アニメーション制作に必要な“3箇条”とは? 「ヒックとドラゴン」監督が明かす

2019年12月19日 16:00

「ヒックとドラゴン」シリーズを手掛けたディーン・デュボア監督
「ヒックとドラゴン」シリーズを手掛けたディーン・デュボア監督

[映画.com ニュース] ドリームワークス・アニメーションが放つ人気シリーズの最新作「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」がいよいよ日本上陸を果たす。大人もグッとくるエモーショナルな物語、大迫力の映像で世界中を魅了してきた同シリーズ。3部作すべてを手掛けたディーン・デュボア監督がこれまでの道のりを振り返り、ヒックが経験した“喪失と成長”の関係性、そしてアニメーション制作の現場で壮大なプロジェクトを率いるために大切な“3箇条”について語った。(取材・文/成田おり枝)

クレシッダ・コーウェルの同名児童文学を原作に、バイキングの少年ヒックとドラゴンのトゥースの友情と成長を描く同シリーズ。前作で共存の道を選んだ人間とドラゴンだが、最新作では、ドラゴンが増え続けて定員オーバーとなったバーク島を旅立ち、バイキングとドラゴンたちが新天地を探し求めるさまが描かれる。

弱虫だったヒックは島の若きリーダーに。尾翼を失い自力では翔ぶことができないトゥースは“伝説のドラゴン”となって登場するなど、出会いを通してそれぞれが成長を遂げてきた。「リロ&スティッチ」でも知られるデュボア監督は「僕は小さな頃から、違う環境にある者が出会って、友情が芽生えて、それぞれの人生に影響を及ぼしていくという物語が大好きなんだ」とシリーズの根幹には、自らがワクワクする要素を詰め込んだそう。「『E.T.』や『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』、『ロスト・イン・トランスレーション』なんかもそうだよね」と大好きな映画をあげつつ、「そういったストーリーは魅力的でもあるし、そこには真実があると思うんだ」とニッコリ。

大人からも熱狂的な支持を集めている同シリーズだが、その中に“人生のリアル”が描かれているからこそ、「多くの人に支持してもらえたと思う」と語る。「居心地の悪い場所に立たされたときこそ、人は成長できるものだと思う。精神的、肉体的にも厳しい状況に陥ったとしても、その後にはきっと成長できるはず。シリーズを通して、そういったことを描いてきた。今作でもヒックとトゥースは親友同士だけれど、その関係性が変化したらどうなるだろうかと考えたんだ」というように、ヒックはあらゆる苦難と喪失を体験しながら歩みを進めてきた。

ヒックとドラゴン」ではヒックは脚を失い、「ヒックとドラゴン2」では父親を失った。ヒックが脚を失うという展開は原作には描かれておらず、観客にも驚きを与えたが、“喪失と成長”というテーマにはデュボア監督自身の経験も反映されている。「無意識的に、喪失というものがテーマになっていたように思う。喪失によって変化が起きるということは、国や文化が違っても共通の思いだと感じるんだ。僕自身、19歳のときに父親を亡くした経験があって。本当に急だったので、家族にとって心の面でも経済的な面でもなにも準備ができていなかった。子どもだったけれど、そのときは僕なりに早く成長しなければと必死だった。父の死を経験したことは、ヒックの道のりに投影されていると思う」。

映像の進化も見どころだ。デュボア監督が「最も技術の進歩を感じられるシーン」というのが、広大な洞窟に隠された“幻の聖地”が描かれた場面。「前作までの技術だったら、決して描くことができなかったシーンだよ。ムーンレイというCG技術によって、現実世界のような光を計算できるようになった。飛翔するドラゴン一体一体の光や影も忠実に再現できるんだ。今やコンピューターでなんでもできる時代。“アニメーション作品の限界を作るのは、アーティストのイマジネーションのみ”という時代に突入したと言えるかもしれないね! 作品の個性を作るためには、やっぱりイマジネーションが最も大事なんだ」。

とかく過酷だと言われるアニメーション制作の現場だが、ビッグプロジェクトを走り抜けるためにはどんな要素が必要だったのだろうか。デュボア監督は「粘り強さ」とお茶目に笑いつつ、「さらに才能あふれる人を中心としたスタッフィング、そして彼らへの信頼感」と答える。

ビジュアル・コンサルタントには、「ブレードランナー 2049」「1917 命をかけた伝令」などの撮影監督ロジャー・ディーキンスを迎えているが、そこにはこんな秘話も。「当初はカメラ部と照明部のためにワークショップを開こうと思って、その数日間の講師として、ディーキンスさんに来てもらう予定だったんだ。どんな映像をつくるにも、光と影が重要だと思っていたので、誰もがリスペクトしてやまないディーキンスさんからアドバイスをもらえれば最高だと思っていた。実写における感性をアニメに取り入れられたら、どんなにいいだろうってね。でもディーキンスさんは何年もかかるプロジェクトに関わるものだと誤解して、『ぜひやりたい』と言って僕たちのもとにやって来てくれたんだ(笑)。すばらしいハプニングだったよ!」。

心強いスタッフにも恵まれ、「『ヒックとドラゴン』を通して、粘り強さも教えてもらったし、自分がやりたいと思うことを信じる強さも学んだ。何よりも3作品を同じ仲間でつくれたということが、ものすごくうれしいんだ」と晴れやかな笑顔を見せる。

「監督としては、才能ある人々を集めてスタッフィングできれば、信頼して作業を任せることができる。すると誰もが作品に思い入れを持って仕事に励めるし、スタッフたちの絆も生まれる。そして僕も仕事が楽になるんだから、最高だよね」と奇跡的な循環が生まれた仕事場だったそうで、「そんなスタッフたちとも別れなければいけなかったから、今は少し寂しくもあるね。でも、一緒に作業した時間が本当に誇らしいよ」と胸を張っていた。

ヒックとドラゴン 聖地への冒険」は12月20日から全国公開。

(映画.com速報)

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