子どもたちをよろしく
劇場公開日:2020年2月29日
解説
元文部科学省の寺脇研と前川喜平が企画を務め、子どもたちを取り巻く社会の闇を繊細かつ鋭く描き出した人間ドラマ。北関東のとある街。デリヘルで働く優樹菜は、母親の妙子と義父の辰郎、辰郎の連れ子である稔と4人で暮らしている。辰郎は酒に酔うと妙子と稔に暴力を振るい、優樹菜には性暴力を繰り返した。妙子はなす術もなく、見て見ぬ振りを続けている。稔はそんな父母に不満を感じながら、優樹菜に淡い思いを抱いていた。一方、優樹菜が働くデリヘルの運転手・貞夫は、妻に逃げられ重度のギャンブル依存症に陥っている。息子の洋一と暮らす家に帰るのはいつも深夜で、洋一は暗く狭い部屋の中で1人、帰ることのない母親を待ち続けていた。同じ中学校に通う稔と洋一は以前は仲の良い友人だったが、今は稔たちのグループが洋一をいじめの標的にしている。ある日、稔は家の中でデリヘルの名刺を拾う。姉の仕事に疑問を抱いた彼は、自分も洋一のようにいじめられる側になるのではないかと怯えるようになり……。主演は「愛なき森で叫べ」の鎌滝えり。「ワルボロ」の隅田靖監督がメガホンをとる。
2019年製作/105分/G/日本
配給:太秦
スタッフ・キャスト
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2020年8月4日
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鑑賞方法:映画館
『MOTHER』や『許された子どもたち』という衝撃作を観た後では、ちょっと見劣りがする。ましてや『ステップ』という前向きに生きる作品を観た後だ。DVやイジメ、ギャンブル依存といったインパクトのある問題提起は感じるものの、ストーリー的には終盤の展開に集約されすぎたように思います。TVドラマ「フルーツ宅配便」のようにデリヘルという風俗に限定しても良かったかな~と思う。もしくは市会議員候補の夫が優樹菜にハマったとかのドロドロ展開・・・商工会会長だと弱すぎかな。
優樹菜、稔の家庭が、室内を見渡す限りはかなり裕福そうでしたが、やっぱり夫が親から受け継いだ家だったのでしょうか。飲んだくれ親父にしては稼ぎが良すぎる気もします。ダメ親がなぜ再婚したのかは想像できるだけに、その背景も知りたいところでした。
デリヘリの送迎車はタクシードライバーから見ると“邪魔”でしょうがない。何人もの女の子を抱えてる店にすれば送迎も大変だと思うのですが、それでも稼ぎは少なそう。「これしか仕事がなかったんだよ」との言い訳は通用しない。多分、トラック運転手の人手不足を考えれば、まだまだ仕事はありそうな気がします。逆にデリヘル送迎なんて求人は見たことないぞ!(笑)
などと言ってみても、このコロナ禍じゃほんとに仕事はなさそうです。洋一くんちみたいな崩壊家庭が増えないことを祈るばかりです。ちなみに最後の優樹菜の行動は謎です・・・
2020年7月27日
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鑑賞方法:映画館
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この作品で考えないといけないことが何点かある。
子がいじめを受けるてる原因が親にある場合もあること。この作品の場合、親の仕事、風呂が無く臭い、給食費など学校の費用を払わない、など、生まれてきた環境が原因だった。
自分がいじめを受けそうになって初めていじめていた同級生の気持ちがわかること。
いじめた側はどうきが自殺しても、知らない、とか、いじめは無かった、とか事実じゃない事を言う場合もあること。
子どもに対して、いなけりゃいい、と言ってた父親が、子どもが死んだら、いじめだ、とかどの口が言うんだ、って思う。親も世間体の良いことだけしか言わない、つまり、世の中嘘つきだらけ、ってことが日常的に起きてる事を知っておく事が必要なんだと思う。
考えさせられる良い作品だった。
2020年6月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
-子どもに、親は選べない。-
ミノルとヨウイチの関係性が、哀しい。
親に"実質的に"捨てられた、似た者同士でありながら、苛める側と苛められる側になる。
-が、最後に苛めを認めるのは、ミノルのみ-
■一番腹が立ったシーン
・ヨウイチの自死の理由をを学校の苛めであるとし、パチンコ依存性の父親が、会見をするシーン。
-お前の愚かしき行為が全ての原因だろう!-
■製作者の想いを世に伝えるために、もう少し、脚本を練りこんで欲しかった作品でもある。
〈親になるのであれば、命懸けで魂を込めて育て上げる覚悟をしろ!〉
2020年3月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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私はとある映画合評会のメンバーサークルに所属していますが、そこの3月の課題映画がこの作品でした。
課題映画でなくても見るつもりでしたが、課題とあればより一層心して見よう、と思って鑑賞しました。
「映画的に成功していない」「ストーリーに無理がある」という意見も合評会の中ではありましたが、この映画が提起する問題こそ本当は議論が必要で、タイトルの子どもではなく「大人への考えるきっかけ」があればと思い、あらためて書きました。長文ご容赦ください。
子どもが育つのに大人の存在が必要であるのは当たり前のこと。
ですが、この映画は、子どもに寄り添えない大人、そういう弱い大人に寄り添えない他の大人、そして社会がいかに問題であるかを最初から最後まで投げかけてきます。
片親家庭、貧困、そこから発生するいじめ、家族崩壊、DV、性的虐待など、子どもたちを今とりまく問題が映画の中にこれでもか、と盛り込まれた作品です。親にも誰にも守られなかった子どもは孤立を深め、最後は絶望が待っています。
私たち大人には子どもを守り、育てる(それは直接的にも間接的にも)責任があります。これは絶対的で、その責任を持つことが「大人であること」だと考えています。
この、責任を持たないで生きられる、「見ないふり」や「無関心」でいられる世の中に対する問題提起を映画はしているのです。
(本当は子どもの問題だけではない、根深い問題です)
子どもと言うと思春期に差し掛かる前のイメージを連想しがちですが、それは違うと思います。
映画の中で描かれる中学生も、大人と子どもの狭間で揺れ動く最も不安定な年代の子どもたちです。
自分のことも、生活するための家事全般もある程度頑張ればできてしまう。でも、やっぱり彼らはまだ子どもなのです。
むしろ、保育園や学童保育などの学校と家庭以外の受け皿もなく、SOSが見えにくい彼らを大人が何とかしなければいけないのです。
もう、見て見ぬふりはもうやめましょう。そして、何ができるのか考えて欲しいのです。
この『子どもたちをよろしく』の隅田靖監督は、今もJRの駅で障害者の手助けをする警備員の仕事を続けているそうです。
私自身、学童保育の理事という役割をする中で、子どもたちを取り巻く環境や問題を知り得る機会をもらっています。
(ここ数年は名ばかりですが)
子どもの頃「なんか大人って全然違うな」と思った記憶があります。それは「大人社会」が子どもを守ってくれてたからなんじゃないかと思っています。
自分が大人になった今、そうなってるかよくわからない。それでも、「責任を持つ」大人でいようと思うことがとても重要だと。
そんなことを強く思い起こさせる素晴らしい映画でした。
今、外出自粛の厳しい状況下ですが、チャンスがあれば一人でも多くの「大人」に見てもらいたいです。
封切で見られなかったとしても、レンタルや配信、また上映会(映画祭など)などで出会う機会があれば、スルーせず引っかかって欲しいのです。
私はこの映画を絶対に応援したい、まずはできることから。
そこに少しでも共感してもらえたら嬉しいです。