千葉雄大×成田凌×白石麻衣、並々ならぬ覚悟で体現した役への思い
2020年2月27日 12:30
あらゆる個人情報が入ったスマホを落としたらどうなるのか──。「スマホを落としただけなのに」は、恋人がスマホを落としたことで、命を狙われ、隠していた過去が暴かれてしまう、スマホという誰にでも身近なモノを題材にしたミステリー映画。その第2弾「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」では、前作で事件を解決に導いた刑事・加賀谷(千葉雄大)と連続殺人鬼の浦野(成田凌)、そして加賀谷の恋人・美乃里(白石麻衣)を中心に新たな物語が展開する。千葉、成田、白石の3人が「囚われの殺人鬼」について語った。(取材・文/新谷里映、写真/間庭裕基)
連続殺人鬼・浦野の逮捕で事件は解決したと思われていたが、新たに若い女性の遺体が発見され、さらに謎の人物「M」が浮かび上がる。続編では、捜査のために加賀谷が浦野に協力を求め、追う側と追われる側の2人が禁断のタッグを組むことになる。それはまるで、「羊たちの沈黙」のレクター博士とクラリスの関係にも似ている。
続編で主演を務める千葉は「また中田監督とこのチームと一緒にできることも、新しく加わる白石さんとご一緒できることも楽しみでしたが、脚本を読んだときは難しい物語だなと思いました」と話す。
「事件の流れが複雑ですし、謎の人物『M』も登場するし、加賀谷自身が抱えるものもある、前作以上に感情の揺れ動きを表現するのが難しい作品になるとは感じていました。僕のなかで加賀谷というキャラクターは、前作では陰の人が陽をまとっている感じだったんですが、今回はそうではなく、彼のパーソナルな部分が深く掘り下げられる。どうしようかなと……。でも、撮影現場に入ってしまうと肩の力は自然と抜けていきました」
また「白石さんや続編から参加となる方にも、居心地よく感じてもらえるような現場にしたかった」と、座長としての心配りも欠かさない。基本、千葉も中田秀夫監督も「ほっこり系」の人柄で、成田と白石は「本当にほっこりした和やかな現場でした」と明かす。
千葉と白石が演じる加賀谷と美乃里は3年間付き合っている設定で、2人はどんな3年間を送ってきたのか、これまでの関係性を自分たちのなかに構築する必要があった。どんなふうにお互いを好きになっていったのか、相手のどこが好きなのかなどを話し合って撮影に臨んだ。
美乃里を演じるにあたり、白石が大切にしたのは「気の強さ」だ。「脚本を読んで、美乃里は私が持っていないものを持っている、私とは真逆のキャラクターだと思いました。真逆だからこそ演じる楽しさがありましたし、美乃里の気の強さを大事に演じようと、中田監督と一緒に創り上げていきました」。中田監督の演出については「ほっこりした監督だけれど、ものすごく“こだわり”のある監督だった」という。その“こだわり”を感じたシーンがある。
「冒頭、脚の裏から始まるシーンがあるんですが、脚の角度の指示はミリ単位でした。あと何ミリ内側にとか、監督のこだわりを感じましたね」。また後半は、女優としての覚悟が必要なシーンにも挑戦している。
「僕はてっきり白石さんは美乃里のように強い人なんだと思っていたので……、演じる役で俳優の見え方が変わる、役のイメージって怖いですね」と話すのは、浦野役の成田。「だとしたら、君(成田)のイメージの方が怖いよ(笑)」と千葉が突っ込みを入れるように、たしかに前作の浦野は強烈だった。長い黒髪の女性に対して執拗な執着があり、自身と同じトラウマを抱えた加賀谷の存在に関心を示すキャラクター。今回は前回とはビジュアルをがらりと変え“New浦野”として登場する。
「前作は相当インパクトがあったようで、そのイメージがそのまま僕のイメージになっているのか、初対面の人に『怖い人だと思ってました……』と言われることも多いです(笑)。ただ、インパクトはあったけれど、実は浦野の人間性は前回ほとんど出ていないので、この続編で改めて浦野の人間性を考えました。同じキャラクターだけど別モノでしたね」。もちろん演じ甲斐もあった。「セリフは難しい専門用語が多くて大変でしたけど、浦野には明確な目的があって、そこに向かっていけばよかった。どう演じても正解になるキャラクターなので、限られた空間(獄中)のなかで何ができるのか、何をすべきか、何をしないべきかを考えました」
「すごく楽しそうに演じていたよね」という千葉の言葉からも成田の怪演は想像できるが、加賀谷と浦野、刑事と殺人鬼、この2人のやりとりも見どころだ。成田の怪演が光るのは、受け手である千葉のリアクションあってこそ。千葉のリアクションによって、観客はこの2人は協力しあっているのか、裏に何かあるのか、常に惑わされることになる。千葉はどう演じたのか。
「成田くんは緊張感とかヒリヒリ感はなく自由に演じていましたが、僕は勝手にヒリヒリしていましたね(笑)。でも、リアクションを受けすぎてもダメで……、加賀谷は不本意ながらも事件解決のために浦野に協力を求める、浦野とのバディ感をどう出せばいいのかも悩みましたし、中田監督とも十分に話し合いました」。一方、成田は「2人のシーンに関しては、浦野も加賀谷もどちらも感情が出すぎてしまうと(ミステリーとしての)緊張感がなくなってしまうので、敢えて感情を出さないように演じています」。そんな2人の芝居を見た白石は「クセになる、何度も見たくなるお芝居でした」と最敬礼だ。
前作も続編もこのシリーズを見て感じるのは、何と言ってもスマホを落としてしまう恐怖。千葉、成田、白石の3人は、スマホを落とした経験はあるのだろうか。
常に「スマホを忘れていないか確認をしている」という白石は、これまで落とした経験はないという優等生。しかし千葉と成田は「忘れていないかなって確認しても忘れちゃうんですよね」(成田)、「落としたり忘れたりしないように、ショルダータイプのケースに変えました」(千葉)。過去何度か落としたことがあるそうだが、この映画に出てからは落とさなくなったそう。忘れていないか確認するクセをつける、フリーWi-Fiには気をつけるなど、「気をつけた方がいいことたくさん学べます!」と3人は口を揃える。
そして最後に千葉は「エンドロールまでしっかり見てほしい。King Gnuさんの主題歌『どろん』がすごく格好いいので、どろんするのは『どろん』の後で!」と、自身のブログで毎回「どろん」で締め括っていることに繋げて、何ともチャーミングに鼎談をまとめた。
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