現世と黄泉の世界をつなぐ泉――タル・ベーラの愛弟子、小田香監督の新作「セノーテ」6月公開
2020年2月5日 15:00

[映画.com ニュース] タル・ベーラ(「ニーチェの馬」「サタンタンゴ」)の愛弟子として知られる小田香監督の最新作「セノーテ」が、6月から劇場公開されることが決定。あわせて、「泉は天井の世界とつながっている」というコピーが添えられたティザービジュアルもお披露目された。
2011年にホリンズ大学教養学部映画コースを修了した小田監督は、卒業制作の中編「ノイズが言うには」が、なら国際映画祭2011のNARA-wave部門で観客賞を受賞。13年には、ベーラ監督が後進の育成のために設立した映画学校「film.factory」の第1期生として活動し、15年に「鉱 ARAGANE」(監修:ベーラ監督)を完成させた。同作は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2015のアジア千波万波部門にて特別賞を受賞している。
(C)Oda Kaori新作「セノーテ」は、ロッテルダム国際映画祭2020、山形国際ドキュメンタリー映画祭2019に正式出品された作品。メキシコ・ユカタン半島北部に、セノーテと呼ばれる洞窟内の泉が点在している。ここは、マヤ文明の時代、唯一の水源であり、雨乞いの儀式のために生け贄が捧げられた場所でもあった。現世と黄泉の世界を結ぶと信じられていたセノーテをめぐって交錯する、人々の過去と現在の記憶。現地の人たちの語りで流れる「精霊の声」、「マヤ演劇のセリフテキスト」など、マヤの人たちにより伝えられてきた言葉の数々。水中と地上を浮遊するカメラによって映し出される“光と闇の映像”に、遠い記憶がこだましていく。
現地に住む人々に取材し、集団的記憶、原風景を映像として立ち上げようと試みた小田監督。セノーテの水中撮影のため、自らダイビングを学び、8ミリフィルムカメラ、iphoneなどを駆使し、これまで“誰も見たことがない世界”を切りとってみせた。
「セノーテ」は、2月7日から東京都写真美術館で開催される「第12回恵比寿映像祭」でプレミア上映。6月から新宿・K's cinemaで公開され、小田監督の過去作、短編作の上映も予定している。
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