佐藤健VS阿部寛! 瀬々監督が中山七里「護られなかった者たちへ」映画化
2020年3月28日 06:00
[映画.com ニュース] “どんでん返しの帝王”の異名をとり、作家生活10周年を迎える中山七里氏の傑作小説「護られなかった者たちへ」の映画化が決定。「8年越しの花嫁 奇跡の実話」を生み出した佐藤健と瀬々敬久監督が再びタッグを組み、阿部寛、清原果耶、倍賞美津子、吉岡秀隆、林遣都が共演。脚本は、「糸」(4月24日公開)、「太陽は動かない」(5月15日公開)の林民夫が担当している。
本作は、2011年3月11日の東日本大震災に端を発して起こったある出来事から現代へと続く物語。東日本大震災から9年後、宮城県内の都市部で、全身を縛られたまま放置され餓死させられるという凄惨な連続殺人事件が発生した。捜査線上に浮かび上がった容疑者は、利根という男。彼は、知人を助けるために放火、傷害事件を起こした後、刑期を終えて出所したばかりだった。宮城県警の刑事、笘篠は殺された2人の被害者から、ひとつの共通項を見つけ出し利根を追い詰めていく。
連続殺人事件の容疑者・利根泰久役として主演することになった佐藤は「生活保護というシステムの裏に潜む人々の様々な思い、その中でも途方もないやるせなさ、悲しみ、どこへ向ければいいかわからぬ憤り、怒りをぶつけていくことがこの作品での自分の役割だと思っています」と説明。「魅力的なキャストの皆様、そして再び瀬々監督とご一緒できることを大変嬉しく思います。監督とは前回2カ月の岡山ロケを共にしましたが、今回の舞台は宮城です。またしばらく瀬々組の濃厚な映画の世界に浸ってきます」と意欲を示している。
佐藤とは「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」以来の共演となった阿部は、宮城県警察捜査第一課刑事・笘篠誠一郎役に挑戦。「瀬々監督と数年ぶりにご一緒しますが、監督ならではの、リアリティと素朴な人間の感情が入り混じる現場に身をゆだねようと思います」と胸中を吐露している。「不可解な連続殺人事件を追いかける刑事役となりますが、今までとは一味違う刑事像となる予感と期待があり、撮影現場に入る事が今から楽しみです」と語っている。
清原は福祉保健事務所職員・円山幹子役、吉岡は国会議員・上崎岳大役、林は笘篠の後輩の刑事・蓮田智彦役、倍賞は東日本大震災で被災した遠島けい役で出演。「脚本や現地で感じたものを出来る限り沢山胸に抱き留めて彼女を生きたいと思っています」(清原)、「『64 ロクヨン』以来の瀬々組、緊張感を持ってワンカットワンカット大事に演じられればと思います」(吉岡)、「自分の役どころがこの映画の持つメッセージを受け取らなければならない対象にあると感じています。自分の目で見て感じ、抱いた気持ちを大切に、撮影に臨んでいきたいと思います」(林)と4~5月に予定している撮影に向けて意気込んでいる。
「今、立ち向かわないといけない問題は様々です。新型コロナウイルスへの対応だけでなく、多くの問題の中で僕たちは生きている。今回は中山七里さんの原作を得て、貧困問題や格差社会について考えながら映画を作っていくこととなりました」と話す瀬々監督。「未だゴールは見えていませんが、キャスト、スタッフ共にこの大変な状況の中で、映画を作る意味を考えながら粛々と突き詰めていきたいと思っています。それが僕らの仕事であり、生きていくことだと思っています」と思いの丈を述べている。
原作者の中山氏は「以前、某映画監督と話をしていた時、こんなことを聞いた。『実はエキセントリックな役というのは演じるのが割と簡単なんです。本当に難しいのは普通の人を演じることでしてね』」と述懐。「この物語は市井の人々の絶望と喜びを描く必要があった。従って登場するキャラクターは全員普通の人であり、普通の生活をし、普通に泣き、普通に憤る。今回『護られなかった者たちへ』映画化に際して、佐藤健さんや阿部寛さんといった演技派・実力派と称される方々がずらり揃い踏みしたと聞き、原作者として幸せを噛み締めているところである」とコメントを寄せている。
「護られなかった者たちへ」は、20年内に全国公開。
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