都内映画館が続々営業再開、ユーロスペース「許された子どもたち」は満席スタート
2020年6月1日 19:14
[映画.com ニュース] 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業要請を緩和する東京都のロードマップが「ステップ2」に移行した6月1日、都内の映画館も続々と営業を再開した。東京・渋谷の老舗ミニシアター、ユーロスペースは、休業前に上映していた「子どもたちをよろしく」「春を告げる町」「女優原田ヒサ子」「ようこそ、革命シネマへ」と、アキ・カウリスマキ監督の2017年「希望のかなた」、この日が初日の「許された子どもたち」という6作品のラインナップでスタートした。
この日は映画サービスデー(1100円均一)ということもあり、「許された子どもたち」は夕方の上映が午前中で完売するなど、熱心な映画ファンが詰めかけた。全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)のガイドラインにより、当面は座席数の半分しかチケットが販売できないなどの規制はあるが、支配人の北條誠人氏は「先は読めませんが、とりあえずホッとしています」と胸をなで下ろす。
緊急事態宣言を受け4月8日から休業。通常は月間で1600~1800万円ある売り上げがなくなり、厳しい状況に追い込まれた。その間、クラウドファンディングの「ミニシアター・エイド基金」や「仮設の映画館」など支援の輪も広がり、「お礼の言葉しかありません。金銭的にもそうですが、若い人が動いてくれたようで、それらがなかったら気持ち的につぶれていたかもしれません。多くの人に支えられていることを実感しました」と感謝する。
ただ、東京は感染者が再び増加し第2波の懸念もあるため、当然楽観はしていない。今後の上映作品は各配給会社と協議しながら決めていく意向だが、「世界的な配信力を持っているところが、作品を抱え込んでコンテンツ不足になると小規模の劇場にとっては怖い」と懸念を示す。
さらに、「お客さんはミニシアターによりライブ感のあるものを求めてくる。舞台挨拶やトークショーなどのイベントができるようになれば、ですね」と本格稼働への道はまだ険しい。それでも、休業中に舞台や音楽関係者とジャンルを超えた連携も模索しており、「まずは再開することが大切ですから」と前向きに語った。