ニーチェの馬
劇場公開日:2012年2月11日
解説
「ヴェルクマイスター・ハーモニー」「倫敦から来た男」で知られるハンガリーの名匠タル・ベーラが、ドイツの哲学者ニーチェの逸話を題材に荒野に暮らす男とその娘、一頭の馬のたどる運命を描く。1889年、イタリア・トリノ。ムチに打たれ疲弊した馬車馬を目にしたニーチェは馬に駆け寄ると卒倒し、そのまま精神が崩壊してしまう。美しいモノクロームの映像は「倫敦から来た男」も担当した撮影監督フレッド・ケレメンによる。2011年・第61回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員特別賞)を受賞。
2011年製作/154分/ハンガリー・フランス・スイス・ドイツ合作
原題:A Torinoi lo
配給:ビターズ・エンド
スタッフ・キャスト
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2021年12月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
老いた父親と年頃も過ぎたであろう娘、そんな二人の生活を描く六日間は静かでありながら不穏な空気と雰囲気が付き纏う、無惨に思える毛並みもボロボロな馬、食事は茹でて蒸されたジャガイモをそれぞれ一個ずつ、それを毎日食す、おそらくは一日一食のジャガイモ、娘は慣れた手付きで熱がらず、父親は熱さに耐えられない模様、必要最低限の生活用品や道具はある筈なのに素手で食べるジャガイモ、そんな貴重な食料を完食することは一度もなく。
ワンカット長回しとまでは言わないが、静止画のように映る映像が全て絵画のように思える美しさがある中に混沌としたディストピア表現があるようにも、違うか??
何も起こらない日常の生活を描いているようで起こる出来事は唐突に、地味に進む物語自体に展開があるようで無いような、そんな世界観に飽きる事はなく最後まで魅入ってしまう。
1日目だけ見た。ツァラトゥストラを理解したあとにもう一度
2020年8月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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人間がなぜ「神」を創造したのか? 神や魂を信じるようになったのか? 生きるとは?命とは何? そのような混沌を感じながら、登場する二人の暮らしの繰り返しを僕は見ることになった。 新藤兼人の無声映画「裸の島」を思い出したが、異なる点は、この映画にはナレーションと多少の会話がある。そして二人は感情を控えている。映画を見終わると、5日間どうのよりも5日間以外の始まりと終わりが気になってくる。そして二人が血縁関係なのかどうなのか? 馬は死んだのかどうなのか?と考えているうちに時間切れとなり、バッサリ切られてしまう。 つまり僕は二人に相手にされず、二人について何も知らずに5日間お世話になったような、そんな気がしていたが、まてよ、実際は僕が死んでしまったのではないか? 「はい、あんたの一生はそこまで」とされてしまったような、妙な感じをおぼえたのであった。
キャストはただカメラの前で存在するだけ
死に近い沈黙と孤独を観客に観せる…
徹頭徹尾