利により制作された「川の底からこんにちは」で第53回ブルーリボン賞監督賞に輝くなど、同映画祭とのゆかりが深い石井監督。その後、「舟を編む」で第37回日本アカデミー賞最優秀監督賞を史上最年少で獲得する快挙を成し遂げるなど、日本映画界を支える存在となった。
新作「生きちゃった」は、アジアの俊英が集う国際プロジェクト「B2B(Back to Basics)A Love Supreme(原点回帰、至上の愛)」の1作。ある出来事をきっかけに、予期せぬ未来へと突き進む幼なじみの男女3人を描く。第42回PFFでの世界最速上映後に石井監督、出演した仲野太賀、若葉竜也らキャスト陣によるトークが予定されている。石井監督は、本映画祭への思いを以下のように述べた。
石井監督「コロナはもちろんですが、仮にコロナがなくても大変な世の中です。困ったり悩んだりしたら原点に立ち返る必要があると思うのですが、僕にとっての原点は自主映画でありPFFです。映画を愛するPFFファンの皆さんと共に、これからの映画や生き方について真面目に改めて考えるきっかけにするために、新作の世界初上映をPFFでやってもらうことにしました。この場所でなら、きっと映画についての本当の話ができると思うからです」
同映画祭では、「食卓」でPFFアワード2016のグランプリを受賞し、バンクーバー国際映画祭に正式出品された新星・小松監督の第25回PFFスカラシップ作品「猫と塩、または砂糖」も上映される。そもそもPFFスカラシップとは、PFFアワードの受賞監督からオリジナル企画を募り、毎年1名がPFFに映画制作をサポートしてもらう権利を得るという企画。これまで園子温、橋口亮輔、矢口史靖、熊切和嘉、李相日、荻上直子、内田けんじら第一線で活躍する監督たちの商業映画デビュー作を世に送り出してきた。
「猫と塩、または砂糖」では、シニカルでオフビートなユーモアを生かし、「幸せ」とは何かを模索する家族の物語を紡ぐ。軸となるのは、社会を拒絶し母のペット“猫”になった長男、慎ましい母、アルコール中毒&糖尿病の父で構成される佐藤家。母と元彼の再会をきっかけに、その娘も巻きこみ、ひとつ屋根の下で5人の奇妙な同居生活がスタートする。9月24日の上映前に、小松監督をはじめ、出演した田村健太郎、宮崎美子、吉田凜音、諏訪太朗が舞台挨拶に登壇する。
小松監督は「折しもこのコロナ禍の中、『経済と人命が同じ天秤にある』という『常識』の一面にハッとした方も多いのではないでしょうか。そんな理不尽で窮屈な社会にはうんざりだという価値観の主人公・一郎を中心に、幸か不幸か『常識』から逸脱した2家族5人の『幸せのベクトル探し』の模様を、悲哀とユーモアを込めて描きました」と胸中を吐露した。
第42回PFFは、9月12日~26日(月曜休館)に東京・国立映画アーカイブで開催。映画祭チケットは、8月15日から「チケットぴあ」で販売される。