ディズニー/ピクサー最新作「2分の1の魔法」 同性愛示唆で中東諸国で上映禁止に
2020年3月10日 11:00

[映画.com ニュース]ディズニー/ピクサー最新作「2分の1の魔法」が、同性愛を示唆する1シーンをめぐり、中東各国で相次いで上映禁止になるという予想外の事態に直面している。
「モンスターズ・ユニバーシティ」のダン・スキャンロン監督がメガホンをとる本作は、亡くなった父親にもう一度会いたいと願うエルフの兄弟が、魔法によって半分だけ復活した父親を完全によみがえらせるべく奮闘する姿を描いたファミリー向け長編アニメーション。何をやってもうまくいかない内気な少年イアンとその兄の陽気で好奇心旺盛な魔法オタクであるバーリーを、人気俳優トム・ホランドとクリス・プラットがそれぞれ演じ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)仲間のふたりが声の共演を果たしたことでも話題を集める注目作だ。
米Deadlineによれば、問題となったのは、母親の恋人であるケンタウロス(ギリシャ神話に登場する半人半馬の種族)の警官ブロンコに変装した兄弟が、同僚の女性警官コンビと鉢合わせて立ち話をする羽目になる、という一場面。子育てに悩むブロンコに同情した女性警官の片割れスペクター(声:リナ・ウェイス)が、「新しく親になるってホント大変。私もカノジョの娘には手を焼いているわ」と励ますのだが、スペクターがレズビアンなのは明白であることから、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアの中東4カ国で上映禁止となった。
また、検閲が厳しいことで知られるロシアでも、上映禁止こそ免れたものの、「カノジョ」というフレーズが「パートナー」に差し替えられたほか、ロシア語吹き替え版ではスペクターの性別をあえて曖昧にしているという。
ディズニー映画に同性愛者であることを公言するキャラクターが登場したのは躍進的な進歩だとして、LGBTQコミュニティの称賛を集めている本作だが、同性愛を禁じるイスラム諸国の“壁”は、予想以上に分厚かったようだ。本件に関して、配給元のディズニーはコメントを控えている。
3月13日から全国公開の予定だった「2分の1の魔法」は、新型コロナウィルス感染拡大への懸念から公開延期が決定。新たな公開日は、現時点でまだ発表されていない。

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