「全裸監督」内田英治監督が選ぶ「いま自宅で見るべき映画5本」
2020年4月7日 12:00

[映画.com ニュース] 新型コロナウイルスの感染拡大を受け多くの映画館が休業となり、公開延期作品の発表が相次いでいる。感染拡大防止のため、映画ファンの鑑賞機会が著しく減少しているなか、最前線で活躍する映画人たちが「いま自宅で見るべき映画5本」を映画.comに薦めてくれた。今回はNetflixドラマ「全裸監督」の監督・脚本を手がけ、Amazon Prime Videoで配信中の「湘南純愛組!」の総監督を務める内田英治氏が厳選した5本を紹介する。
暗闇でも自分を信じて進めば、いつかは光が見える。そんなドキュメンタリー映画です。アフガニスタンのタリバンから逃げてきた少女・ソニータは、ラッパーになることを夢見ながら難民生活を送っています。パスポートもなければ滞在許可もなく、唯一味方の母親は見ず知らずの男性に嫁がせようとしたり、もう信じられないほどどん底のソニータなんですが、ひたすらラップの力を信じて行動します。そして奇跡はおきる…。まるで未来が見えない今だからこそ見てみたい。

様々な移民が暮らすロサンゼルスを舞台に、人種や国の違いから起こる悲しい差別や偏見を描き、2006年の第78回アカデミー賞作品賞を受賞しました。公開から15年がたった今日、コロナウイルスが猛威をふるい、国や人種間の軋轢や緊張も高まっていますが、本作ではそんな軋轢のなかに見える一筋の優しさが描かれています。自分が住む町や、国や、そして世界で、自分が他人とどのような絆を築いていけるのか? そんなことを考えてしまう映画です。

10代終わりの頃、単館ブームとともに観たスウェーデンの傑作映画で、今も心に残っています。人工衛星に乗せられたライカ犬に比べれば自分の苦しみなんて大したことないと考える少年、イングマルの成長物語。世界中のあちこちで外出禁止となり、家のなかに閉じこもっていると気持ちが鬱屈としてしまいますが、主人公のイングマルの姿を見ていると、元気が出てきます。

間違ったリーダーを持つとえらいことになる。ということがよく分かる映画で、まるで今の日本を示唆するような映画です。戦争の最前線のドイツ軍部隊にある日、名誉欲に溢れた貴族出身の隊長が赴任してきます。彼は臆病者ですが、勲章が欲しくて欲しくて仕方なく、そのせいで幾度となく部隊を危機に陥れます。どこかで聞いたことある話ですね。戦争という極限の状況下で、リーダーのあり方を問うヒューマンドラマです。
第二次世界大戦の最中、ナチス占領下で3年3カ月かけてひっそり撮影されたという不屈の映画です。フランスの文化人たちが次々と国外へ脱出するなか、マルセル・カルネ監督は残り、逮捕覚悟で本作を作り上げた。独裁者たちに対する、自由と文化の答えのような映画です。天井桟敷と呼ばれる舞台の格安席から世間を俯瞰する内容は、国民とどこかずれている政府とも相通じたりも。190分の大作です、今こそ見てみるのもよいのでは。
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